聞いてくは
はぁい司令官さまぁ❤ お呼びでしょうかぁ❤ 要件があると聞きましてぇ、やってまいりましたぁ❤」
「手早く済ませたほうがいいですよ。基地の中でも極上の美女と呼ばれる私達二人を自室に呼び寄せるなんて……部下にゲスな勘ぐりをされかねませんから❤」
「そうそう❤ ここまで廊下を歩いてる間にも、たくさんの視線に身体を舐め回されちゃったし❤」
「軍服の下に詰め込まれた下品なくらい大きいおっぱいを、ゆっさ❤ゆっさ❤と揺らしながら歩いてきたんですからね。きっと部下の一人は『あぁ、司令官はあのデカパイでパイズリ奉仕させる気なんだぁ❤』と思ったことでしょう」
「それとも、まんまるに実ったムッチムチ❤のお尻の、覆いきれないほどに面積が小さいミニスカから、チラッ❤チラッ❤って覗くパンティを見て『きっと司令官はあのデカケツで尻ズリ射精で気持ちよくなるんだろうなぁ❤』と考えてたかもしれませんねぇ❤」
「ふふ❤ 冗談ですよ。司令官さまが緊張されておられるようなので、ちょっとしたジョークで気をほぐしてあげようかと思ったのです」
「ごめんなさぁい、司令官さまぁ❤ カチコチにいきり立って、イライラを溜め込むのはもうやめてくださぁい❤」
「それで、私達をここに呼んだ理由はなんでしょか? ……私達が『スパイ』だと睨んでいる、と?」
「えぇ~? なんでわかっちゃったのぉ? 司令官さまってすごぉ~い❤ 完全に隠してたつもりだったのにぃ❤」
「ええ。これまでは『私達はスパイです❤』とバラすまでは気が付かなかったのに。さすがは基地の司令官を任されるだけの人材ではありますね」
「どうしよっか~❤ スパイってバレちゃったら私達、ひどいことされちゃうよぉ~❤ 『ごーもん』されるに決まってるねぇ~❤」
「ええ、この極上の身体を前にしたら『拷問』にかこつけてきっとスケベなことばかりさせられるに決まっています」
「あぁ~ん、悲しい❤ 私達、司令官さまのことが好きだったのにぃ、見ず知らずのエッチな男の人達に『れいぷ』されちゃうんだぁ❤」
「残念ですね。私達は司令官さまとなら『ドスケベ』なことをしてもいいと思っていたのですが……❤」
「司令官さまとは違う人のおちんぽをジュポジュポ❤咥えさせられてぇ❤ クサ~いザーメンを顔面にドピュドピュッ❤ぶっかけられちゃう❤」
「司令官さまが知らない男のおちんぽをヌルヌル❤になったオマンコに挿れられて❤ パンパンパンッ❤とデカケツに腰を打ち付けながら子宮の奥にドクドク❤と汚い精液を注がれてしまう❤」
「あ~あ……。そんなのいやだなぁ……。しょ~がないからぁ、せめて最後の思い出作りのために、司令官さまとエッチなことをしてから、おとなしくお縄につきましょうかぁ~❤」
「私達がスパイだと見抜く優秀な司令官なら、もう証拠は抑えているはずですからね。この身が汚される前にたっぷり愛を確かめ合いましょう❤」
「んふふ❤ 失礼しまぁ~す❤ ささっと身体を寄せてぇ……スリスリ~❤」
「司令官さまは椅子に座ったままで構いませんよ。最後まで私達に身を任せてくださいればいいのです❤」
「すんすん……❤ あはぁ~❤ クッサ~い❤ 司令官さまの男らしい匂い、私達大好きなんですよねぇ❤」
「すぅ~……❤ はぁ~……❤ 女を征服するためのオス臭い香りが分厚い軍服の下で熟成されているのがわかります❤ 嗅いでいるとクセになってしまいそうですわ❤」
「身体をぴったり密着させてぇ❤ おっぱいを押し付けながらぁ❤ スリスリ❤ くんくん❤」
「司令官さまの逞しい足の上に跨って、発情したメスマンコをパンティ越しに、はしたなく擦りつけながら❤ ヘコヘコ❤ すんすん❤」
「あぁん❤ もうだめぇ❤ 司令官さまのぶっとい腿の上で擦りつけオナニーしながら、身体を擦りつけてたら我慢できなくなっちゃうぅ❤」
「ダメよ。司令官さまとはこれで永遠のお別れ……。ふわとろオマンコにバキバキおちんぽブチ込んで、あんあん❤と軍服着衣生ハメセックスなんてしたら、愛する司令官さまもスパイの仲間と疑われてしまうもの❤」
「そんなのやだぁ❤ でもぉ、司令官さまとドエロイ下品なエッチもしないまま引き裂かれたくないよぉ❤」
「なら、せめて司令官さまがドロッドロ❤になるまで貯めたムラムラ❤を、た~っぷり吐き出させてあげるのはどうかしら❤」
「そうしよっか❤ それじゃ、司令官さまのテント張ったズボンの前に、私のお手々がお邪魔しま~す❤」
「あぁ❤ ズボンの厚い生地越しにもわかるくらい熱く硬いおちんぽが勃起していて、うっすっら我慢汁の染みができていますわ❤」
「よっ……と❤ う~ん、おちんぽ勃起しててズボンのチャック降ろせな~い❤ こんなこと今までなかったのにぃ❤ ズボン越しにおちんぽの先っぽカリカリ❤さわさわ❤してるだけじゃいつまでたってもおちんぽにご挨拶できないよぉ~❤」
「私も手伝うから安心なさい。あ、司令官さまは手を出さなくていいですわ❤ といっても、司令官さまの腕は後ろ手に縛られて椅子の背に固定されていますから、出したくても手は出せないでしょうけど❤ さぁ、こういう時は手のひら全体を突っ張った股間に押し付けて……ぐりぐり~❤と出っ張った生地を押さえつければいいのよ❤」
「わぁ❤ ほんとだ~❤ 少しずつだけどスボンのジッパーが下にずれていくね❤ でも司令官さまが椅子に深く腰掛けてるから、下のほうがうまく開けないや。そうだ❤ 私のお手々で布地越しにキンタマを掴んで……ぐいぐい❤モミモミ❤」
「名案だわ❤ 身体を浮かせないとファスナーの最後のほうがうまく開かないものね❤ これでファスナーが開ききりましたわ❤」
「すんすん……❤ はぁ~……クッサい❤ さっきより濃厚なイカ臭い匂いが漂ってきたねぇ❤」
「ええ❤ 子宮を疼かせるオスの匂い❤ 司令官さまの腿上にパンティ越しに染みができてしまいそうで堪りませんわ❤」
「それでは御開帳~❤ ふわぁ~❤ 司令官さまのおちんぽ、もう完全に勃起してる~❤」
「赤黒い亀頭の先でぱっくり開いた鈴口から、トロトロ❤の先走りがヨダレみたいに垂れてますわ❤」
「ふふ❤ イジメ甲斐がありそう❤ それでは失礼しまぁす❤ スリスリスリ~❤ いかがですかぁ、司令官さまぁ❤ 私の指先でおちんぽ焦らされるの❤ 気持ちいいですかぁ❤」
「毎日の軍務でヘトヘトの疲れマラには劇薬ですよねぇ❤ セックスはおろかオナニーもしてないムラムラおちんぽ❤ もう本気汁みたいな白い粘液が混じり始めてますわ❤」
「パンパンに膨らんだ亀頭の先っぽを、キメ細やかなミルク色の手袋に包まれた指先でちょっと突付くだけでびっくん❤びっくん❤って可愛く震えちゃって……❤ 焦らされ続けたおちんぽ❤ ダラダラ~❤って水飴みたいなおツユを垂れ流して喜んでますねぇ❤」
「うふふ❤ なら私は硬~いおちんぽの根本を優しく包み込むように指で握ってぇ……❤ にぎ❤にぎ❤ 高級シルクの純白手袋に包まれた指を、一本ずつバキバキに勃起したおちんぽに絡めていきますわ❤ 指を離す時には、精液をたっぷり溜め込んだキンタマに指先を掠らせるのも忘れませんよ❤」
「さすが~❤ だったら私も指先の腹で、玉のような我慢汁を膨らませてるおちんぽの先を、優~しく……とん❤とん❤とん❤ ツルツルの手袋に包まれた指で、先っぽを押さえたら……くちゅっ❤ あぁ~ん❤ 司令官さまのクサ~い先走りがぁ❤ 私の指先に絡みついてきますわぁ❤ そのまま指の下でパクパク口を開けてる先っぽに、ぐりぐり~❤ って擦りつけたら……たいへ~ん❤ カウパーでドロッドロになっちゃいましたぁ❤」
「くすくす❤ 司令官さまったら素晴らしいですわ❤ こんなにクッサいカウパーでマーキングされたら、スパイの私達がどこに逃げてもバレちゃいますのものね❤ ほらほら❤ もっと濃ゆい先走り汁を出して、私達をマーキングしてくださいまし❤ バキバキに硬くなったおちんぽの下にぶら下がってる、グツグツに煮えたザーメンをたっぷり溜め込んだキンタマ❤ マッサージで揉みほぐしたら、もっとおツユが出てくるはずですよ❤」
「やぁ~ん❤ 司令官さまにはかないませ~ん❤ 敵国のスパイにいいように色仕掛けされてぇ❤ 為す術もなくおちんぽ触られてるかと思ったらぁ❤ そんな深遠なお考えがあったんですねぇ❤」
「これでは私達が狙っている機密についても、きっと喋らずに終わってしまうんでしょうねぇ❤
……だったら、もうやめますか❤」
「意志堅固な殿方相手にハニートラップは通用しないものねぇ❤ 申し訳ありません、司令官さまぁ❤ 私達はもう満足しました❤ さ、早く憲兵さんに通報してくださいませ❤」
「ああでも、憲兵さんが司令官さまの言うことを聞くかどうかはわかりませんわ❤ なぜなら――憲兵とはすで『イイ仲』になっていますから❤」
「それに幹部も兵卒も……❤ みんな私達の言いなり奴隷――トモダチで~す❤ 全員が私達の国に忠誠を誓った売国奴さん……、いや売国マゾさんですから~❤」
「きっと私達を失うくらいなら貴方の口封じに乗り出すでしょうね❤」
「その時はまた別の司令官さまに『お願い』をすることになるでしょうねぇ❤」
「別の司令官さまは司令官さまのように耐えられるのでしょうか……❤」
「きっと耐えられず、機密を漏らしてしまうに違いありませんわ❤」
「司令官さまが今されているように、後ろ手に縛られたまま椅子に座らされて……❤」
「むっちむちの極上の身体を持った二人のエッチなスパイに寄り掛かられて……❤」
「この国の鶏ガラのような体型の女性用に作られたせいで、爆乳おっぱいが胸元からぼろんっ❤と零れ落ちそうになっている制服を、むにゅむにゅうっ❤と柔らかく押し付けられて……❤」
「むちむちぱつぱつ❤のスベスベな太ももで、司令官さまの両足を一本ずつ、むぎゅううぅぅっ❤と挟んで、逃さないようにされて……❤」
「女に耐性のない生活を送っていた免疫のないの男が、一発でメロメロ❤になっちゃうくらい甘ったるいフェロモンでムンムン❤の身体を、スリスリ❤と擦りつけられて……❤」
「オナ禁してるせいで勝手に耐性ゼロになった雑魚おちんぽの先っぽを指先でぐりぐり❤されて……❤」
「本当はマスカキ吐精❤したくてたまらなかったムラムラザーメン❤でタプタプ❤になったキンタマをモミモミ❤されて……❤」
「「……どぴゅっ❤」」
「……ふふ❤ もしかしたらですけど、本当は司令官さまも射精したいんじゃないですか~❤」
「でもダメです❤ 機密を言っていただかないと、射精はさせてあげません❤ これ以上色仕掛けをする必要もありませんしね❤」
「さっきも言ったように、この基地の皆さんは私達の言いなりですよ~❤」
「頑張って耐えて連絡しようとしても無駄でしょうね❤」
「それどころか貴方を始末して私達から『とってもスケベなご褒美』を貰おうとするかも❤」
「仮に貴方が生き残ったとしても、今度は別の司令官さまに『今よりずっとエロ~い色仕掛け』をすればいいだけ❤」
「ふふ❤ 聡明な司令官さまなら、どっちがお得か、わかりますよね❤」
「もし言ってくだされば、他の奴隷おちんぽにはしなかった……貴方だけに特別な『イイコト』を教えてあげますよ❤」
「ほら、言ってください❤ 焦らされ続けて爆発しそうになってるおちんぽの先っぽ❤ とんとんとんっ❤って指で叩いちゃいますよ❤」
「さぁ、言ってください❤ 私達が部屋に入ってきてから精液をぎゅんぎゅん❤って作り続けて破裂しそうになってるキンタマ❤ モミモミモミ❤って指で包んじゃいます❤」
「ねぇ……❤ イッてぇ……❤ おちんぽ気持ちよくピュッピュ❤したいでしょ……❤」
「もう……❤ イッてぇ……❤ ザーメンたっぷりとドクドク❤ってしたいでしょ……❤」
「イッちゃえ❤」
「イッちゃえ❤」
――――!!
どぴゅっ❤ どびゅどびゅっ❤ びゅぶっ❤ びゅるる~~~っっっ❤ どぷどぷどぷっ❤
「「……くすくす❤ イッちゃいましたね❤」」
「女の子宮に注ぎ込んでたら絶対に妊娠するくらい濃そうなザーメン❤無駄撃ちしちゃいましたねぇ❤」
「空中にドピュッ❤っと打ち上げて、地面にゴミみたいにベチャベチャッ❤とブチ撒ける姿はとっても男らしかったですわ❤」
「売国射精❤とっても気持ちよかったみたいで嬉しいで~す❤ わざわざ時間をかけてこの基地の男を骨抜きにした甲斐がありました❤」
「祖国を裏切りながら敗北吐精するのは快感でしょう❤ でも、これで司令官さまは完全な裏切り者ですわ❤」
「でも心配しないでくださいねっ❤ 貴方は私達が堕とした中では最も階級の高い御方ですからぁ……❤」
「これから私達の国のために働いてもらうために、ふさわしい場所へ移っていただきますわ……❤」
「そこには私達のような極上の美女美少女がエッチなスパイとして訓練を受けています❤」
「貴方にはどうすれば殿方が喜ぶのかを教え込むために、ハニートラップの実験台として、訓練所で余生を送っていただきますわ❤」
「もちろん、この栄誉を授かれるのは貴方だけ……❤」
「私達はそのまま貴方専用の特別看守として同行したします……❤」
「うふふ❤ 嬉しいですよねぇ❤ 貴方は死ぬまで、哀れで弱っちい売国マゾの生き証人として生きるんですよぉ❤」
「雑魚マゾおちんぽの国家代表として、せいぜいみっともなくて情けない姿を晒し続けてくださいね❤」
「「これからも末永くよろしくお願いいたします、司令官さま❤」」
………
……
…
「あ、そうそう。さきほど教えると約束した『イイコト』でしたね❤」
「それは私達のつけている『手袋』です❤」
「この手袋……実は私達がいま穿いている『パンティ』と同じ素材で作られているんですよ❤」
「色も、生地も同じ❤ この手袋で擦られるということはぁ……❤ 私達の穿いているパンティに擦りつけるのと同じです❤」
「わかりますか~❤ ツルッツルの手触り最高なパンティに、クサい勃起おちんぽを擦りつけてるんです❤」
「本当ならこの一枚布の向こうに、私達の恥ずかしい割れ目があるんですよ❤」
「「……オマンコ❤のことです❤」」
「あはぁ~ん❤ 司令官さまのおちんぽ❤ また硬くなっちゃった~❤」
「たかが布一枚がパンティと同じというだけで汚いカウパーを撒き散らして喜ぶなんて……❤ バカなオスですね❤」
「私達の指先を包んだ手袋を、オマンコを包み込んだパンティと思い込んで交尾の準備を始めちゃうおバカおちんぽ❤」
「私達が手と手を合わせて、穴を作ってあげますから❤ そこにむかってみっともなくヘコヘコ❤腰振りオナニーしてください❤」
「歩くたびに揺れるミニスカの奥でチラチラしてた純白パンティ❤」
「貴方以外の多くの殿方にも見られていたスカートの奥❤」
「私達が落とし物を拾う時には、兵士が猿みたいな表情になって後ろに回って見てきた、お尻の谷間に細い紐上になって収まっていた白い下着❤」
「椅子に座った時に、将校が鼻の下を伸ばして前から覗き込んできた、こんもりと柔らかに膨らんだ純白布越しの股間❤」
「あなたも同じように何度も覗き込んできたのは知ってるんですよ❤」
「私達のパンティで何回センズリぶっこ抜いたんですかね❤」
「最初から負ける準備をしてた雑魚おちんぽ❤」
「女のお手々に恥ずかしい腰振りオナニーするおちんぽ❤」
「どうせ国を裏切ってしまった後なんですから❤ もう恥ずかしい真似をしてもいいんです❤」
「貴方が最低なことは分かりきっていることですから❤ 人間として最低なことをしても問題ありません❤」
「「それっ❤ ヘコッ❤ヘコッ❤ヘコッ❤」」
「ほらほら❤ イッたばかりの敏感おちんぽ❤ お手々マンコと本気交尾しちゃえっ❤」
「さあさあ❤ 快感本位のおマヌケおちんぽ❤ 手袋パンティに向けて種付け射精しちゃえっ❤」
「繋いだお手々を握ってあげますから❤」
「オマンコだと思って精液注ぎ込んでくださいね❤」
「「せ~の……❤ ぎゅうううぅぅぅ~~~っ❤❤❤」」
どぴゅっ❤ どぷどぷどぷっ❤❤❤ びゅぷぷっ❤ ぴゅっ❤ ぴゅるる~……っ❤ どぷどぷ……❤
「あらあら❤ 本当にお漏らししてしまったんですかぁ❤」
「ちょっと手を強く繋いで穴を狭めたら、まるでキツキツのオマンコに搾られたみたいに出してしまうなんて❤」
「こんな弱いクソ雑魚おちんぽのままではハニートラップの教材にはなりませんわ❤」
「仕方がありませんねぇ❤ 私達の国の訓練所に行く前に、徹底的に搾りまくって多少はおちんぽに耐性をつけてあげませんと❤」
「訓練所に行くまでには、一人前の売国おちんぽの持ち主になれるようにしてあげますから❤」
「「くすくすくす……❤」」
アナザールート・バッドルート
最終話 神倉家の日々 ♯◆
総太郎の敗北によって流派同士の激突にも決着がついた。冴華以外の神倉流の面々は全員敗北しているが、総太郎が冴華に負けたことによって、それ以外の勝利もすべて無意味なものとなってしまったのである。
結果が報告された際、美耶は笑顔を見せて冴華を祝福した。彼女は総太郎と冴華、どちらが勝ってもそれはそれでよしと考えていたのだろう。
この後、全員に経緯の説明がなされ、斤木流は解散となり神倉流に吸収されることになった。とはいえ涼子や姫乃、かえでなど斤木流の面々は神倉流に合流することは当然のように拒否し、今後はかえでを当主として存続することになったようだ。
総太郎は気絶していたため、そのあたりの事情は事後になって聞かされた。気がついたら総太郎は神倉家の母屋で目が覚め、それからはそのまま神倉家に留め置かれた。
そして、ある日の夜――
「くっ、あっ、ああ……!」
冴華は総太郎の上にのしかかって腰を振っている。こうして毎晩、総太郎は冴華に犯される形で床を共にしていた。ほぼ性奴隷のような扱いだが、体裁としては婚約者同士ということになっている。
この家には、夜は他には誰もいなくなるため、総太郎は冴華と二人きりだ。誰も助けてはくれない。
かくして、総太郎は冴華の膣の責めを受け、ペニスに走る快感に喘ぎ続けていた。
「そういうわけで、総太郎にはこれからこの神倉家で暮らしてもらうわ。斤木家のほうはかえでちゃんが当主を引き受けるって言って戻ったし、彼女に任せれば問題はないでしょう」
セックスをしながらも、冴華は涼しい顔をして総太郎に今後のことを説明してくる。
かえでは総太郎のあとに冴華に挑んだというが、かなわなかったようだ。斤木家の兄妹は揃って冴華の前に膝を屈してしまったことになる。
「かえでちゃんはあきらめずにあなたを取り戻すつもりらしいけど、ま、何度か相手をしてあげればあきらめるわよね。もうあの子があたしに勝てる要素はないもん」
それは総太郎にも、不本意ながら理解できた。総太郎が秘伝書などを冴華に渡してしまった以上、かえでにはもう奥義を極める手段がなく、伸びしろの多くが失われてしまった。逆に、冴華は統一された神倉流の技をこれからいくらでも習得してゆくことができるのだ。
「あの子のためを思うなら、あなたからも説得して斤木流の存続はあきらめさせてよね。さてと、そろそろあたしもイくから、フィニッシュといきましょうか」
そして、冴華は強く膣を締めつけながら、腰を激しく動かしてくる!
ずちゅううぅっ!
「う、ああっ!」
びゅくっ、びゅっ……
この夜、何度目か分からない射精を冴華の膣内に放ち、総太郎は力尽きて四肢を投げ出す。
冴華は満足そうに息をつくと、総太郎に体を重ねるようにしながら唇を奪ってきた。
ちゅうっ……
「んぐっ、うっ……」
「ん……♪」
柔らかな唇の感触が、総太郎の射精の余韻を痺れるような快楽に変えてくれる。全身に甘い快感が染み渡るような心地よさに、総太郎は浸った。
そのまましばらくキスをしてから、冴華は総太郎を解放した。脱力した彼の腕に軽く抱きつくようにしながら、冴華はささやいてくる。
「支配できてるって思うと、総太郎のことも可愛く感じられてくるから不思議ね。体の相性はいいし、あたしも気持ちよくなれるから、あなたを夫に選んで正解だったわ」
「……お前、どうしてあれだけ嫌っていた俺を相手に、こういうことをする気になったんだ」
あの決戦の日からずっと疑問に思っていたことを改めて聞くと、冴華はさっぱりした口調で答えた。
「あたしも、あなたを壊そうとして何回も失敗したわけだし、学習ぐらいするわよ。今までのやり方じゃダメなんじゃないか、って思ってね……」
あまり感情の感じられない声を出しながら、冴華は総太郎の腕に抱きついている自分の腕の力を少し強める。
総太郎の腕には、彼女の形のいい胸の柔らかみが伝わってくる。そんな彼女の感触と体温を心地いいと思う程度には、総太郎は冴華との夜に慣れてきていた。
「ま、要するに気が変わったのよ。最初はとことん壊してやるつもりでいたけど、それはもったいないって思わせるだけのものを見せてくれたし、堕とすほうに切り替えたわけ」
そう言って、冴華は小さく身じろぎをする。そうすると、より総太郎の体に冴華の感触が伝わってくる。
「こんなこと、もしあの日あたしが負けてたら一生言わなかったと思うけど、厄介な奴だなって思い始めてた時点で、あたしは総太郎のことをライバルと認めてたよ。去年の夏ぐらいかな」
「そうだったのか」
「秋にリベンジマッチを申し込まれたときには、まだ壊してやるつもりでいたけど……あの冬の決戦の日は本当に感心したわ」
最後の勝負のことを思い出しているのか、その冴華の声には真摯な響きがあった。
「あの何も知らない甘ちゃんだったあんたが、一年も経たずにあたしと互角に張り合えたんだからね。ここまでやれる奴なら、屈服させて奴隷にしたいって思ったんだよ。以前はそんなことかけらも思ったことなかったのに、ある意味、あの勝負であたしは総太郎の実力を認めさせられたんでしょうね」
喜んでいいのか、複雑なところだった。総太郎は夫としての価値を冴華に認めさせることはできていたようだ。だが、そこが総太郎の限界でもあったようである。
冴華の実力に手をかけるところまでは行けたが、追いすがることはできても追い越すことはできなかった。それがあの日の勝敗として現れ、こうして今では上下関係として現れているのだった。
「その実力、これからは私と神倉流のために役立ててもらうからね。総太郎なら、秘法を使った女にとっては最高のトレーニングパートナーになるわ」
「しかし……女性恐怖症がぶり返した今の俺に、そういう役に立つことができるんだろうか」
「それは心配いらないわ。あたしに逆らうことはできないでしょうし、女に危害を加えることもできないかもしれない。でも、実力はちゃんと発揮できるように、コントロールしておいてあげるから」
「え……?」
「忘れたの? あなたの女性恐怖症は、あたしがかけた暗示なんだから。症状の度合いをコントロールすることぐらい、お手の物よ」
そう言ってウィンクしてみせる冴華。
「そんなことが、できるのか……」
ちらりと彼女の可愛らしい顔を見て、総太郎は、この婚約者の恐ろしさを改めて実感させられるのだった。
それから――
総太郎は学園卒業後には正式に冴華の夫となり、下梁瀬の地で暮らし始める。
もちろん楽をさせてはもらえない。冴華をはじめとした神倉流の女性たちの練習相手として、ひとりで多数の相手を引き受けることとなるため、組手はいつも限界まで酷使される日々だった。
が、皮肉なことにそれが総太郎を鍛え上げる結果となり、次第に多くの女性を相手にしても耐えられるようになっていった。それでも、冴華には決して勝つことができなかったが……
そして、夜は毎晩のように冴華主導の性行為に励むこととなった。もちろん奉仕もさせられたが、一方的に犯してくる冴華のセックスは総太郎もしっかり気持ちよくなれたので、性生活はそれほど悪いものではなかった。
そうして年月を重ね、神倉流古武術道場は女性向けの護身術として評判になったこともあって順調に発展してゆき、総太郎も門下生たちの稽古相手として流派のために貢献を続けてゆく。秘法を使った稽古をするためには腕の立つ男の存在は必要不可欠で、神倉流と斤木流双方に知識のある総太郎はうってつけの存在であったのだ。
どんな形であれ、自分の価値を認めてもらえているのだ。総太郎は悪い気分にはならなかった。
(神倉流も俺の先祖が編み出した武術に変わりはない。こうなった以上は、統一された流派のために頑張るしかないだろう)
神倉家の蔵には古い文献が多く残されており、斤木家のそれよりも古い時代のことを多く知ることができた。そのおかげで神倉流への理解が深まり、ここに身を置くことへの抵抗も薄れていった。
そうは言っても、かつての仇敵のために人生を捧げなければならない自分の境遇に虚しさを覚えることもあったが――それも、冴華が妊娠するまでのことだった。
日に日に大きくなってゆく冴華のお腹、そこに新しい命が宿っているのを思うと、総太郎は父親としての責任感が芽生えてきて、いつまでも自分の人生を嘆いている場合ではないと思えてきたのだ。
「総太郎とあたしの子供だからね。きっと強い格闘家になるでしょ、統一された神倉流の初めての当主になるかな?」
病院のベッドの上でそう言ってお腹を撫でた冴華の表情は、それまで見たことがないほど穏やかなもので、総太郎は初めてこの自分の支配者である女性を愛おしく感じたのだった。
そして、二人の間に娘が生まれ、それから長い年月が流れた――
ある日。道場主である冴華と、師範代の総太郎が手合わせをしている。
それを、門下生の女性たちが静かに見守っていた。この神倉流道場では、稽古がある日は毎回、冴華が秘法を使った技を披露するために総太郎との手合わせを見学させているのだ。
「はあぁっ!」
冴華が長いポニーテールを水平になびかせながら、鋭く踏み込んで追い突きを放ってくる。
神速ともいえる一瞬での深い踏み込み。分かっていても対応できるものではない。
そして、追い突きが総太郎のボディに炸裂する!
ドスッ!
「ぐふうっ!」
鋭く突き刺さった冴華の拳。総太郎の体はくの字に折れ、その場にゆっくりと崩れ落ちる。
倒れた総太郎を見下ろしながら、冴華は息をつく。
「ふうっ。この追い突きも磨かれてきた気がするわね」
「う、うう……」
「それにしても総太郎、これでもう何万連敗だったかしら? 相変わらず、あたしに勝てる気配がかけらもないわね」
そう言ってポニーテールを背中に送る仕草をする冴華。
中年と呼ばれるような歳にさしかかってきても、冴華の美しさは損なわれていない。むしろ気の強さが女性的魅力として現れたようなシャープな美しさは磨きがかけられ、あの頃にはなかった色気が備わってきている。傍で見ていた門下生たちも、その強さと美しさの両方に感嘆のため息を漏らしていた。
「やっぱり冴華さん、りりしくて格好いいわねえ」
「ああいう歳の取り方をしたいなー、すごく艷やかな色気をしてるし、憧れるわー」
門下生たちからそんな声が漏れてくる中、冴華は総太郎のそばに寄り、誰にも聞こえないようにささやいてきた。
「今日もあなたの負けだから、夜はたっぷりといじめてあげるからね」
「う……」
そんなことを言われると、総太郎は一瞬で勃起してしまう。道着なので分かりにくいであろうことが幸いだった。
総太郎は立ち上がって礼をして下がる。それと同時に、冴華は見学している門下生たちに告げた。
「今の勝負で見てもらった通り、秘法を使った戦い方の基本は一瞬で力を爆発させて一撃で相手を倒すことよ。みんな、ちゃんと覚えたかしら」
見学している門下生は、女性ばかり十人ほど。みな冴華に心酔している。
彼女たちがどこか総太郎を見下したような様子であることを、総太郎本人も悟っていた。今日のような姿を毎日のように見せられては、そうもなるだろう。
「じゃ、あとは総太郎、みんなの相手をしてあげてね」
そして、今日も総太郎にとってはハードな時間が始まるのだ。
総太郎は多くの女性門下生の相手をしなければならず、そのおかげで実戦感覚は磨かれていて格闘家としての持久力も驚異的なレベルで身についているが、そのかわり自己の技の研鑽をする時間はあまりとれず、高度な技をどんどん身につけていった冴華とは大きな差がついた。アスリートとしては総太郎は一流のものを手に入れたが、格闘家としてはそうではなかった。
その結果、耐えることばかり上手くなって、冴華に対してはやられ役しかできないような男になってしまった。門下生の中にも、今では総太郎より強い女性は何人もいる。
情けないことだが、冴華の奴隷夫としていいように使われてきた結果だった。
「ふっ!」
門下生たちが帰って誰もいなくなった道場で、ようやく総太郎は自分の鍛錬ができる時間になり、ひとり形稽古をする。そして、幾度となく繰り返した刹渦柳影倒舞のステップを復習するが、あの頃を大きく超えることはやはりできていない。
総太郎の技術は停滞していた。
(あの頃は、もっと高みへ至る道が見えていた気がするんだが)
あの冴華との最終決戦で一度だけできた、体軸を反転させる動き。あの先に至ることができればと思っていたが、結局、あの動きは今に至るまで一度も再現することができなかった。冴華に屈してしまった今の自分の精神では、格闘の神のようなものがそれを許してくれないのではないか、などと益体もないことを考えもした。
「今日はここまでにしておくか。ふうっ」
総太郎は道場を出て縁側で休む。
すると――
「お父さん、お疲れさま」
「ああ、智華ともか。ありがとう」
タオルと飲み物を渡してくれた少女は、総太郎と冴華の間に生まれた娘だ。総吉が亡くなった頃の総太郎と同じくらいの歳になったが、次第に女らしさが見えるようになってきている。
母の冴華に似た色素が薄めの髪を肩まで伸ばしている。幼い頃から冴華と総太郎に教えられて武術の修練しているだけあって体は締まっており、すらりとした整った体型をしている。
「今日もみんなの前でお母さんに負かされたんでしょ? お母さん、何かとお父さんをいじめるけど、ああいうところは好きになれないな」
少し膨れた表情をして冴華をちらりと見た。
総太郎は稽古で冴華に負けてばかりいることもあり、それを毎日のように見ている門下生たちからは侮られているところがある。それが智華は面白くないようで、こうして冴華よりも先に総太郎のもとにやってきてねぎらってくれることが多いのだ。総太郎を貶めるようなことをする冴華に対しても、やや反感を抱いているところがあるようだ。
「私はお父さんが強くて立派な人だって分かってるからね」
「智華は優しいな。ありがとうな」
そう言って頭を撫でてやると、智華は気持ちよさそうに目を細める。
優しく真面目で、若い頃の冴華に顔立ちは似ているのに性格面はだいぶ印象が異なる。誰に似たのか総太郎は不思議だったが、冴華との夫婦生活では総太郎が一方的に我慢させられることが多く、ストレスが溜まることもよくあり、智華の存在は癒しであった。
(智華はいい子に育ってきたな。武術のほうも筋がいいし、神倉流は智華の代になれば俺たちの代よりも健全なものになってゆくだろう)
斤木流を吸収したことにより、今の神倉流はかつての古武術流派としての技がすべて備わった流派になった。智華は武術に対する姿勢も真摯で、よい格闘家になると総太郎は確信している。そんな彼女が流派を継いで育てていけばきっと神倉流は武術として大きく発展していくと総太郎は思うのだ。
総太郎の挫折も、冴華との争いも、この智華のことを思うとすべて意味のあることだったのだと今は思えるのだった。
そして、その夜。
智華が自分の部屋で寝静まった後、総太郎は冴華と夜の営みをしている。しかし当然、冴華主導のものであり、冴華は総太郎を組み敷いて彼の両手首をおさえつけ、その体勢で総太郎のペニスを膣で飲み込み、犯していた。
ずちゅっ、ずっ、ずぷっ……
「ぐっ、あっ、あうっ……!」
「ふふ、相変わらず可愛い声を出しちゃって……嫁に押さえつけられて犯されているっていうのに、微塵も男らしさがないわね」
嫐るような冴華の言葉にも、今の総太郎は鼓動を加速させてしまう。昔と比べ、冴華には大人っぽい艶やかな色気が顔立ちにも体つきにもあり、そんな彼女を見上げながらのセックスには男としての情欲を素直に呼び起こされる。
むろん、負けた上に犯されているという状況には屈辱感はあるのだが、今の冴華に犯されて興奮しないということはありえなかった。長い栗色の髪を振り乱して総太郎を犯す冴華の肢体に目を奪われ、とろけるような柔らかな膣肉にもペニスを刺激されて、性感をこれでもかと味わわされているのだ。
喘ぐ総太郎を見下ろして、冴華はふっと笑みを浮かべる。
「総太郎、今日もあっさりとあたしに負けたわね。あたしと戦うときだけ女性恐怖症は解除してあげてるのに」
いつからか、冴華は総太郎を相手にするときは暗示を完全に解いてくれていた。だというのに、総太郎はまったく冴華にかなわない。
若い頃、一瞬だけ彼女に追いすがることができたことがあったのに、今はすっかり実力差がかけ離れてしまっていた。
「もうちょっと食い下がってくれたほうが面白いし、次は頑張って欲しいものね。まあ、あなたをボコボコにするのはゾクゾクして楽しいから、それでもいいんだけど――互角の勝負のほうが、あなたの悔しがる顔を最高に楽しめるのよね」
そう言いつつ、冴華は膣を締めつけてくる。
にちゅううぅっ……
「あ、あうううぅっ!」
びゅくっ、どぷっ……びゅっ、びゅるっ……
「は、はうぅっ……」
総太郎のペニスから精液が噴き出し、冴華の膣内に注がれる。暖かく絡みついてくる膣肉は若い頃よりも柔らかで、ペニスを常にとろけさせるような絶妙な感触で責めてくる。冴華がまったく腰を動かさなくとも、挿れているだけで枯れるまで射精させられてしまうような名器なのだ。
それで冴華が上になって激しく責めてきているのだから、たまったものではなかった。気を強く持っていないと、常に波のように襲い来る快楽の前に、すぐに限界を迎えてしまうだろう。毎日の営みで慣らされているから耐えられるが、おそらく総太郎の若い頃から冴華がこうだったなら、壊されてしまっていたに違いない。
ずちゅっ、ずちゅっ……
「あうっ、ううっ」
総太郎が絶頂しても、冴華の動きは止まらない。彼女が絶頂できるまで、総太郎がどうなろうが構わず彼女の腰振りは続くのだ。総太郎はもうこの日は何度もイかされており、ペニスはすでに快楽で痺れたようになってしまっている。
「こうやって、なすすべもなくあたしに組み敷かれて気持ちよがらされてるあなたの悔しそうな顔を見下ろしていると、興奮してたまらなくなってくるわ」
妖艶な雰囲気を持つ冴華を見上げながら、総太郎はなすがままになるしかない。
「これだからあなたとのセックスはやめられない……体中がジンジン痺れて、興奮でおかしくなっちゃいそう」
そう言いながら、冴華は腰の動きを加速させ始める。トドメとばかりに、総太郎のペニスを容赦なく責め立ててくる。
こうなると、最後に強烈な絶頂が待っているのだ。総太郎は快楽の波が押し寄せる予感を前に、気を強く持っておかねばならなかった。
そして……
ずちゅっ、ずっ、ずちゅうっ! ずぷっ、ぐちゅっ……!
「うあっ、あっ、あがあああぁぁっ!」
どぷっ、びゅくっ、びゅくっ! びゅっ、びゅるっ……!
どぷっ、どくんっ……
「ひ、ひぐううぅっ……あ、あああぁぁ……!」
どこに残っていたのかと思えるほどの精液が、総太郎のペニスから噴出する。冴華の膣肉が強く絡みつき、総太郎のペニスを締め上げるようにして精液を根こそぎ吸い上げてしまう。
そして、最後には一滴も出なくなったペニスごと、総太郎は全身を激しく絶頂させて体を痙攣させるのだった。
びくっ、びくんっ……
「あ、あ、ああぁ、うぅ……」
全身に駆け巡る激しい快楽。涙とよだれを流しながら、冴華に味わわされる甘美な快感に浸る。
やがて、冴華はふっと息をつくと、ゆっくりと腰を上げてペニスを解放する。その際、膣壁とペニスが擦れてカリ首が引っかかり、その刺激で総太郎はさらに一度、激しい絶頂をした。
「あひいぃっ!」
びくんっ、と大きく体を跳ねさせて、激しい快楽に声を上げてしまう総太郎。その視界には、冴華の柔らかそうな肢体が映る。ほんのりと汗がにじんで、つややかな肌が輝くように白く光っているように見えた。
その肌と肢体のみずみずしさは、若い頃と遜色ないばかりか、色気が加わって余計になまめかしくなり、娘が大きくなってきてもまったく老いというものを感じさせなかった。
「ふう……今日もよかったわよ、総太郎。あたしも結構激しくイっちゃったわ」
「ひぃ、はぁ、はぁっ……」
「あなたをイかせながらのセックスが、一番あたしに充実感を与えてくれるわね。あなたが強い男だからこそ、セックスで支配して屈服させたくなるの」
嗜虐的な笑みで見下ろしてくる冴華。こうやって総太郎を枯らして、男としての性的な完全敗北を味わわせることで、冴華は自らも興奮して絶頂するのだ。こうした性行為の形が、サディスティックな性的興奮を彼女に味わわせているのだろう。総太郎としては辛いものはあったが、これが二人の標準的な夜の営みであった。
ちなみに、稽古で手合わせをした日にしかセックスは行われない。普通の日だと、冴華は燃えるものがなくセックスをする気分が盛り上がらないようだった。
(うう……わ、我ながら、よく気が保つもんだ……気持ちいいからいいけど……)
なんだかんだで快楽を楽しんでしまっている総太郎。翌日に激しい倦怠感に悩まされることになるとは分かっていても、冴華が与えてくれる快楽はたまらないものがあったし、彼女に見下されながら屈服させられてしまうことに興奮してしまってもいるのだ。今の総太郎は、冴華に支配されることを心身ともに受け入れている。
セックスが終わり、やがて二人とも気分が落ち着くと、ただ抱き合って眠りに入ることになる。冴華の見事なスタイルの肢体は抱き心地も抜群で、総太郎としては彼女と寝ることは喜びだった。
寝入る前に、冴華とは話をすることもあった。この日は、大切なことを冴華は口にしてきた。
「ところで、今週末あたりに智華に秘法の儀式を施そうと思うの。あなたも立ち会ってね」
「え……珍しいな、儀式に俺を同席させるなんて」
「本来なら男性の同席は厳禁なんだけど、ま、あなたにとっても娘の儀式だものね。今回ばかりは夫婦でしっかり見届けるべきだと思って」
冴華も、夫婦になってからはただ総太郎を支配するだけではなく、対等ではないにしろ気遣いはしてくれる。そこに微量でも愛情があってくれればいいと、総太郎は思っていた。
「そういうことなら、俺もしっかり見届けよう。いずれ神倉流を継ぐ智華にとって重要な儀式なんだろうしな」
「ええ。すでに技はある程度習得させているけど、儀式を施されるまでは真に神倉流の者とはいえない。第一歩を踏み出す瞬間は、家族みんないっしょじゃないとね」
総太郎と冴華は、どういう成り行きであれ、すでに家族だった。そう自覚できたのは智華が産まれてからだったな、と総太郎は思い返す。冴華もおそらくそうなのだ。母となってから総太郎に対する態度がいくぶん柔らかくなった。
智華のおかげで、この二人は家族としての自覚を持つことができるようになっているのだった。
そうして、智華に秘法の儀式を施す日がやってきた。
この日まで施されてこなかったのは、もちろん智華の体への配慮のためである。幼い頃から秘法を使えるようにしてしまうと体を壊してしまう例が多かったのだといい、ある程度成長してから施すということは昔から定められていたことなのだという。
「雑念を捨てるように。私の言葉に耳を傾けて、体に秘められた力をすべて引き出すことをイメージしなさい」
道場の中央で目を閉じて座っている智華に、後ろから冴華がささやいている。秘法の儀式は催眠術だ。それは総太郎も昔から知っている。
集中力が足りずに失敗する女性も普通にいるとのことだが、成功するまでは何度もかけ直すことができるらしい上、後遺症なども特に残らないと冴華は言う。この儀式自体は危険は多くはないようだった。危険なのは、一度使えるようになった秘法を封じる術のほうなのだ。かつて、この神倉流の師範代であった梁瀬美耶のことを総太郎は思い出す。
そして、冴華によって智華は秘法の暗示を施され、剛力法の基礎を刻み込まれて儀式は終わった。
「……うん、さすが智華、私の娘ね。素晴らしい集中力だったわ」
そう冴華が緊張をとくと、智華も目を開いた。
「さあ智華、父さんを相手に秘法を試してみなさい。基本の剛力法だけは、効果は低いだろうけど使えるはずよ」
「はい」
総太郎が前に進み出て、智華も立ち上がって正面に立つ。
「お父さん、いい?」
「ああ、遠慮なく力を入れていいぞ」
そのために総太郎はこの場にいるのだ。両親が見守る前で、智華は総太郎の胸板に両手を当てると、そのままぐっと前に押した。
すると、明らかに普段の智華とは違った膂力が感じられた。冴華の言うように弱いものだが、間違いなく剛力法が発動している。
「うーんっっ!」
力を入れて胸板を押してくる智華の様子は可愛いものだが、小柄な体から信じられない力が伝わってきて、智華も神倉流の女格闘家になったのだと総太郎は思った。
「いい手応えだ。初めてなのに結構使えているな」
「暗示をかけたときの感じからして、秘法は私よりもよく使いこなせそう。佳菜とタメ張れるかもしれないぐらい」
今はもうここにはいない、元神倉流の女性の名を冴華が口にする。総太郎が知る限りでも最も秘法を使いこなすセンスがあった人物だが、彼女と互角の才能であるというのなら、智華は豊かな将来性を持っているということになるだろう。
ある程度智華の力を確認してから、総太郎は制止の声をかけた。
「そろそろ終わりにしておきなさい、智華。あまり長時間続けると体に負担がかかってしまう」
「うん」
実際は、まだ未熟な秘法なので効果が低く、体への負担はそれほどでもないだろう。が、総太郎は智華の身が心配になって切り上げさせた。冴華もそろそろ同じように声をかけようと思っていたのだろう、総太郎に向かって小さくうなずいてみせた。
「智華。今はまだ、智華は他の門下生と同じ状態だけど、ある程度秘法の技術を覚えたら暗示のかけ方も習得してもらうわ。いずれ神倉流の当主になるのであれば、暗示の継承は必ず必要なことだから」
「わかりました」
「そのためにも、まずは秘法の使い方をしっかり覚えてもらわないとね。武術の鍛錬と同じくらい、これからは秘法の修練もするから、そのつもりでいなさい」
神倉流の女性は武術だけやっていればいいわけではないのだ。そのことを思うと総太郎は劣等感を刺激される。武術のみに集中できる自分が冴華に勝てないということに、彼女との明らかな格の差を感じざるを得なかった。
「総太郎。明日は私は支部に稽古をつけにいくわ。あなたは留守番をお願い」
「また支部行きか? 熱心なのはいいけど、たまには智華と遊んでやってもいいんじゃないか」
「あの子とは毎日稽古しているんだし、それだけで充分でしょう」
「いや、師匠として稽古をつけるもいいが、親として交流を持つことも必要じゃないかと思うんだが。そういうことを冴華に求めてるぞ、あいつ」
「それは総太郎がかわりにやっておいてちょうだい」
総太郎に対してというよりは、智華に対して冷淡なように総太郎には思えた。
夕食後、洗い物を済ませて布団に入る。冴華との性行為は今日はなく、彼女は隣で眠りについている。
寝入るまでの間、総太郎は考える。
(冴華は俺のことはもちろん、智華のことすら愛していないんじゃないかと感じることがある。妊娠したときや産まれたときは慈しむような顔を見せたものだが、智華が成長するにつれてああいう雰囲気も見せなくなった)
厳しく育てようとしているのは分かる。冴華は智華に対し、稽古中はもちろん日常でも優しい態度をめったに見せない。冴華なりに智華のことを思って厳しくしているだけなのかもしれないが、しかし話を聞く限り冴華の母の風華は冴華に優しくしていたはずなのだ。そうやって受けた愛情を自分の娘にも――という雰囲気は、冴華には見受けられない。
夫だけでなく娘も流派発展のための道具としてしか見ていないのだろうか。もしかすると愛情というものに価値を感じていないのかもしれない。
(冴華に歪んだところがあるのは分かりきっていたことだが……昔のことを後悔しても遅いが、あいつのためにも、俺はあのとき負けてはいけなかったんだろうな)
すべては終わったことではあるが、自分の弱さを恨めしく思う総太郎だった。
(しかし、冴華は俺が智華に甘い顔をしていても何も言わない。あれはいったいなぜなのか、気になるな)
その結果、智華は総太郎になついており、冴華には反発している。智華が産まれたとき、総太郎はさぞ冴華は智華をかわいがり手塩にかけて育てるだろうなと思っていたのだ。昔から女には甘かったのだから。
そうなれば智華は冴華になついて総太郎を侮るようになり、毎日惨めな思いをさせられる家庭になるだろうなと予測し、それを覚悟してもいたのだ。しかしその予測は外れ、今の神倉家の現状は総太郎にとって意外なものであった。
翌日。冴華は予告通りに支部に出張し、道場は休みとなっていた。
そして祝日なので智華は学園が休みであり、総太郎と二人きりだった。こういう日は智華は遊びか稽古か、どちらかをせがんでくる。
「ねえお父さん、今日は久しぶりに二人きりで稽古つけてくれないかなあ」
「ああ、いいぞ」
「やった、今日は一本取れるように頑張るもんね。秘法も使えるようになったし」
娘にせがまれて稽古をつける、というのも格闘家として嬉しいことだ。冴華との結婚は総太郎にとって望ましいものではなかったが、智華に稽古をつける時間は充実していて、今はこれでよかったのだと思えるのである。
二人で一緒に道場へ。休みの日で冴華もいないので、誰にも邪魔されることのない環境だ。
「んじゃ、準備しよっと」
「おいおい」
いきなり智華が道場のど真ん中で服を脱ぎ始めたので、総太郎は苦笑して注意した。
「着替えは更衣室で済ませればいいじゃないか」
「べつにいいじゃない、お父さんに見られてもなんとも思わないし」
そうは言っても、智華も小さいとはいえ女なのだ。少しずつ女らしさも見えるようになってきた今は、日常生活でもたまにびくりとしてしまう瞬間もある。
そして、目の前で着替えなどされて肌を露出されると、どうしても智華が女であることを強く意識させられてしまうのだ。そうなると、総太郎の心臓は鼓動を速めてしまう。女性への恐怖心が呼び起こされて――
(いやいや、落ち着け。娘相手になにを考えてるんだ)
日に日に若い頃の冴華に似てくるせいか、惑わされそうになってしまう。しかし智華は冴華ではない。恐怖も性欲も感じることなく対応できるはずなのだ。
そして、智華は着替え終わった。だが、彼女は道着を着てはいなかった。
「なんか道着が洗濯中だからこれでやるね」
「お……おいおい」
「この格好じゃお父さんから見ると投げ技とかはかけにくいかもだけど、お父さんのほうが強いんだからハンデってことでいいでしょ」
そう言って小さく舌を出す智華。偶然なのか意図的なのか、タンクトップにスパッツという、ぴったりとして露出の多い格好だ。
かわりの道着を用意したほうがいいのではないかと思ったが、女性用の道着を調達しようとすれば女子更衣室に入らねばならず、今の総太郎にそれはできなかった。あとで冴華にバレれば何をされるか分かったものではない。
「わ、わかった。あまりよくないが仕方ない、それじゃ始めるぞ」
「うん。よろしくお願いします、お父さん」
そして、総太郎も智華も真剣な表情になる。
「それじゃ、いくよっ!」
智華がかかってくる。
「はいっ、せいっ!」
突きや蹴りを次々と繰り出してくる。まだ未発達とはいえ、すらりとした鍛えられた体から繰り出される技は、なかなかに鋭い。
(うん、よくなってきているな。上達が早い)
総太郎は精神的に余裕を持ってさばくことができている。
智華は豊かな才能こそ感じさせられるが、まだまだ技は未熟だ。冷静さを保てれば受け切ることはたやすい。
しかし、手合わせを続けてゆくにつれ、動きの中に驚くほど鋭い突きが混じってくる。そうした突きは総太郎でも受け切ることは困難で、いくつかは体に当たってしまう。
「くっ」
そうした技は無理にすべて防ごうとせず、急所に当たるものだけは防ぎ、それ以外はあえて打たせて耐える。そういう判断が必要になってくる程度には智華は強くなってきていた。
(手合わせの最中に上達していっているようだ。このあたり、若さを感じるな……)
自分も智華の頃はこれほどに伸びがよかったのだろうか。そんなことを考えていると、智華がフェイントから鋭い追い突きを繰り出してきて、総太郎の道着をかすめる。
必殺の一撃だったのだろう、かわされて悔しそうにする智華に、総太郎は返し技を入れると、智華は小さく下がる。
「うーん、惜しいなあ」
「やるな、今のはいい突きだったぞ」
「うんっ、お父さんに当てられるように、もっと磨かなきゃ」
そして、その後も休みを挟みながら智華との組手を続けてゆく。総太郎も智華の稽古のために攻撃を加減をしているとはいえ、まったく気は抜けないほどに彼女の攻めは苛烈だった。
娘の末恐ろしいセンスを喜ばしく思いながら組手は続き、やがて二人とも限界が近くなってくる。
「ふう、そろそろ終わりにするか。次でラストにするぞ」
「それじゃ、最後の一本は本気でね」
「ああ」
それまでも真剣ではあったが、最後の一本だけは試合としての心構えでやることになる。総太郎と智華の組手は、最近はいつもこのような調子だった。もちろん総太郎は本気で壊しにかかるような技を智華には打たないが、心構えだけは本気にして彼女に相対せねばならない。
「やあっ!」
「ふっ!」
智華の攻めをしのぎ、こちらからも突きを繰り出す。先ほどまで加減していた総太郎だが、本気に近い突きや蹴りを見せても、智華はしっかり受け流し、さばいてゆく。
(これを防ぐか、本当にやるようになった。だが、まだまだ負けてはいられないぞ)
緊張感のある攻防が続く。さすがにまだ総太郎も智華には負けないという手応えがあった。組手の最中にも成長をみせた彼女だが、それを加味しても、総太郎に勝つには足りないものが多いのだ。
「はぁ、はぁっ」
やや智華も息が切れてきた。至近距離での攻防で総太郎の拳が当たるたび、智華は痛そうな表情をするも、闘志が萎えるような様子は見せなかった。
この闘志が智華を必ず強くするだろう。そう思いつつも、そろそろ崩して決めてしまおうと総太郎は判断する。
が、勝負をかけてきたのは智華が先だった。総太郎の鉤突きを後ろにかわしたことで少し間合いができたが、そこから智華は踏み込みながらの突きで突っ込んできた。
(鋭い、だが、まだまだ……)
かわして、すれ違いざまに上からの手刀で一本。そう思っていたのだが。
「やああぁっ!」
智華の踏み込みは、異常なほどに鋭かった。
「うっ! し、しまっ……」
対応しきれない。そう思った次の瞬間には、智華の拳が総太郎のボディに突き刺さっていた。
ドスッ!
「ぐうっ!」
踏み込みの勢いが乗った一撃が決まり、総太郎はさすがにたまらずよろける。
そこに、智華はすかさずハイキックを敢行してきた。すらりとした脚がムチのようにしなり、やや前かがみになったままの総太郎の頭に直撃する。
ガシッ!
「あぐうっ!」
総太郎は頭を打たれ、数歩よろけてから尻もちをついた。
「はあ、ふうっ……」
脚を戻した智華は、やや信じられない様子だった。だが、総太郎は智華を見上げ、智華は立ったままだ。勝敗は明らかだった。
「くう……や、やられた……」
あの踏み込みには兎脚法の力が乗っていたのだ。まさか、秘法が解禁されてからこの短期間に、高度な技術を要するはずの兎脚法を実戦で使えるとは思ってもみなかった。
しかし、それは総太郎の油断である。この勝負は明らかに智華の勝ちだった。
「か、勝っちゃった。やった、お父さんに勝ったー!」
娘に負けてしまったことは悔しくはあったが、喜ばしくもある。総太郎は、全身で飛び跳ねて喜びを表現する智華を見上げ、笑みを浮かべていた。
「やるな。今のは見事だった、いつ兎脚法を習得したんだ?」
「今までの鍛錬の中でちょいちょい試してはいたんだけど、今日は稽古しているうちに感覚をつかめてきたから追い突きで使ってみたの。うまく噛み合ってよかったよ」
総太郎は気づかなかったが、今日の組手の最中にも秘法を試していたようだ。剛力法を要所で使っていたのは総太郎も察していたのだが、フットワークにも使おうとしていたのは気がつかなかった。
「ねえお父さん、今の感覚を忘れたくないし、もうちょっとやりたい! 付き合ってくれないかな」
「わかった。気持ちは分かるし、もう何戦かやってみるか」
「やった!」
総太郎は立ち上がる。組手はもう数試合ほど継続することとなった。智華も兎脚法の感覚を覚えたいであろうし、あと数回ならば兎脚法を使っても後遺症が出ることはあるまい。
そうして再開した組手であったが。どうしたことか、総太郎はその後も智華にやられ続けた。
「やあっ!」
「ぐっ」
「隙ありっ!」
智華の蹴りに腰を打たれ、よろめく総太郎。そこに突きを打たれ、壁際に追い詰められて負ける。
さらにその次は、智華の一気呵成の攻めをさばけずに、一気に押し込まれて倒された。
「がはっ!」
突きで倒された総太郎を見下ろしながら、智華はいぶかしんだ。
「どうしたの、お父さん? いくらなんでも連続でやられすぎじゃない? さっきのハイキックがそんなに効いちゃったのかな」
「はぁ、はぁ……」
「秘法さえあればお父さん相手でもやりようはある、って思ってはいたけど。まさか、一気に実力が逆転しちゃうほどだったのかな。そんなわけはないよね」
少し、その表情から好意的な色が失われてきているように思えて、総太郎は焦る。
(どうしたんだ、俺は……智華の技は、まだ俺の域にはないはず。いくら兎脚法を覚えたと言っても、それ込みでもまだ、いなすことができるはずなのに)
とにかくも総太郎は立ち上がり、構えを取る。
「すまないな、思った以上に智華が強くなっていて驚いたんだ。だが、ここからは父さんもお前を容赦なく倒すつもりでやろう」
「お、本当に本気でやってくれるんだ。面白くなりそう」
智華の目に好戦的な光が宿る。今日までの稽古では、総太郎は死にものぐるいの本気を出していたわけではない、そのことはさすがに智華も理解していただろう。しかし、ここまで追い詰められては力を出し惜しんではいられない。
期待に応えてやる形になったが、総太郎とて、今ここで負けてしまうわけにはいかない。秘法を覚えたばかりの智華に遅れを取ってしまっては、今までの格闘家人生が何だったのかということになる。
(まだまだ、俺は智華にとって壁でなければならないんだ)
智華が様子をうかがってくる。今日ここまで圧倒してきたせいなのか、総太郎のことを甘く見て、どこから攻めようかと考えているようだ。
これならば、受けで対応すればどうにかなると総太郎は判断する。それがもともと得意な戦い方でもあるのだ。
「じゃ、いくよ。お父さんの本気、見せてよね」
智華はひとつ呼吸を置くと、まっすぐ踏み込んできた。
彼女の兎脚法のステップは鋭く、一瞬の動きなので負担も最小限だろう。ここまで効果的な使い方がもうできているあたり、非凡なセンスを持っていることは疑いない。
が、総太郎を甘く見ているのもまた確かだ。工夫のないまっすぐの動きは、いくら鋭い踏み込みだったとしても総太郎には見切ることができる。
(よし、これなら)
総太郎は智華の踏み込む足が着地する一瞬に、自然な体重移動で相手の突進の軌道上から外れつつ、智華の突進とすれ違うような形で背後にまわった。
「え、えっ?」
柳影の足運びは智華も普段から見知っているはずだが、直接こうやって披露することはほぼ初めてだった。
智華の動きを見て、突進を外させて後ろにまわる。普通なら、一対一の勝負で相手の後ろにまわるというのは極めて困難なことだが、智華の突進に呼吸を合わせ、総太郎が得意とする歩法によって一呼吸で後ろを取ったのだ。これはかつて斤木流と呼ばれた流派における奥義の一端である。
智華はさすがに狼狽した。
「う、後ろ取られちゃったっ!」
「よし、もらった」
さすがに背中を取って負ける道理はない。総太郎はそのまま智華を背中から抱えて投げを打とうと思った。
(ここで投げて制圧すればいい。それで俺の勝ちだ)
目の前には智華の背中。すぐに組み付いて後ろ投げでもすれば、もうそれで勝ちだったろう。しかし、なぜか総太郎はすれ違った際に無駄に間合いを広く取ってしまっていた。これでは一瞬で組み付きにはいけない。
無意識な智華への恐れが、この一瞬の隙を生んでいたのだろう。それが致命的なものになってしまったのは次の瞬間だった。智華が思い切った行動に出たのである。
「このおっ!」
智華が両足で踏み切り、お尻を突き出しながら後ろに跳んできたのだ。
そして、踏み込んでいた総太郎はそれに反応することができず、智華の尻は総太郎の腹に直撃する!
ドスッ!
「うぐうっ!」
ヒップアタックを食らい、さすがに小柄な智華のそれといえど全体重が乗った一撃は重く、総太郎の体はくの字に折れる。
そして、そこにもう一度智華はヒップアタックを繰り出してきた。
「えぇいっ!」
どむっ!
「ぐふっ!」
スパッツに包まれた尻が顔を直撃し、総太郎は後ろに弾き飛ばされた。
「ふう、危なかった。後ろを取った変な動きまではよかったけど、その後が甘かったね」
倒れはしなかったが、後ろによろけた上にヒップアタックの衝撃で脳を揺さぶられ、立っているだけでやっとだ。その上、視界が一時的に効かなくなっている。
「てえぇいっ!」
智華が後ろ上段蹴りを放ち、総太郎のアゴを蹴り上げた。
ガシイィッ!
「ぐわっ!」
無防備なところに豪快な蹴りを食らい、総太郎はさすがに立ってはいられず、後ろに倒れた。
「う、ううっ……」
身長差のせいもあって衝撃は大きくはなかったが、アゴを下から蹴り上げられてはダメージは大きい。倒れたままの総太郎に歩み寄った智華は、拳を突きつけてきた。
「はい、これで本当に私の勝ちだね、お父さん」
さすがにこれでは何も言い訳ができない。完膚無きまでの敗北だった。
「み……見事だ」
「どうかな。そんなにたいしたことをしたつもりはないんだけど、お父さんがおかしいんじゃないの。ホント、自分の娘に負けっぱなしとか、これじゃお母さんにも勝てないわけだよ。情けない」
智華の態度は冷たい。総太郎の不甲斐なさのせいであることは明白だ。
そして、智華が総太郎の下半身にふいに視線を移すと、次の瞬間、すっと彼女の目が細められた。
「あのさ、なんで、股間が膨らんじゃってるの?」
「え……」
総太郎は無自覚だったので慌てた。まさかと思ったが、確かに、総太郎は勃起していた。
「え、いや、これは……」
先ほどのヒップアタックが原因なのだろうか? それとも、長時間この薄着姿の智華と相対していたせいなのか。
いや、薄着の智華など日常的に見慣れたものだ。それなのに、この状況で勃起してしまっているのは自分でも理由が分からず、総太郎は焦燥感と困惑で心臓が激しく鼓動を刻んでしまっている。智華に対して勃起してしまうなど、どう申し開きしたものか見当もつかない。
何も言うことができない総太郎に対して、智華はため息をついた。
「私、お父さんの娘なんだよ? なのに、えっちな気分になっておちんちん大きくしちゃってるの?」
「う、うぅ……」
「変態」
恐ろしく冷たい目をしながら、総太郎に向かって吐き捨てた。
今日まで慕ってくれていた娘が、これ以上ないほどの軽蔑の感情を向けてきている。総太郎は焦りと申し訳なさとで感情がぐちゃぐちゃになってしまっていた。
(あ、謝らないと……)
とにかく勃起を早く治めて、智華に謝らねばならない。だが、どうしたことか、総太郎のペニスは智華の「変態」という言葉を受けて、さらに大きくなってしまう。
「え……」
智華もさすがに戸惑いをみせる。
総太郎は呼吸が乱れ、体中が熱くなってくるのを感じていた。実の娘に罵られたことで、女性への恐怖が呼び起こされたのだろう、心臓の鼓動が加速していたが、それが無意識のうちに性的興奮と結びついていたのだ。総太郎に植えつけられた女性恐怖症の特徴だが、分かっていても本人にはどうしようもなかった。
智華は薄く笑みを浮かべた。
「なんでどんどん大きくなっちゃってるの、これ」
「こ、これはその……違うんだ」
「私、お父さんに怒ってみせてるつもりなんだけど。なのに興奮しちゃってるんだ? へー、ふーん」
もはや智華は総太郎の醜態を面白がってすらいるようだった。
「なるほどね、お父さんは本当に変態だったんだ。娘にえっちな目を向けるだけじゃなく、罵倒されて喜んじゃうだなんてね。お母さんがお父さんをいじめたくなる気持ち、ちょっと分かってきちゃった」
ただでさえ若い頃の冴華にそっくりな顔をした智華だが、攻撃的な笑みを浮かべていると、余計に冴華のことを思い出してしまう。そうなると、総太郎はますます智華に対して恐れを覚え、自分の脚が震えてしまっているのが分かる。
(ど、どうして……智華のことを怖いと思っているのか、俺は)
女性恐怖症の暗示は、特別なことがないかぎり最近は最小限にしてもらっている。その状態ならば普通の女性と対面するぐらいなら平気なはずなのだ。だというのに、どうしてここまで智華に対して恐怖の反応が出てしまっているのか。
「今のお父さんなら、こういうことをされたら喜んじゃうのかな?」
智華はおそるおそるといった様子の動きで脚を少し上げると、倒れたままでいた総太郎の股間をゆっくりと踏みつけてきた。
ぐにゅっ……
「うあっ……!」
「うわ、変な感触。男の人のここって、ずいぶん柔らかいんだね」
そして、そのまま智華は竿を足の裏で踏みにじってきた。あまり力は込めてきておらず、痛みはなかったが、それだけにかえって股間を絶妙に刺激されてしまう。
「くっ、うっ……よ、よせっ、親にこんなことをするなんて――」
「お父さんが勃起しなければ、私もこんなことしなかったんだけどねー」
そう言われては、総太郎も返す言葉がなかった。それに、それ以上強く出ることも、今の総太郎の精神状態ではできなかったのだ。
「いつだったかなぁ、門下生の人たちの前でお母さんに負けたあと、お母さんに股間を踏みつけられて悲鳴を上げてたことあったでしょ。いじめられててかわいそうだなって思ってたけど、あれって気持ちよくなってたんだね」
「そ、それはっ」
冴華はそうやって門下生の女性たちの前で総太郎を辱めることがたまにあった。総太郎が恥辱を受ける姿を見下ろして楽しんでいたわけだが、確かに今の総太郎はそういうことをされても性的興奮を覚えてしまうところがある。
十年以上も、総太郎は冴華に性的快楽を屈辱感と同時に味わわされ続けてきたのだ。そういう快楽に染まるには充分な期間だった。
「女にこういうことされて気持ちよくなっちゃう人なんだね、お父さんって。じゃあ、私がやっても同じように気持ちよくなってくれるよね? 勃起しちゃってるぐらいだし」
ぐにっ、ぐりぐりっ……!
だんだんと智華の踏む圧力が強くなってくる。そうなると、総太郎のペニスには刺激が走り、どうしても射精感が高まってきてしまう。
「あうっ! や、やめてくれっ、そんな風にしたら……!」
「そんなふうにしたら、どうなっちゃうのかな? 私、興味あるなぁ」
薄く笑みを浮かべながら、足コキを続けてくる智華。こんな知識があるのは冴華が公然と人前で総太郎を性的に責めていたせいであろうが、それにしても智華も経験がないはずなのに的確な責め方をしてくる。さすがに動きはぎこちないのだが、センスは間違いなく備わっていた。
すらりとした凹凸の少ない智華の肢体。それでも、スパッツに包まれた太もものラインはある程度の肉感があり、肌の露出している部分は汗がにじんでつややかに輝いている、総太郎はそんな彼女を見上げ、いつしか完全に性的な興奮を覚えている自分に気づく。
(そ、そんな、俺は興奮している……いくら冴華に似ているからって、智華でこんなことっ……!)
「ほら、どんな風になるの? 教えてよ、お父さん」
ぐにぐにっ、ぎゅっ、ぐにゅうっ!
「や、やめ……あ、ああああぁっ!」
びゅくっ、びゅっ、びゅるるるっ!
「えっ?」
「はううぅっ……!」
二度、三度とペニスが脈打ち、総太郎は快楽に震える。ペニスの脈動が足の裏から伝わったのか、それとも総太郎の反応を見て察したのか、智華は総太郎が絶頂したのを理解したようだった。
「はぁ、はぁ……」
足コキが止んで、射精の快感の余韻に総太郎は震える。いや、震えは快楽のせいだけではなかった。娘にペニスを踏みつけられて射精してしまった、そのことに対するどうしようもない罪悪感が焦燥感をもたらしており、とても正常な精神状態ではいられなかったのだ。
「と、智華……」
智華は、少し頬が紅潮しているようだった。その笑みには軽蔑ばかりでなく、それまでにない好奇の光が宿っているように総太郎には見えた。
「私に踏まれてイっちゃったんだ。こんな風に無造作にぐりぐり踏みつけてるだけで気持ちよくなっちゃうなんて、すごいね」
「ううっ……た、頼む、もう終わりにしてくれ。お前で興奮してしまったことは謝る、俺もそんなつもりじゃなかったんだ」
「そう言われてもねぇ。娘としては、このままじゃこれから平気な顔で一緒に暮らすなんてできないんだけど。こうなったら、とことん追及してみないとね」
それはその通りであろう。もう総太郎は智華に今まで通り慕ってもらうことはかなうまい。
だが、これ以上道を踏み外すようなことはさせたくない。嫌われたとしても、そこだけは守りたいと総太郎は思っていた。
が、総太郎が何か言おうとしてタイミングで、二人がよく知った声が響いた。
「あらあら、面白いことになっちゃってるみたいね」
道場に入ってきた冴華は、タイトスカートスーツ姿だ。女性らしい丸みを帯びたボディラインがしっかりと浮き出て、男の視線を惹きつける。長い茶色がかったロングヘアは結ばずに後ろにストレートに垂らし、脚は生足のままだった。
「お母さん? 帰ってきてたんだ」
「ええ。まだ二人が稽古してるのかなって思って来てみたけれど、まさか総太郎をいじめていただなんてね」
智華は、総太郎を軽蔑したであろう今になっても、べつに冴華に対する感情が変化したわけではないようで、面白くなさそうな顔をした。
「べつに。ただ、お父さんが私にボコボコにされてるくせに勃起してたから、問い詰めてただけだよ」
「ふうん」
総太郎が射精した後だということも冴華は分かっているのだろう。謎めいた笑みを浮かべて二人を見ている。こういう上からの態度が、勝ち気な智華の反感を買うところでもあるのだが、冴華は改めるつもりはないようだった。
冴華は、智華の服装を指摘した。
「勃起ね。まあ、智華のその格好ならお父さんが興奮してしまうのも無理はないわね」
「なんで?」
「偶然でしょうけど、お母さんがお父さんを初めて倒したときとほとんど同じ格好だもの。あのとき、お父さんをボコボコにした後に射精させてあげたから、その格好は恐怖と性欲を呼び起こしちゃうと思うのよね」
それを分かっていて、冴華は最終決戦のときにも同じ格好をしていたものだ。
「とはいえ、お父さんがなんとも思わない相手に対しては、さすがに勃起したりはしないでしょうから……智華に興奮したというのも間違いなく事実ではあるわ。いけない人ね、娘を性的な目で見てしまうだなんて」
冴華は言っていることの内容に反して、その表情に怒りの色は見えない。ただ愉快そうに笑みをたたえているだけである。
(ま、まさか……)
総太郎の想像通りなら、この妻の恐ろしさを再確認せざるを得ない。この状況を意図して作ったのだとしたら――
「でも、これはこれで好都合ね。智華、この際だけど、お父さんを練習台にしてえっちなことを勉強してみる?」
「は? なんでそんなこと」
「神倉流を継ぐのなら、必ずそういうことを習得しなければならないわ。私も若いうちからやることはやっていたしね」
そう、冴華もかなり早くから性技を習得していたのだ。おそらく母親の風華から手ほどきだけを受け、実践については風華が亡くなった後、街の不良などを相手に実戦で覚えていったものと総太郎は推測している。
「そのためには練習相手が必要になる。そんな男はそうそう用意できるものじゃないのよ。でも、お父さんが相手でいいなら家でトレーニングできる。ちょうど智華もお父さんのことをこらしめたいって思っているようだし、たくさん射精させて悲鳴を上げさせてやるといいわ」
「……なるほどね」
智華も神倉流は継ぐつもりでいるのだ。そのことについては冴華に反抗したことは一度もなかった。
冴華のことをよく思ってないにしろ、神倉流の後継者に必要なことだと言われたら話を聞く気になったのだろう。普段から、稽古のときは素直に冴華の言うことに従っているのだ。
とはいえ、智華は納得できない部分もあるようだった。
「でも、お父さんにえっちなことしちゃっていいわけ? お母さんはそれで平気なの?」
「え? まあいいんじゃない、平気だけど」
「……いや普通、自分以外の女と夫がえっちなことするとか嫌がるものでしょ。お父さんを大切に思ってるんならさあ」
「ああ、それは大切には思ってるけどね。だって父さんがいなきゃ稽古もままならないわけだし」
「そういうこと言ってるんじゃない!」
今までの総太郎に対する態度も忘れたかのように、智華は眉根を寄せて大声を上げた。
「私、お母さんのそういうところホント好きになれない!」
本当に嫌そうに言い放つ智華。冴華もさすがにあっけにとられたような顔になる。
「そういうことなら遠慮しないからね。私がえっちなことしまくって、お父さん取っちゃうからね!」
「ははあ、なるほど。そう来るとはね、面白いじゃない智華」
心底から面白いというふうに冴華は言った。
「何がおかしいのよ。知らないからね、ホントにお父さんの気持ちが離れて私になびいちゃっても」
「うん、それはいいわよ。やれるものならね」
「なに余裕ぶってるのよ」
「だって、まだ智華は何もえっちなことできないじゃない。そんなんで私から父さんを奪えると思ってるのかな?」
そう挑発的に冴華が言うと、智華も挑戦的な笑みを浮かべた。
「お父さんは私が股間踏んづけただけで射精しちゃったけど」
「ふふん、総太郎が毎晩どれだけ射精しまくってるか知らないでしょう。言っておくけど、今の智華じゃ私のテクとは比較にもならないわよ」
そう言われると、夜のことなど知らない智華は口ごもるしかない。
「本当にあなたの責めで総太郎が悦んでると思うなら、まだまだ甘いわね。あなたに足コキされて絶頂したのも、そんな私が恐怖を刷り込んだ服装でやってたせいだし、何より――」
いったん言葉を切ってから、冴華は続ける。
「今まで私が調教してきたからこそ、総太郎は智華程度の幼稚な足コキでイったんだからね。自分の実力みたいに思うのはちゃんちゃらおかしいわ」
「うぬぬ……もうっ、そういうことなら今からお父さんを思いっきりイかせちゃうから!」
もう一度足コキを再開しようとする智華だったが、それを冴華は制止した。
「また足コキをするなんて芸がないわね。もうちょっとテクが分かりやすいプレイにしてみたら? 向かい合う形にしたら私もいろいろ教えてあげられるけど?」
そうして、冴華は智華にあることを告げた。総太郎にはよく聞こえなかったが――智華はハッとしたような顔をしてから、神妙な顔をしてうなずいた。
「上等よ。それならたっぷり、母さんのテクを盗ませてもらうから」
素直に冴華の言葉に従い、智華は総太郎の上から足をどける。
「お、やる気ね。そう来ないとね、私の娘なんだから」
総太郎は倒れたまま、母娘の会話を聞いているしかなかった。いったいどんなことをされるのか想像もつかないが、まだ智華による責めが続くのは分かる。どうやら智華に性技を教えるための実験台にされるようだ。
(そうか、ただ智華に教えるんじゃ素直に聞くとは限らない。智華はわりと潔癖なところがあるし、冴華には武術は素直に教われても性技となると今はまだ抵抗を覚える可能性が高いんだ。だからこういう状況をわざと作って挑発したのか)
総太郎をこらしめるためという動機、そして冴華に負けまいとする負けん気の強さのおかげで、冴華の誘導に智華は乗った。智華の道着が洗濯されていたのもおそらく仕組んだことだろう。
だが、冴華は今日の稽古で総太郎が智華にやられてこういう状況になると確信していたのだろうか。さすがに偶然性が高いように思えるが、狙ってこのような状況を作れるものなのか――
考えている間に、智華がいつのまにか総太郎の顔をまたいで立っていた。総太郎の視界には、黒いスパッツに包まれた智華の股間がある。
「うっ、ま、まさか」
狼狽する総太郎。そして、そのまま智華は無造作に総太郎の顔の上に腰を下ろした。
むにっ……
「むぐっ……!」
智華のお尻の感触が顔に伝わる。その重みと体温も。
さすがに尻となると、この年齢でも柔らかく丸みもある。しっかりと女性的といえる肉感を備えているのだ。
ヒップアタックを食らったときと違い、体重をかけて密着させ続けているこの状況は、尻の感触をじっくりと味わわされる。
「ちょっとくすぐったいけど、お尻でお父さんの顔を下敷きにするのは気分いいかも」
「ぐっ、うう……」
もう智華に対して性欲を抑え込むことは難しい。智華の尻の柔らかな感触によってあっさりと心臓の鼓動は加速し、股間は再び勃起してしまう。
そして――
「はい、ご開帳♪」
冴華が総太郎の道着のズボンをずり下ろし、ペニスを露出させてしまう。勢いよく上を向きながら露出したペニスは、完全に勃起しきっていた。
「うわ……」
智華は息を呑む。先ほどの足コキはズボンの上からだった。勃起したペニスをこんな間近で見るのはさすがに初めてのことなのか、怯んだ様子をみせる。
「なにチンコ見ただけでビビっちゃってるわけ? そんなんであたしから総太郎を取るとか、ちょっと甘いんじゃない?」
「び、ビビってないし!」
冴華が総太郎の股間の前に陣取り、智華と向かい合う体勢になっている。この二人によって性的に制圧されようとしている今の総太郎は、まさしくまな板の上の鯉だった。
「さあて、じゃあ実践で鍛えていくとしましょうか。このチンコを責めて射精させてやれば男は気持ちよくなる。んで、男を懲らしめてやりたいんなら、雑に責めてばかりじゃダメ。そういうのも男を精神的に折るためにはいいけど、テクを使ってやらないと堕ちきらせるまでは難しいからね」
そう言って冴華はペニスを指差し、目を細める。
「屈辱を与えるだけだと男は立ち上がってくる。快楽を織り交ぜて戦意を奪い、堕としてやるのよ」
口調に迫力があり、智華は気圧されたようだった。
「う、うん」
「じゃあ今日は手コキね。手で握ってみなさい」
「う、うっさいな。指図ばっかしないでよ」
緊張感をごまかすためなのか、反発の言葉を口にしつつ、智華は手を伸ばした。おっかなびっくりという様子ではあったが、冴華を前にしてこれ以上怯んだところは見せたくなかったのか、その動きにためらいは見られなかった。
そして智華はペニスに触れた。
「うわ……」
「柔らかいような硬いような、不思議な感触でしょ? 総太郎のは男の中でも特別立派だから、これに慣れときゃ他の男のは余裕になるわよ。じゃ、動かしてみて」
「こ、こうかな」
智華の小さく柔らかな手が総太郎のペニスを握りながら刺激する。
くにゅっ……
「うっ……!」
竿を刺激され、総太郎は小さく体を震わせる。
「あ、反応した。このまま動かせばいけそう……かな」
くにっ、ぐにゅっ……
軽く握ったまま手を上下させ、擦ってくる。柔らかな刺激でじんわりとした快感が走り、総太郎は身をよじる。
「むっ、ぐっ……」
「あ、気持ちよがってるのかな? ていうか、私のお尻の感触でこうなってるんなら、マジでお父さんって変態じゃん。普通、こんな年下の女の子相手にそんな風になる?」
「ふふ、そうやって言葉で弄りながら責めるのは有効ね。でも、もうちょっと刺激を強くしてやっても大丈夫よ」
「ふうん、こうかな?」
智華の握り方が強くなり、擦り方も勢いがよくなってくる。
くにゅっ、しゅっ、しゅっ……
「うっ、ああっ……!」
「あ、気持ちよさそうな声。そうか、このくらい強くしていいんだ」
総太郎の反応がよかったため、智華は笑顔になってそのままの調子で手コキを続ける。幼いすべすべとした手による手コキは、ペニスへの刺激が絶妙のものがあった。
加えて、総太郎の顔には常に智華の柔らかなお尻の感触が伝わっている。智華が体勢を少し変えようと身じろぎするたび、顔にお尻の感触とその丸みを味わわされるのだった。
ぷにっ、むにっ……
「むぐっ、うう……」
総太郎はというと、もう射精感が限界に近づいている。実の娘に顔面騎乗されながらの手コキによって、確実に興奮を高められてしまっていた。智華の柔らかな手の刺激は充分に男の性感を刺激してきているし、何より背徳感が大きな興奮につながっているので、射精を我慢できる気配はなかった。
(こ、こんなことで、射精なんてっ……で、でも、智華の手が気持ちよすぎるっ……)
「それじゃ、そろそろラストスパートしてあげなさい。お父さんイっちゃいそうだからね」
「そう? じゃあ強くしてみようっと」
しゅっ、しゅっ、くちゅっ、ぐちゅっ、しゅっ……!
「あ、ああぁっ……だ、ダメだ、出るううぅっ!」
どびゅうううぅっ! びゅくっ、びゅくっ……!
「うわ、何これっ。白いおしっこ……?」
「智華は近くで射精を見るのは初めてだったのね。これが精液よ」
「へぇ……なんかぬるぬるして、変な匂いだね」
本能的なものなのか、智華は射精している中でも手を動かし続けている。射精中に手コキを続けられることで、男の射精の快感がさらに強まることを知っているはずもないが、とにかく総太郎は智華の小さな手に弄ばれるまま、ペニスから白濁液をさらに吐き出した。
びゅるっ、びゅっ、びゅくっ……
「むぐっ、ぐっ、むぐうううぅっ!」
「あはっ、まだ出てる。お父さんの体、射精するたびにびくびく跳ねてるね」
「いい感じね、お父さん、すっごく気持ちよがってるわよ。さっきの雑な踏みつけなんかよりも、このほうがペニスを弄んでやった感じがするでしょう?」
「うん、なんだかゾクゾクしてきた。男の射精って、こうして見るとすごく無様なものなんだね」
その笑いの混じった声色が若い頃の冴華によく似ていて、総太郎はぞくりとした。そもそも初めて男を射精させた女が、無様などと思うものなのだろうか。総太郎をこらしめたいという気持ちからきたものではあるのだろうが、智華には確かに素質があるのだと思い知らされる。
「総太郎ったら、智華のお尻の柔らかみを気持ちいいって思いながらイっちゃったみたいね。実の娘にこんなことをされて耐えられもせず射精しちゃうなんて、とんでもない変態よね」
嘲笑混じりの冴華の声。総太郎は、いまだ全身を走る射精の快感の余韻と、そして顔に伝わる智華のお尻の感触と体温とに苛まれ、確かに心地よさを感じていた。
娘に手コキされて絶頂するなど、あってはならないことだ。だが、冴華がけしかけて智華が実行した、この母娘の異常な行為に、総太郎は興奮を覚えて心臓を高鳴らせていた。
「智華も、この分ならすぐに色々なことを覚えられそうね。毎晩三人でセックスするのも面白いかも」
冴華はとんでもないことを言いながら、服を脱ぎ始めた。総太郎には見えないが衣擦れや物音で分かる。
「はぁ、はぁ……さ、冴華、なにを……?」
「今日は智華のトレーニングはこのくらいでいいでしょう。あとは、目の前でセックスの見本を見せてあげないとね。この体勢ならじっくり観察できるでしょうし」
「ふうん、セックスを見られるわけね。いいよ、お母さんがお父さんをどれほど気持ちよくさせられるのか、見ててあげる」
挑戦的に智華はそんなことを言う。総太郎を絶頂させて自信をつけたのだろう。
「あらあら、お母さんに張り合うには十年早いわよ。そのことを今から思い知らせてあげないとね」
そして、冴華は全裸になる。智華ほどの娘を育てた今でも、スタイルは見事に保たれていて、見事な丸みを帯びた胸から、なまめかしくくびれた腰、そしてほどよい肉感を持つ脚へと、そのボディラインは見事なものだ。総太郎は毎晩のように、冴華の体に手球に取られている。
冴華は智華と向かい合ったまま腰を落とし、勃起したままの総太郎のペニスに膣口をあてがう。
「さあ、智華のお尻に敷かれたまま私に犯されてイキ狂いなさい、総太郎」
ずちゅううぅっ……!
「う、うああぁっ……!」
もう数え切れないほど味わった感触。総太郎のペニスは冴華の膣に飲み込まれた。
「うわ、こうやってつながるんだ……」
智華はじっと観察しているようだ。
「それじゃ動くわね。どう責めればチンポが気持ちよくなるのか、ちゃんと見ておくのよ。あなたもいずれ総太郎相手にセックスの練習をするんだから」
そう言いながら冴華は腰を上下させる。
ずちゅっ、ずぷっ……
「んぐっ、ううっ!」
冴華の膣肉と擦れ合う感覚。それを味わわされると、あっという間に絶頂しそうになってしまう。
「ふふっ、智華のお尻に興奮しながら私とのセックスをするのも、悪くはないんじゃない、総太郎? こんなことになったのも、あなたの節操のないおちんちんが悪いのよ」
ずっ、ずちゅっ、ぐちゅうっ!
容赦なく冴華は腰を動かし、総太郎のペニスを責め立ててくる。その結合部のあたりを、智華はしっかりと凝視していた。
「ふうん、そうやってやるんだ」
「まだ智華の膣じゃ、総太郎のものを余裕をもって迎え入れるのは難しいかもしれないけどね。今の智華の歳でそれができれば、よほど才能があると思うわ。それに……」
ずぷっ、ぐちゅうっ!
「むぐううぅっ!」
強烈に締めつけながらの腰の動き。ふいに強い責めを受けて、総太郎は体をがくがくと震わせてしまう。
「こうやって、膣の強さを自由自在に操ることでペニスを手玉に取ることができるわ。こういう技は一朝一夕では身につかないから、鍛錬が必要でしょうね」
「なるほどね」
智華は真面目な顔で、しっかりと性行為を観察している。自分のものにしてやろうという気概があらわれているようだ。
思えば、智華は冴華に対しては常に反感を持ちつつもそういうスタンスであった。総太郎に対してのものと形は違えど、智華にとって冴華はたしかに親であり師匠であるのだ。
「ふっ、そろそろイキそうね。総太郎が私の膣内でイくときの姿、よく見ておきなさい」
そして、冴華は腰の動きを加速させ、総太郎のペニスを責め立ててくる!
ずちゅっ、ずっ、ずちゅっ、ずぷううぅっ!
「むぐっ、うっ、うううぅっ!」
どびゅるるるるっ! びゅくっ、びゅっ、びゅううっ!
びゅくっ、どぷっ……
「あうっ、ううっ……」
快感に体を震わせる。それが、顔に娘のお尻の感触を味わわされながらのものであることを思うと、強い背徳感に襲われる。総太郎は冴華と智華の二人を感じながら、絶頂したのだ。
「ふ、ふうん。確かに気持ちよさそうにしてるね」
「虚勢を張らなくていいわよ。あなたにイかされたときの反応とは雲泥の差でしょう?」
「むうっ……」
さすがに智華も負けを認めざるを得ないのだろう。総太郎自身、さすがに智華の未熟な手コキと比べれば冴華とのセックスのほうが快感は強かった。
「さて、もう一回ぐらいイかせてやってもいいんだけど……」
「あ、じゃあ私がセックスしたい!」
「イったり一人エッチしたこともないような娘がいきなりセックスはやめたほうがいいわね。さっきも言ったことだけど……少しずつ慣らしていかないと、無理するとアソコが裂傷になって苦しむことになるわよ。まだ智華の膣は狭すぎると思うし」
かつての佳菜が異常だったのであって、普通は智華の年齢ならそういうことになるだろう。
「今度は私も動きを変えるから、もう一度観察してなさい。ただし、その状態で智華が総太郎を責めるのは自由だけどね」
「え、責めるって……」
「顔面騎乗してる状態なんだし、やれることはいろいろあるでしょう? 考えてみることね」
「なるほど」
得心したように、智華はいったん腰を浮かす。総太郎は智華の尻から解放されて息をつくが、それが一時的なものであることは分かる。
そして、智華は総太郎の頭をまたいだままの状態で、スパッツを脱ぎ始めた。
「う……」
「それじゃ、直接ここを乗せちゃおうかなあ」
智華はスパッツを脱ぐと、露出した縦筋だけの女性器をそのまま総太郎の顔の上に乗せてきた。
ぷにっ……
「うぐっ」
柔らかく、やや小便臭いだけの未熟な女性器。だが、娘のそれとなるとさすがに背徳的な気持ちにさせられる。
「じゃあお父さん、奉仕してもらうね。お母さんとセックスしながらでいいから、私のここも舐めて気持ちよくしてくれる?」
「そうね、今後のためにも快感に慣らしておくのはいいでしょう。総太郎、そのまま舐めてあげなさい」
「うう……」
逆らえるわけもない。総太郎は目の前にある智華の女性器をひと舐めした。
れろっ……
「ひゃうっ!」
びくり、と智華の体が反応する。さすがにこんなところを舐められるのは初めてのことだろう。
まだ小さな筋があるだけの女性器は未熟だが、それだけに大事にしてやりたい気持ちも湧く。
(仕方ない。こうなったら、ちゃんと気持ちよくしてやるしかない)
こういう行為自体は慣れている。総太郎はとりあえずこの行為を受け入れ、智華の秘部を舐め、舌を腟内に小さく侵入させたり未熟なクリトリスに舌を這わせる。
れろっ、じゅぷっ……
「んっ……お父さんに奉仕させてるの、なんか興奮するかも。今日は私が勝ったんだし、ご褒美に気持ちよくしてもらうっていうのも悪くないよね」
智華もこの行為への抵抗はなく、すんなり受け入れるあたり、やはり冴華と似たところはあるのだろう。いくら対抗意識があるからとはいえ、この歳で肉親相手にここまで積極的なのは普通ではない。
冴華が普段の門下生相手の稽古で、総太郎を使っての性行為を鍛錬として行っていたのを、智華はさすがにいつも遠目からではあったが目の当たりにしてきたのだ。おかげで、普通の女子よりはこういう行為への抵抗は薄いのだろう。
しかし、神倉流の鍛錬に性行為は欠かせないとはいえ、智華の性教育には良かったのかどうか――
ちゅっ、ちゅぷっ……れろっ、じゅぷっ……
「あっ、くうっ! お、お父さんっ、それ、すごくいいかもっ……」
智華の感じるポイントも分かってきた。ややクリトリスを圧迫する感じで刺激することで、智華はよく反応する。
「さすが総太郎は女への奉仕をさせたら一流ね。ま、若い頃に私が毎日仕込んだおかげだけど」
それ以前にも性技は鍛えてはいたが、冴華と過ごした月日でより鍛えられたのは間違いない。今の総太郎は女性の性感帯を探るのは得意だ。
「ふふっ、こっちもいい具合よ。今度はグラインドで責めてあげるからね」
ずぷっ、ずっ……ぐちゅうっ、ぐにゅっ……
「むぐっ、ううっ……」
冴華による騎乗位の責めも続いている。智華の教育のためなのだろう、普段と違って総太郎を簡単には絶頂させないようにして責めてきている。冴華の膣は挿れているだけで充分に気持ちがいいのだが、イかせないように弛められている感覚はもどかしく、総太郎は早く絶頂したいという気持ちになってきている。
そのもどかしい感覚に苛まれていたせいか、智華の膣を舐めるペースがいつの間にか加速していた。智華の反応はどんどん絶頂に近づいている。
じゅぷっ、ちゅっ、れろっ、ぐちゅっ……!
「はぁ、はぁっ……お、お父さんっ……私も、お父さんを気持ちよくさせてあげるから……」
そう言いながら、智華は総太郎の乳首を指先でつまんできた。
「う、ううっ!」
淡い刺激を受けて、総太郎の全身に痺れるような快楽が伝わってゆく。それは総太郎の性感を確実に押し上げる責めだった。
「ふ、智華もなかなかやるわね。本能で的確な責めを繰り出すだなんて」
「そ、そろそろ、イっちゃいそう……」
智華の性感が高まってきているのが分かる。少しずつ秘部からも愛液が染み出してきており、性的な反応が見て取れる。
「本格的にイくのは初めてよね、智華。クンニでの絶頂はかなり気持ちいいから、しっかり味わっておきなさい」
「あ、あああぁっ……! い、イっちゃうぅっ!」
智華は嬌声を上げながら、総太郎の両乳首を強くつまみ上げた。
きゅううっ……!
「うぐっ、あっ、あああぁっ!」
どぷっ、びゅくっ! びゅっ、びゅるるっ……!
「あっ、あああぁんっ!」
総太郎が冴華の膣内に大量の精液を放出するのと同時に、智華は総太郎の顔の上で絶頂する。小さな体を震わせて、膣口から潮を吹き出した。
「んっ、ふふっ……いっぱい出てるわね。智華をイかせながらの射精、総太郎も気持ちよかったみたいね。よくやったわ、二人とも」
冴華は総太郎が智華をイかせたことに満足しているようだった。まずは智華に快感を味わわせ、これからはそれに振り回されないように慣らしていくのだろう。智華への性的な訓練はこれから始まるのだ。
「はふぅ……なんだか、体中がビリビリ痺れてるみたい……」
智華は初めての絶頂に体を震わせ続けている。そして、やがて腰を浮かして後ろに下がって腰を下ろすと、総太郎の顔を覗き込んできた。
その表情にはいつのまにか怒りや軽蔑は消えていた。
「お父さんの舌、気持ちよかったよ。なんだか、今日のことは全部許せる気持ちになっちゃった。男の人にイかせてもらうのって、こんなに幸せな気持ちになるんだね」
声も穏やかになっている。快楽が智華を満足させたのか、それとも関係の変化のせいなのか。
「ありがとね、お父さん」
そして、智華は総太郎に顔を近づけると、ゆっくりと唇を重ねた。
ちゅうっ……
「う……」
柔らかく、つるつるとした幼い唇。その感触が唇に伝わってきた瞬間、総太郎の心臓がどきりと跳ねた。
そして、いまだ冴華の膣肉に苛まれていたペニスは、一瞬で暴発した――!
どびゅうううぅっ! どぷっ、びゅくっ、びゅるるるっ!
「むぐっ、うっ、ううっ……う、んうううぅっ……!」
がくがくと体を震わせながら、総太郎は何度も冴華の膣内に射精する。智華の唇の感触に酔いしれるかのように、その暖かさと柔らかみに興奮させられ、総太郎は快楽と背徳感に苛まれながら絶頂を繰り返す。
手コキやクンニなどとは比較にならない、智華とのキスは総太郎に途方も罪悪感を味わわせたのだ。その大きな背徳感が性的興奮に変化し、一瞬で彼を絶頂に導いてしまったのである。
智華と唇を重ねながら体を跳ねさせ、いつまでも終わらないかと思えるほどの射精を繰り返している総太郎を見下ろし、冴華は目を細める。意図した状況ではなくなったせいか、さすがに面白くない風であった。
「ふうん、智華もやってくれるじゃない。総太郎もまんまと気持ちよくさせられちゃってるし」
びくっ、びくんっ……
もはや総太郎は絶頂しているものの、精液は一滴も出なくなっていた。智華のキスを味わいながら冴華の膣内にすべて吐き出してしまったのだ。この母娘の連携によって、総太郎はとことんまで搾りきられてしまった。
そして、ようやく智華は唇を離し、小さく微笑んでみせた。
「ふう……気持ちよさそうだったね、お父さん」
「う、うう……」
「目がとろんってしちゃってるし、そんなに私とのキスでドキドキしちゃったの? やっぱり、お父さんて変態なんだね。ロリコンな上に自分の娘のキスで興奮しちゃうとか」
「総太郎が変態ということは否定しないけど、あくまで総太郎は私の膣内で絶頂したっていうことを忘れてもらっては困るわね。智華は最後のひと押しをしただけなんだから」
そう冴華に釘をさされると、智華はむっとした様子で冴華に向き直る。
「ふんだ、エッチの技術はともかくもう私のほうがお父さんをドキドキさせてあげられるんだもんね。そのことは今のキスが証拠でしょ」
「むっ」
「この調子でセックスだって覚えて、そのうち完全に私がお父さんを寝取ってやるんだから」
「ふっ、面白いことを言うじゃない。そう簡単に総太郎は渡さないわよ。ここまでの長い付き合いで培ってきたものは大きいんだから、そのことを智華には思い知らせてあげるわ。これから毎晩、ね」
総太郎の体を組み敷きながら互いにライバル意識をぶつけ合う二人。どうやら、これから毎晩、冴華と智華による対決に総太郎は巻き込まれることになるようだ。
娘である智華との性行為も、これからも続くことは間違いない。それは一般的な倫理ではいけないことであろうが、神倉流ではそうはならないのだ。この谷の奥の地で暮らす三人家族の中だけの問題であり、冴華も智華もその気でいる以上、誰をはばかることもないのである。
「さ、冴華……」
「ん? なにかしら?」
「お前は、最初からこうなることを意図していたのか?」
「さあ、どうかしらね。ただ、私も神様じゃないから、智華のことをすべて想定通りに育てて来られたとは思っていないわ」
総太郎の質問の仕方が大雑把だったせいか、冴華の答えは、今日の状況を作ったことと智華との親子関係をここまで冷淡にしてきたこと、双方に言及しているようだった。
冴華は小さく笑みを浮かべる。
「ま、こうやってあなたがこの子を覚醒させてくれることを期待して色々仕掛けたのは確かよ。でも、こうも私にとって都合のいい状況になっているのはあなたの弱さが悪いんだからね」
すべてが想定通りにはいかなかったにしろ、ある程度は彼女の思った通りであったようだ。自分と智華の関係は思い通りにいかなくとも、総太郎を陥穽に落とすことは容易にできる。それが冴華という人間だった。
(都合がいい、か。冴華、お前は自分の娘にライバルになってくれることを求めていたのか)
だからこそ、普通の母娘のように仲睦まじくはしてこなかったのかもしれない。冴華が自覚的だったかはわからないが、本質的なところで、冴華は智華に自分を脅かす存在になってもらいたがっている。それはもしかすると、総太郎が冴華のライバルたりえない存在に堕ちてしまったために、その代償を求めていたからなのかもしれない。
「二人が何言ってるかわからないけど、これからはそういう内緒話みたいなのは許さないからね」
智華は総太郎の顔に小さな手を当ててきた。その触れ合った肌からは、厳しさは感じられない。
「お父さん、これからは私がお母さん以上にお父さんを喜ばせてあげるからね。お父さんが変態なのも別にいいや、私で興奮したりしてくれるのは嬉しいし、許してあげる」
「総太郎、私もまだまだ智華には負けないわよ。奴隷夫として今まで愛してきたつもりだけど、これからもいっぱい気持ちよくさせてあげるわ」
智華と冴華が総太郎の顔を覗き込んでくる。二人とも、それぞれに女性として魅力的だと総太郎は感じてしまっていた。
そして、これからは冴華と智華は総太郎を責めることによって競い合い、これまでの微妙に距離感のあった親子関係から、女同士のライバル意識をぶつけあって距離を縮めていくに違いない。
(冴華には智華への愛情がないんじゃないかと思ったりもしたが……これなら、大丈夫かもしれないな。俺への責めを通して、二人がこれからライバルとしてでも心を通わせてくれるようになるなら、必ずわかりあっていけるはずだ)
どこまでも、神倉流の男は女の道具か、あるいは踏み台になる運命なのかもしれない。だが、二人は今日の行為を通して、総太郎への好意や愛情を口にしてくれた。それで総太郎は充分だった。
そして、二人が総太郎を愛してくれる以上、冴華と智華の間にも必ず情はあると総太郎は確信できる。それをつなぐ役目を自分が担うことが、これからはできるだろう。
(それが俺の父親としての役目か……それも、悪くない)
総太郎は、後ろめたさを抱いてはいたが、幸せな気持ちを感じてもいる。形はどうあれ、この二人の家族と、これからは心を通わせていける予感があった。
こうして、神倉家での淫靡な日々は続いてゆくのだった。
アナザーエンド12 神倉家の日々
88話 優那との死闘 ♯
翌日の火曜日。
幸い、演劇部は生徒会に睨まれることを恐れてか、あの日の総太郎の醜態を言いふらすようなことはしなかったようだった。演劇部員は隣のクラスなどにもいるのだが、廊下で総太郎とはち合わせた際には目を逸らされ、そそくさと立ち去ってしまった。
(なんだか、生徒会と関係を深めたことがプラスに働いてるな。助けてもらうばかりじゃなく、俺もあいつらの役に立てるようにしないと)
ことに理緒には窮地を救ってもらた分、いずれは新生生徒会の力になってやらねばなるまい、と総太郎は思うのだった。
ともあれ、この日の夕方にある優那との勝負に意識を集中させることができた。総太郎はイメージトレーニングをしながら一日を過ごし、放課後を迎える。
総太郎は急いで帰宅し、道着に着替えた上で軽く掃除をして準備を整えた。
「ふうっ、こんなもんでいいか。思ったよりホコリが溜まってたし、急いで帰ってきてよかったぜ」
総太郎は道場の中央であぐらを組み、目を閉じて心を落ち着け、優那を待つ。時間は午後四時四十分。
そのままさらに十分ほど経った頃。外からバイクのエンジン音が近づいてくる。道場の前でそれは止み、少しして扉がノックされた。
「お待たせしたわね」
扉が開くと、赤いライダースーツ姿の優那がそこに立っていた。
総太郎は目を開けて立ち上がる。初冬の夕刻とあってすでに外は薄暗いが、そんな中でも優那の長い金髪はきらきらと輝くようで、ひときわ美しく見えた。
(ライダースーツとは……似合うな、さすがに)
思わず優那の全身を見返してしまう。体型が分かるぴっちりとしたライダースーツに身を包んだ彼女は、いつもと印象が違って見える。完全に大人の女性そのもののたたずまいだ。
優那は小脇にヘルメットを抱え、扉を閉めつつ靴を脱いで道場に上がってきた。
「バイクに乗られるんですね、先輩」
「ええ、なにかと移動に便利だし、風が気持ちいいから好きなのよ。今度、後ろに乗せてあげましょうか?」
「それも悪くないですね」
女性の後ろに乗せてもらうというのは男として格好が悪いような気もするのだが、先ほど優那の姿越しにちらりと見えた赤い中型のバイクは、素直に格好いいと感じられるフォルムをしていた。乗せてもらえるならさぞ気持ちがいいだろう。
「同年代ではツーリングに付き合ってくれる女の子はいないのよね。斤木総太郎、暇があれば免許を取りなさいな。私の余ったバイクをプレゼントしてあげるから」
「そ、そこまで甘えるわけにはいきませんよ」
「遠慮しなくていいのに」
くすりと笑いながら、優那はライダースーツの前のファスナーを無造作に下ろし始める。
「な、なっ」
目の前で大胆な行為に出る優那に、総太郎はたじろいだような声を上げる。
だが。
「なにを慌てているのかしら、ふふっ。ちゃんと見てみなさい」
「あ……」
ファスナーの下には、レオタードを着込んでいたのだ。肩から袖にかけて青のラインで縁取られているが、それ以外の部分は白基調のデザイン。白のレオタードは優那の透き通るような肌とよくマッチし、これもまた似合って見えた。
優那は足を上げてライダースーツを脱ぐ。下がレオタードだと分かっていても、総太郎は目の前で優那が脱衣する姿を見せつけられ、すでに鼓動を加速させていた。
(な、なんかエロいな……って、いかんいかん、これも優那先輩が俺を動揺させようとしているんだろうし、気を強く持たないと)
ライダースーツを脱ぎ終え、たたんでヘルメットと共に壁際に置き、優那は総太郎の正面へと進み出てくる。レオタードに身を包み、白のソックスを履き、鮮やかな長い金髪を背中に垂らした姿は、生徒会との決戦の最後に相まみえたときと同じ格好だ。レオタードだけはあのときのものと違っているが、いずれにせよ、すらりとしていながら女性らしい丸みのある肉感を備えた抜群のスタイルを惜しげもなく晒しており、これを前にしては男として性欲を刺激されずにはいられない。
(何度見ても、見事なスタイルだな。これだけのボディラインをしていれば、さぞ新体操の演技も華があるだろう)
ことに、すらりとしていながらも肉感とつややかさを兼ね備えた見事な脚に、どうしても目が行く。そそられるものを感じるが、勝負となればこの脚はこれ以上ないほどのキレを誇る凶器と化すのだ。様々な意味で、総太郎は彼女の脚線美を目にして緊張感を覚える。
優那本人は、興味深げに道場の内装を見回していた。
「これがあなたの道場なのね。質実剛健といった感じで、なかなかいい雰囲気だと思うわ」
「ありがとうございます」
「あなたの汗が染み込んだこの道場で、あなたを私の足元にひざまずかせる。これほど気持ちのいい勝利も、そうはないでしょうね」
「……俺も、負ける気はありませんよ。先輩の道場での借りもありますからね」
鷹代邸では、優那とアイリの姉妹を同時に相手取っての勝負をしたが、惨敗している。アイリにはその借りは返したが、続けて優那も破ってやりたいところだった。
「いい目ね、神倉冴華に敗北したと聞いて少し気になっていたけれど、腑抜けてはいないようで安心したわ。勝負は、シンプルに……そうね、降参するか、もしくは戦闘不能になるまでということでいいかしら」
「はい」
「私が負けたら、いつも通り私のことを好きにしていいし、他にも好きなことを命令していいわよ。そして、私が勝ったら、以前あなたが奪っていったレオタードを返してもらうわ」
「あのレオタードを……わ、わかりました」
「もちろん、それに加え、勝ったらあなたのことを好きにさせてもらうから」
大胆な条件を出してきて、総太郎はどきりとする。
何度か優那とはセックスしているが、それでも、目の前のこの見事な曲線を持つ体を自由にしていいと言われると、男心を強烈に刺激されるものがあった。
体もそうだが、顔形にしても、シャープな顔のラインとキリッとした目鼻立ちがりりしく魅力的であるし、文句なしに美少女と言える。そんな彼女を犯すことができるのだから、勝利の喜びはさぞ大きなものとなるであろう。
優那はふっと笑みを浮かべつつ、見事な丸みを帯びた形のいい胸の間に右手を軽く添えるようなポーズを取り、自信に満ちた声で言い放つ。
「今の私は新体操殺法に加えて、沙織に仕込まれた技もある。もはや、あなたに遅れは取らないわよ」
「楽しみですね……新しく得た技ごと、あのときのように叩き潰してやります」
「言うじゃない。ふふっ、先輩に対しての乱暴な言葉遣い、これは矯正してあげないといけないわね」
笑みを交わし合う二人。
そして、畳の上で――勝負は静かに始まった。
「いくわよ。今日は道具を使わないけれど、あの日よりも私は格段に腕を上げているから、舐めてかからないことをお勧めするわ」
あの日とは、総太郎が優那を下して生徒会に勝利した九月末の勝負のことであろう。思えば、レオタード姿の優那とやり合うのはあれ以来になる。
優那は両足を前後にした半身の姿勢で、両手は力を抜いて垂らしたような姿勢で構えている。堂々と胸を張った彼女らしい構えだが、以前よりも涼川沙織の武術の匂いが濃くなっているように総太郎には感じられ、自然と警戒感が湧いた。
(生半可なことじゃ勝てないだろうな。気を引き締めてかからないと)
構図としては、先のかえでとの勝負とは逆になる。総太郎のほうが優那のリーチをかいくぐっていかねばならない。
(優那先輩の弱点は分かっているが、その対策をしてきている可能性は充分あるし、新しい技もあるようだ。警戒しないと……)
お互い、繰り出すのは純粋な格闘攻撃だけとは限らない。総太郎はセクハラ攻撃、優那は色仕掛け、と別の武器もある。駆け引きで上回らなければ優位に勝負を進めることはできまい。
それに、この畳敷きの道場の上ならば優那は自らの強みをフルに活用できる。こういう状況では、総太郎は優那にはいつも苦戦させられている。
(とにかく、これは大事な勝負だ。これから俺が神倉流に立ち向かっていけるか、その試金石になる)
この勝負で一方的に完敗するようなことがあれば、望みはないであろうと思うのだ。
「ふっ!」
まずは優那が踏み込み、中段の蹴りを放ってくる。腰の回転が鋭く、キックの出方にも無駄がない。相も変わらず華麗な動きだ。
「おっと」
総太郎をそれを下がってかわすが、優那はさらに踏み込んで横蹴りにつなげてくる。
流れるような無駄のない動きだが、モーションの大きい横蹴りならば足を戻すのに合わせて飛び込むことができる。総太郎はそれを狙い、体勢を低くして思い切って踏み込んだ。
「もらった!」
総太郎の飛び込みは鋭い。刹渦の技を磨く過程で、ステップの質が大きく向上しているのだ。初めて優那と勝負したときと比べても、間合いを詰める動きは格段に上達している。
(間合いさえ詰めてしまえば、こっちのものだ!)
至近距離であれば総太郎が圧倒的に有利。今回は優那が道具を持っていないので尚更であろう。
「うおおっ!」
総太郎は下突きを優那の腹めがけて放つ。クリーンヒットすればよし、もしガードされても優那の体勢を崩すことはできる。そこから押し込んでラッシュをかければ、一方的に有利な展開にすることができるだろう。
だが。
「甘いっ!」
優那は間合いを嫌うでもなく、自然なステップで体をずらしつつ、総太郎が突きを繰り出した腕を両手で素早く取る。
「うっ、これは!?」
今まで、手首を取ってくるような技は優那は使ってはこなかったはずだ。
虚を突かれる形で手首を取られてしまい、そのまま優那は円を描くような動きをしながら、総太郎の突きの勢いを受け流すように投げを打ってくる!
「くっ!」
とっさにアゴを引いて受け身を取ろうとする総太郎。
ドサッ……
全身に衝撃が走る。
投げそのものは痛みはほとんどない。が、嫌な予感がして転がって逃げると、総太郎が一瞬前までいたところに優那がヒザを落としていた。
「うおっ!」
驚いて、総太郎はあわてて立ち上がる。
「ふ、さすがにそう簡単に終わらせてはくれないわね」
「あ、相変わらず容赦のないことを……今のはまともに入ってたらヤバかったですよ」
ジャンプしてのヒザ落としなど、骨や内蔵がどうにかなってしまってもおかしくはないだろう。
「避けると思ったからやったのよ。この程度でやられるような男なら、骨の一本や二本折られても当然と思いなさい」
無茶なことを言いながら、優那もゆっくりと立ち上がる。
間合いをはかりつつ、総太郎はゆっくりと息を整える。頭の中は困惑でいっぱい以下为收费内容(by http://www.prretyfoot.com)った。
(むうっ、投げとは厄介だな、合気道の四方投げに似ている感じがするが……しかし、あんな綺麗な投げをいつの間に身につけたんだ。短期間の練習でできるような技じゃなかったぞ)
総太郎の疑問を見抜いたのか、優那は余裕の笑みを保ちながら総太郎に語りかけてくる。
「私が投げ技を使えるのが不思議のようね? 実戦で使うのは今日が初めてだけど、返しの投げはずっと習っていたから、付け焼き刃ではないのよ。あなたに対して使えるレベルになったのが最近だというだけ」
「なるほどね……」
おそらく沙織が来てからずっと、こうした護身術に使えるような投げの稽古自体はしていたのだろう。
総太郎は、優那に投げがあることがいかに厄介かを感じて舌打ちをしたくなる。ただでさえ要塞じみた優那の防御能力がさらに強化され、踏み込んで近づいても打撃を取られて投げられてしまう可能性が出てきたのだ。攻めづらさは相当のものである。
(まだ手はあるが、どうかな……)
蹴り、それも燕激斧ならば取られにくいのではないかという気もするし、もしくは投げならばこちらも技を持っているので投げ合いをしてもいい。優那は総太郎の突きに狙いを絞ってきているのは明白であり、目先を変えるべきだと総太郎は考える。
(なんにせよ、やりにくいな。蹴りや投げを主体に戦うなんて、俺にできるのか)
どういった戦い方をするにせよ、まず突きを出してから総太郎の立ち回りは始まるのだ。突きがすべての起点となっている。それが下手に出せないとなれば――
「どうしたの、攻めてこないのかしら?」
優那の挑発的な笑みに、総太郎は歯ぎしりをしてしまう。攻めのきっかけをどうするか迷ってしまい、前に出られないのだ。
「なら、こちらから決めにいかせてもらうわ」
優那は優雅な足運びで、ゆっくりと間合いを詰めてくる。
新体操で培われた滑らかな体の動かし方は、こうした歩くだけの動きからも無駄を消しており、隙が見えない。
(改めて見ると、優那先輩は自分の強みをしっかり把握して格闘技に活かしているのが分かる。センスがあるっていうのは、こういうことを言うんだろうな)
身のこなしに自信があるのだろう。こうした優那だからこそ相手を寄せ付けない戦い方を徹底できるのであり、そしておそらく、柔術を習得するのにも向いているであろう。
だが、そんな優那を総太郎は二度も破っている。隙のない人間など存在しないのだ。
(いくら優那先輩が手強いからって、怯んではいられないぞ。前に出て行くんだ)
向かってくる優那。総太郎が攻めづらく感じていると思っているのだろう。それは事実ではあったが、しかし、これで攻撃をやめる総太郎ではなく、臆さずに前に出る。
が、優那はそれに合わせてほんの少しだけ軸足をずらすように後ろに下がる。すると、優那の蹴りの射程にちょうどいい距離になってしまった。
(しまっ、出方が中途半端に……!)
総太郎は、最悪の間合いを取ってしまったことに気づく。
「はああっ!」
優那は気合とともに、鋭く中段の蹴りを打ってくる。
まともに考えれば、ガードしながら同時に反撃を出すということになるが、優那を相手にこの状況では固まらざるをえない。果たして、中段蹴りは途中で鋭く軌道を変え、上からの打ち下ろし蹴りに変化し、総太郎はそれをとっさにガードする。
「くっ!」
ブラジリアンキックの強烈な衝撃。優那の蹴りは以前よりもさらに鋭さを増しており、両腕をクロスさせてブロックしたが、腕が痺れてしまう。
(こんなものを何度もガードしていたら、突きが繰り出せなくなっちまう!)
中距離の打撃戦は間違いなく不利。優那の蹴りのラッシュにまともに付き合ってよいことはない。そう思って総太郎は飛びのくが、優那は踏み込みつつ追い打ちの蹴りを繰り出してくる。
それを総太郎が二の腕で受け止めると、体勢がぐらついてしまう。
「うわっ!」
「スキありっ!」
優那は好機と見たか、素早く間合いを詰めてくる。
(あの投げで来るのか!?)
投げを警戒したが、優那は至近距離にまでは詰めてこず、いつも通りに蹴りを打ってきた。
「くそっ!」
総太郎は体を後ろに投げ出すことで逃れ、素早く立ち上がった。
なんとか間合いの外に逃れ、総太郎は油断なく構えつつ息を整える。
(ふうっ、あぶねえ。しかし、今のは投げに行ってれば優那先輩のチャンスだっただろうに……それをしなかったってのは、つまりそういうことか)
どうやら自分から崩して投げる技はなく、返しの投げのみを習得している様子だ。前に出ながら投げることはできないということになる。
(そういうことなら、迎え撃つときは以前のイメージでいける)
とはいえ、優那が前に出てきてもカウンターを狙うのは至難の業である。ブラジリアンキックを読み切るのは難しいからだ。やはりどこかで自分から前に出るしかない。
総太郎が忙しく頭を回転させているあいだにも、優那は中距離まで詰めてきながら蹴りで攻めてくる。
「ここは、たたみかけさせてもらうわ! 私のラッシュを耐えしのぐことができるかしら? それっ!」
連続で鋭い上段蹴りが放たれる。そのどれもが必殺と呼べるようなキレを誇っており、総太郎はそれらをかわすたび、鋭利な刃物が体のそばを猛スピードで通り抜けるような迫力を感じ、背筋が凍るような思いを抱く。
(くっ、先輩の蹴り、以前よりもキレが増している。一発でもクリーンヒットを貰ったら一気に不利になりそうだ)
蹴りのラッシュの中にブラジリアンキックの変化が混ぜられ、極めて防ぎづらい連係になっている。が、総太郎はなんとか耐えしのぎ、優那の鋭い中段蹴りを左腕でガードしつつ強引に前に出る。
「ぐうっ!」
ガードした左腕に鋭い痛みが走るが構ってはいられない。ともあれ、なんとか再び自分の距離にすることができたのだ。
(蹴りに意識を絞っていればなんとか防御はできるし、接近だってできるんだ! さて、突きを投げで返してくるってんなら、これはどうだ!)
打撃の動きを重点的に読まれているのであれば、そうでない攻撃――例えばセクハラ攻撃ならば通用するのではないか。思わぬ場所を狙われれば不意打ちの形にもなる。
そう思い、総太郎は優那の首筋を狙って指先を伸ばす。
完全に不意を突いたと思った。だが――
「やはり来たわね。それはもう、私には通用しないわよ」
首筋をなでようと伸ばした右手の手首を、優那は素早く取ってしまう。
「うっ!」
無駄のない動き。どうやら、総太郎がこうした攻撃をしてくるということは読まれていたようだ。
そして、優那は素早く体重移動をしながら総太郎の手首関節をからめとってしまう。
「こ、これはっ……」
「先輩にセクハラをするような悪い子には、それ相応のお仕置きが必要ね!」
そう言いながら、優那は総太郎の関節に力をかけた。
ぎりっ……!
「ぐあっ!」
激痛によって、総太郎は体の動きを止められてしまう。
そして――
「せいっ!」
そのまま、優那は総太郎を投げる。関節を取られているため抵抗ができない。
ドスンッ!
「ぐっ……」
関節を取られたまま投げを打たれ、畳の上に倒される。投げられた勢いそのものはさほどでもなかったが――
「これはオマケよ」
優那は体をくるりと総太郎の頭上で一回転させ、そのまま彼の顔面にヒップドロップをする!
ズシンッ……!
「むぐうっ!」
それなりの高さから尻を落とされ、顔面にかなりの衝撃が走る。
「そんなに私の体に触りたいなら、たっぷり味わわせてあげるわ。それそれっ♪」
ぐにっ、ぐにぐにっ……
「むぐっ、うぅ……!」
顔面にぐりぐりと押し付けられている、引き締まった尻肉の弾力ある感触。白い肌もすべすべとしていて触り心地は極上のものであったが、それを楽しめるような状況ではない。
(くっ、くそっ、またこんなことを……!)
今までの勝負でも総太郎を弄ぶような行為は欠かさなかった優那である。あわよくば総太郎を勃起させて戦闘能力を低下させるつもりであろう。
優那は顔面騎乗と同時に総太郎の両手を足で踏みつけ、手での抵抗ができないようにしているが、しかし抵抗の手段はまだある。
(こ、この状態なら)
総太郎は舌を出し、レオタードの隙間から性器を舐めようと試みる。
布の奥、女性器の近くを舐めただけで、優那は明確な反応をみせた。
「ひゃあんっ! こっ、このおっ!」
ぐりいっ!
「むぐうぅっ!」
尻肉を顔面にねじ込むように力強く圧迫され、総太郎はたまらず舌を引っ込める。
が、優那の脚から力が抜けたため、それに乗じて総太郎は右手を自由にすることができた。そして優那の太ももに両手を沿え、指先で肌を撫でる。
「きゃっ!」
びくり、と優那の脚が反応する。
総太郎はさらに右腕を伸ばし、優那の膝裏に触れる。汗でほんのり濡れた膝裏を優しく撫でると、優那は甘い声を出した。
「あうんっ! そ、そこはダメっ!」
このまま優那の性感帯を刺激すれば、体の力が抜けるかもしれない。そうなれば形勢逆転も可能だ。
が、優那はされるがままではいなかった。
「このっ、やめなさいっ!」
優那のカカトが総太郎の股間を軽く蹴りつけた。
「ぐっ!」
鈍い痛みが走り、総太郎はさすがに動きを止めてしまう。優那はその隙に総太郎の上から飛び退き、総太郎もなんとか立ち上がる。股間への攻撃はほんの軽いものだったので、痛みはさほど深刻なものではなかった。
「ふうっ、まったく手癖の悪い……」
「判断を誤りましたね、優那先輩。顔面騎乗で性的に追い込むつもりなら両手を踏みつけるのではなく、最初から俺の股間を責めるべきだった」
「ふ、そうね。私にもう少し膂力があれば、両腕を封じた上で足コキをしてあげたところだけど、まあ無理なものは仕方がないわ」
気にしたふうもなく、優那は肩にかかった金髪を手で背中に送る。そんな仕草もいちいちしなやかで、姫乃の優雅さとはまた違った上品さを優那の動きからは感じる。
(改めて見ても、綺麗な人だ……この人とやり合っていれば色仕掛けに強くなるかな……)
あからさまな色仕掛けをしてこずとも、多少なりとも総太郎は優那の動きに見とれてしまう。彼女を相手に最後まで平常心で勝ち切ることができれば、それは得難い経験になるような気がするのだ。
(それにしても、どうやら先輩は今ので勝負を決めるつもりはなかったな。余裕かまされてるようで面白くないぜ)
多少の怒りが湧いてくる。こうなると、優那の余裕をまずは崩してやらなければならない。
「ふうっ……」
総太郎は腰を落とし、飛び込む準備をする。
今の優那を倒すにはどうすればよいのか。突き、蹴り、セクハラ、どれも防がれてしまうであろう。総太郎の持つ手札はひとつも優那には通じないのだ。
それでも総太郎は、不思議と後ろ向きの感情を覚えはしなかった。夏の勝負では封殺されて絶望感を味わったものだが、似た状況である今は、勝負のヒリヒリとした緊張感を楽しむ気持ちが胸を満たしている。
(この鉄壁の守りをどう崩すか、俺の持てる力をすべて引き出して答えを出すんだ。手強いが、挑み甲斐があるってもんだぜ)
総太郎の挑戦的な目を見て、優那も表情を引き締める。
「まだまだ戦意旺盛のようね。私をどう崩すつもりなのか、楽しみに見せてもらうわ」
「すぐに、楽しみなんて言ってられないようにしてやるぜっ!」
総太郎は前に出る。そして、躊躇なく刹渦衝を繰り出した。
「むっ!」
優那に刹渦衝を見せたことはない。通用するとすればこの技だと総太郎は思った。
総太郎の体が猛スピードで突進し、やや斜めに打ち下ろすような突きを繰り出す!
「これが斤木流の奥義ね! でも、このくらいならっ!」
優那は体を沈み込ませ、両手を畳につけて体を支えるようにすると、そこから両足を揃えて振り回し、総太郎の足を薙ぎ払ってきた!
「うっ!」
このまま突進すれば足を払われ、無防備で倒れ込むことになってしまう。突進の勢いがついているので優那の上にのしかかることをのも難しい。
総太郎はとっさにジャンプし、そのまま優那を飛び越してから前回り受け身をして立ち上がる。優那はというと、一回転の両足払いを繰り出したのち、両手で勢いをつけて後方転回の形でしなやかに立ち上がり、その動きの勢いを乗せて後ろ蹴りを繰り出してくる。
「やあっ!」
長い足がまっすぐに伸びてくる。体勢が充分でなかった総太郎はガードが間に合わず、その蹴りを腹に受けてしまう!
ドスッ!
「ぐうっ!」
よろり、と体がふらつく。そこに優那がくるりと振り向きながら、後ろ回し蹴りのような動きでローキックを繰り出し、総太郎のふくらはぎをしたたかに打つ。
ビシッ!
「あぐっ!」
「まだまだいくわよ!」
「くっ、ま、まずいっ!」
総太郎は打たれたのとは逆の足に力を込め、必死でサイドステップをして空いたスペースに回り込んで、続く優那のキックをかわしつつ距離を取った。
「まだフットワークは死んでいないようね」
「くっ……いてて……」
腹と足を打たれ、確実にダメージを負ってしまった。背中に脂汗が出ているのを感じながら、総太郎は歯噛みする。
(相変わらず身軽な人だ、思いもよらない体勢から技を出してくるから反応しづらいぜ。それにしても、あんなかわし方をされちまうとは)
刹渦衝は最低でもガードさせるつもりで打ったが、かわされてしまった。優那には通じないのだろうか。
(読まれちまえば、刹渦の技はさっきみたいな投げで返すには最適の技ってことになっちまう。二度目は当然狙ってくるだろう)
ただ工夫なく刹渦衝を出しても、突進の勢いを利用する形で投げ飛ばされてしまうだけであろう。まだ一度見せただけだが、優那のセンスであれば間違いなくそれができると総太郎は確信してしまう。
刹渦衝を単独で繰り出しても通用しない。琴音戦のように刹渦衝を当てるチャンスを作るような戦い方をするのも、おそらく難しい。となれば――
(当たるように出すしかない……)
覚悟を固め、ゆっくりと息を吐いて精神を切り替える。
「よし……!」
そして総太郎は前に出る。
「ふっ、まだ懲りずに接近してくるつもりのようね。ここまで封殺されれば普通ならばあきらめて降参するところだけれど、さすがは斤木総太郎、そうこなくては面白くないわ」
優那は余裕の笑みをたたえつつ、いつもの胸を反らした立ち方をする。レオタードから伸びたむき出しの美しい生脚はぴんと伸びて、芸術的な脚線美を総太郎の前に見せつけている。
総太郎はそれに向かって、姿勢を低くしながら突進する。
「うおおっ!」
「来たわね、懲りもせずに!」
優那は当然、蹴りで迎撃してこようとする。すらりと長く伸びた右脚が、股関節を軸にしなやかに跳ね上げられ、総太郎の腰のあたりへと伸びてくる。
(怖がることはない!)
まず、やはり優那の技でもっとも脅威であるのは蹴りだ。
優那は、この状況からいくらでも総太郎を打ちすえる手段を持っている。この蹴りを封じることすら容易ではなく、どう変化するか分からないブラジリアンキックは極めて見切りづらく、さらにあえて変化させずにそのままの蹴りで打つという選択肢もある。
仮に変化を見切ったとしても、さらに二段変化すら彼女はできるのだ。
だが、集中してさえいれば――
「はあっ!」
優那が気合と共に、蹴りを中段から下段へと変化させる。
そのローキックを、総太郎は跳んでかわした。
「なっ!」
この日は打ち下ろしへの変化を多用していたので、ここは下段に変化するであろう、と総太郎は踏んでいた。
(もう優那先輩との勝負も数をかなり重ねたんだ、少しくらいはクセも読めてしかるべきってもんだぜ)
優那の懐に入る形で着地した総太郎であったが、このまま突きを出しても防がれてしまう。
そこで総太郎はフェイントをかけ、優那が投げで取れないようなタイミングでの突きを放とうとする。
が、フェイントの動きを優那は見切り、そこに攻撃を入れてきた。
「甘いわよ!」
ガスッ!
「がはっっ!」
優那の細い左膝が総太郎の腰に直撃し、一瞬息が詰まって動きを止められてしまう。
さらに、優那は右脚で総太郎の頭部を狙って追い打ちのハイキックを繰り出してくるが、総太郎はそれをチョコンとバックステップしつつ少し頭を下げて避ける。総太郎の頭上を右脚が猛スピードで切り裂き、鋭い空気音が耳に響いてくる。
優那は直撃すると確信していたのか、表情には驚きが浮かんでいる。
「よ、避けたですって!」
「くうっ!」
膝で打たれたばかりの脇腹は痛むが、構ってはいられない。
(突きを受ける構えをしていたのに、フェイントと見るや即座に膝蹴りに切り替えてくるか! なんてセンスだ)
生半可な崩しは通じない。
そう思うと、総太郎はもっと徹底的に優那を崩さねばと必死に考える。
(とにかく動いて、蹴りを避けるんだ。優那先輩のそれは隙が少ないとはいえ、蹴りは蹴りだ。空振りをさせればバランスは崩れるかもしれないし、反撃を差し込むタイミングだってできるはず!)
優那は総太郎に必殺の蹴りを避けられたことでムキになったか、さらに続けて下段の蹴りを放ってくる。
総太郎はそれを軽く足を上げながら横に小さく動いてかわすが、優那はそれを打ち下ろしの蹴りに変化させてくる。
が、総太郎はそれをも、横にスライドするような動きでかわしてしまう。
「ま、またっ! 以前だって、こんな避けられ方をしたことはなかったのに」
かわすことはできたが、総太郎は内心ではヒヤヒヤしていた。
(なんとなく癖が読めたような気がするが、我ながら危ないことをしてるな……)
総太郎は優那の蹴りの隙に突きを出そうとするが、優那がとっさに腰を落としたのが見えて、とっさに思いとどまる。
(ダメだ、まだこの状態じゃ突きを出しても返される!)
もっと決定的な状況を作るしかない。
そう思い、総太郎はさらに踏み込もうとする。そこに優那が近づかせまいと連続蹴りを仕掛けてくるが、総太郎はそれをすべてかわしてしまう。
「これほどのフットワークを身につけているなんてっ……! くっ、このおっ!」
優那がむきになって蹴りを次々と繰り出すも、総太郎はそれをかろやかにかわしてゆく。総太郎の体に刻まれた柳影の型のステップは、総太郎がかわそうと思った瞬間には体を突き動かしている。流れるような一瞬の足運びで小さく身をスライドさせ、優那の蹴りをスレスレで避けてしまうのだ。
(これだ、冴華とやったときのステップだ。この感覚に身を任せていけば、いける!)
あのときと違って無我夢中ではない。しっかりと自覚をして体を動かしている。
今までにない集中力が自分を突き動かすのが分かる。総太郎は自分で自分の動きに驚きつつも、ただひたすら優那の隙を狙い、それを見極める意識を崩さない。
「せいやああぁっ!」
優那が気合を放ち、渾身の力で上段回し蹴りを放ってくる。総太郎は、この後こそが好機だと直感する。
(優那先輩のこれは、確か……夏休み前に見せたやつか!)
優那は回し蹴りを繰り出しながらも、膝はわずかに曲げたままだった。そして、総太郎の顔のすぐ目の前を脚が通り抜けようというタイミングで、顔面に向かっての突き蹴りへと変化する!
(やはり!)
ブラジリアンキックの応用技。顔面への突き蹴りは相手の平衡感覚を失わせるためのもので、これを喰らえば大きな隙を晒し、本命の蹴りでトドメをさされてしまう。
総太郎はしかし、頭を下げてそれをかわした。かなりギリギリのところであったが――
「くっ!」
優那の表情から一切の余裕が消える。これで逆に、優那が大きな隙を晒したことになる。
総太郎は素早く飛び込み、優那の懐に入ることに成功する。密着距離だ。
「よしっ!」
総太郎はそのまま肩をぶつける。これならば投げを食らうことはない。体当たりされて優那は顔をしかめる。
「きゃっ! こ、このっ……!」
が、その瞬間、蹴り足を素早く戻していた優那も反撃をしていた。
ビシッ!
「ぐっ!」
鋭いローキックが総太郎のふくらはぎを打った。よりによって、先ほど打たれたのと同じ場所である。
(倒れるなっ、今倒れたら二度とチャンスは来ないかもしれない!)
ローキックを食らっても、総太郎は踏ん張って耐える。
そのまま、総太郎は右の鉤突きで優那の脇腹を打ちに行く。
「くっ、甘いわよっ!」
ガシッ……!
総太郎の突きを、優那はヒジでガードした。
(当たった!)
ガードはされたが、この日、総太郎の突きが初めて優那の体に触れた。
(このままたたみかけるんだ! これは千載一遇の好機、逃せば流れが変わっちまう!)
ここが勝負どころであるという確信があった。
当てた突きを次につなげなければならない。優那は近距離ということもあって膝蹴りを放とうとしているが、総太郎は構わず攻撃に行った。ガードさせたままの拳を引き戻すのではなく、そのまま優那の体にねじ込みにいったのだ。
「なっ、なにをっ……!」
優那の腕をくぐり抜けるようにして伸び、脇腹に総太郎の拳が当たる。さらに、そのまま手首を回転させてねじ込む。
ズンッ……
優那の、女子にしては筋肉がついているボディの感触が拳に帰ってくる。
「ぐうっ!」
むろん充分な勢いをつけた突きほどの威力はないが、それなりの痛みは走ったであろう。優那はバランスを崩し、キックしようとしていた脚を着地させざるを得なかった。
総太郎は次の動きを予測する。突きをねじ込まれた優那は、近い間合いを嫌って後退することは明白だった。
果たして、優那は後ろに身を転がしてくるりと畳の上を回転して逃げ、立ち上がろうとする。その動きを追いかけるように総太郎は踏み込んだ。
「あっ、し、しまっ」
後転の動きについてこられてしまったために、優那は総太郎を迎撃する体勢に入れない。
至近距離。総太郎はここでとっさに、踏み込んだ勢いそのままに刹渦衝を繰り出す。
「おりゃあぁっ!」
「くっ!」
優那はそれに反応し、防御の構えを取った。投げの構えではない。
やはり、あらかじめ予測していなければ突きを投げで返すなど不可能なのだ。ここに至って、完全な形で投げを破ることに成功したと言える。
そして、総太郎の刹渦衝が優那のガードの上から炸裂する!
ガシイィッ!
「きゃああっ!」
優那の体は弾き飛ばされ、衝撃で彼女の体はすぐ後ろの壁に叩きつけられる。
ダンッ……!
「はうぅっ……!」
叩きつけられた音は大きく、優那の体には相当の衝撃が走ったであろう。
総太郎は自分のしたことに自分で驚いていた。
(こ、これは……無我夢中だったが、俺はこんな打ち方ができるようになっていたのか)
とっさの短距離突進、しかも刹渦衝自体は踏み込んだ後になってから繰り出したというのに、完璧な形での刹渦衝になっていた。
いつのまに、と総太郎は思う。今までは準備動作を取り、遠距離から正しいフォームで飛び込みながら打たなければ威力を出すことができなかったというのに。
ここにきて、刹渦衝が正しく自分の体に染み付いたのだと実感する。今まで、稽古でも実戦でも幾度となく刹渦の技を繰り出し、当たったこともあれば破られたこともあったが、ひたすら打ってきたことは無駄ではなかったのであろう。
(よしっ! ようやく、刹渦衝は本当の意味で俺の技になったんだ!)
刹渦衝の衝撃をまともに受けて背中を打ち付けた優那は、顔をしかめて震えており、すぐには体勢を立て直すことができそうもない。
総太郎はそのまま、流れるように次の技に移行する。ここから拳を戻しながらの後ろ回し蹴りへの連係。総太郎はそれをトドメにしようと考えていた。
だが。
がくん――
「ううっ!」
左足が、突然膝から崩れる。
先ほど二度にわたってローキックで打たれたところだ。今になってダメージに耐えられなくなり、痙攣を起こしている。
軸足が崩れたことで、総太郎は後ろ回し蹴りに移行できなくなる。その一瞬の猶予は優那が立ち直るのには充分であり、いまだ表情は苦しげでありながらも反撃の蹴りを繰り出そうとしているのが分かる。
(ま……まだチャンスなんだ、まだっ……)
総太郎は崩れそうになる膝に力を入れ、意地で踏ん張って耐える。
ちょうど沈み込むような体勢になっている。総太郎はここから、右足を軸にして上に打ち抜く蹴り――燕撃斧を繰り出した。
「うっ……うおおおおぉっ!」
「やあああぁぁっ!」
そして、甲高い掛け声とともに優那は右のハイキックを放ってきていた。
それが優那の起死回生の蹴りであることは分かっていた。最後は必ずハイキックで来る。華麗に決めることが優那の美学であることを、総太郎は理解しているのだ。
奇しくも、二人のハイキックが交錯することとなった。それはほとんど同じタイミングで繰り出される。
そして――
ガシイイイィィッ……!
「ぐあっ……!」
優那の美しい脚がムチのような鋭さで綺麗に伸び、総太郎の頭部に直撃――
そして、総太郎の蹴りは届くことはなかった。
「あ……ぐ……」
なんとか足を戻して着地させ、そのまま後方に数歩ほどたたらを踏みつつも踏みとどまる。
優那の強烈なハイキックが、よりによってカウンターの形でまともに炸裂したが、総太郎は倒れなかった。
だが、視界は定まらず、自分が立っているかどうかすらも分からない。そんな彼を前にして、優那はすでに勝ちを確信したような声を総太郎に浴びせる。
「残念ね、総太郎と私では同じタイミングで蹴りを放てば結果はこうなるのが当然なのよ。新体操で鍛えられた私の腰は、あなたのそれよりもずっと柔らかくて回転が鋭い。そして、もっと致命的な差は――」
優那はウィンクをしつつ、愉快そうに笑った。
「ふふっ……私のほうが、あなたよりもずっと脚が長いんだもの、先に届くのが当然よ」
「う、ううぅ……」
すらりとした優那の脚線美が、総太郎の視線の先に見える。優那はキックを放ったまま、その脚を伸び切らせて静止していたのだ。
その脚は総太郎のそれと比べると明らかに長く、そして女性的な丸みを帯びた美しさを備えている。この芸術品であり凶器でもある脚の前に、総太郎の燕撃斧は届かなかった。
優那はゆっくりと脚を畳の上に戻すと、乱れた長い金髪を両手でふわりとかき上げ、背中に送る。金色の長い髪が舞い上がり、花のような香りが道場に広がった。
そして――優那の目に、獲物を前にした猫科の猛獣のような光が宿る。
「さあ、これでトドメよ!」
優那は素早く総太郎の背後に回ると、前方宙返りをしながら総太郎の肩に飛び乗ってくる!
ガシッ!
「あうっ……!」
強い衝撃を受けて総太郎は倒れそうになるも、本能的に踏ん張って耐える。
ちょうど、総太郎が優那を肩車しているような格好となった。
「よく倒れなかったわね。ふっ、ご褒美に天国を味わわせてあげるわ」
総太郎の肩に飛び乗った優那は太ももを彼の首に絡め、首四の字固めの形にする。
「うう……!」
優那の太もものすべすべとした感触を両頬に感じる総太郎。そして、優那は後ろに体重をかけて倒れ込む。
ドサッ……!
「ぐうっ……」
こうして、総太郎は首を優那の脚で絞められた状態で、畳の上に倒されてしまった。
両手は自然と優那の脚を外そうと、足首やふくらはぎに手をかけて力を入れるも、力強い太ももの絞めつけは緩む気配がない。
ぎゅうっ……
「うぁ……」
弾力のある太ももが総太郎の顔面を圧迫し、首元を絞めてくる。
ぎりりっ……
「あがああぁっ……」
少しだけ汗ばんだ優那の太ももは、すべすべとした極上の触り心地にしっとりとした感覚が加わり、色っぽさがより増している。匂いのほうも、清潔な石鹸の匂いとほのかに甘いような優那の体臭とが混じり合い、なんともいえずかぐわしい。
ドキドキさせられてしまいつつも、総太郎の闘志は消えていなかった。
(抜け出さないと……このままじゃ落とされちまうっ……抜け出して、今度こそフィニッシュを決めるんだ……)
刹渦衝で崩れた敵に、拳を戻しながらの後ろ回し蹴り、という連係は完璧なはずだった。完璧に勝利への道筋が見えていたのだ。もう一度、あの状況に戻りたいという欲求が総太郎の中には強くある。
だが、優那の両脚は容赦なく総太郎の顔と首元を絞めつけ、華麗なハイキックによって戦闘能力をごっそりと刈り取られた総太郎には、もはやこれに抵抗する力は残っていない。
加えて……
「あ、あああぁっ……ぐっ、ううっ……」
優那の脚の感触を顔全体で味わわされていることにより、だんだんと性的な興奮が高まってゆく。頭頂部に感じる、レオタード越しの女性器の感触も性感に拍車をかける。
「ふふっ、じわじわとトドメをさされようとしている気分はどう? 無力感でいっぱいでしょう……?」
「くっ、そ、そんな……く、くそおぉ……!」
そのとき、優那は総太郎の体のある部分に変化が起こっていることに気づき、愉快そうな笑みを浮かべる。
「あら? ふっ……あははっ! こんな状況なのに、股間がどんどん大きくなっちゃってるじゃない。私の太ももに包まれて興奮してしまっているのね。この脚はあなたを蹴り倒し、さらに絞め落としてあなたを敗北へと導こうとしているっていうのに……その脚に興奮してしまうだなんて。この上なくみっともないわね」
「うっ、くっ……ぐうぅ……!」
総太郎の目尻に涙が滲んでくる。優那の言うとおり、自分を打ちのめしてきた脚に興奮している自分の意識が情けなくてたまらない。
だが、これほどの極上の脚に包まれて、性欲を感じずに済むはずもないのだった。白く美しい肌のつややかさと引き締まった太ももの弾力とが、総太郎の脳裏に苦痛とともに陶酔感を味わわせてくる。
そして、いつしか総太郎のペニスは完全に勃起し、道着のズボンをテント状に押し上げていた。
「こ、こうなったら、せめて……」
総太郎は優那の太ももを撫でて性感攻撃をしようと試みる。
が、優那はそれを許さなかった。
「おっと、それはさせないわよ。えいっ!」
ぎゅううううぅぅっ!
「うぐうううぅぅっ!」
総太郎の考えを見抜いた優那は、太ももを力いっぱい絞めつけて総太郎の動きを封じてくる。
「さすがにここまで強くすれば抵抗する余裕はなくなるようね。ふふっ、せっかくだから、このまま太ももで拷問してあげるわ。たっぷりと絞めつけて、私の脚の感触をあなたに刻み込んであげる」
そして、優那はいったん力を抜いてから、再び一気に股に力を入れて絞めつけてくる。
「そぉれ、ぎゅうーっ♪」
ぎゅうううぅっ!
「むぐううぅぅっ……!」
一瞬だけ絞めつけが緩んだが、直後に優那は腰を後ろに引くようにしながら力強く総太郎の頭部を絞めつけてきた。
激しい苦痛に総太郎の表情は歪む。まともに呼吸もできず、このまま絞め落とされてしまうのかと絶望感に包まれる。
が、そこで優那は再び絞めつける力を緩めた。
「ふふ、それじゃあもう一回行くわよ。そおれ、ぎゅうーっ!」
ぎゅうううううぅぅっ!
「む……ぐ、ううぅ……っ……!」
再び、激しく顔面を絞めつけられる。絞めが強まる直前のほんの一瞬だけ、その太ももの心地のよい弾力が味わえるが、直後には苦痛が襲うのだ。
最高の感触の脚によって苦痛と息苦しさを味わわされる。こんな拷問を味わわされながらも、彼女の脚に興奮してしまっていることも総太郎は自覚していた。
(あ、ああぁ……ちくしょう、優那先輩の脚に、なんで俺は興奮しちまってるんだ……!)
そして……
ぎゅううぅっ……
「むぐううぅっ!」
ぎゅうううぅぅっ……!
「むぐっ、うっ、うあ、あああ……!」
いったん緩めてから反動をつけて強烈に絞めつける。そんな相手を嫐り苦しめるような絞めを四回も繰り返された頃には、総太郎は息も絶え絶えになってしまっていた。優那が太ももの絞めつけを緩めると、総太郎はもはや抵抗するそぶりを見せず、弱々しく両手を優那の太ももに添えながら目尻に涙を浮かべ、うつろな目を天井に向けている。
「う、うぅ……はあっ、はあっ……」
そして、長時間太ももの感触と温かさに包まれているうちに、ペニスはすっかり完全な勃起状態となってしまっていた。総太郎は優那の太もものすべすべとした極上の感触とかぐわしい体臭とに包まれて、朦朧としかけている意識には性的な興奮が色濃く入り混じり、心臓はいつしかドキドキと高鳴っている。
(も、もうダメなのか……優那先輩の脚に包まれて、俺は負けちまうしかないのか……)
敗北感に包まれる総太郎。美しく力強い太ももの前に、総太郎の戦意は完全に消えてしまっていた。
「もう抵抗の意志は潰えてしまったようね。ふっ、私の脚に包まれてトドメをさしてもらえること、光栄に思いなさい。このまま、気持ちよく落としてあげるわ。そおれっ……!」
ぎりりりりっ……!
「あ……が……」
優那の脚が総太郎の首元を絞めつける。
意識が失われようとしているのを自覚する総太郎。そして……
びゅくっ……どぷっ、どくんっ……
「ひぐっ……う、ぐうっ……」
ペニスから精液が飛び出し、総太郎の道着のズボンを内側から濡らす。
絞め落とされる間際、体が生命の危機を感じて総太郎の意識に強烈な焦燥感をもたらした。それが先ほどから味わわされている性的興奮との相乗効果を得て、絶頂に至ってしまったようだ。
絶望的な快楽を味わいながら体を小さく震わせて、総太郎は涙とよだれをだらしなく垂らしていた。そんな彼を上から見下ろし、優那は勝利の笑みを浮かべる。
「ふふ、射精してしまったのね。絞め落とされながら絶頂を迎えてしまうだなんて、よほど私の脚に包まれる興奮は強烈だったようね。ま、無理もないけれど」
総太郎はもはや一言も発することができない。
「この勝負、あらゆる意味で私の勝ちね。この私の美しい脚の前に、あなたは男としても格闘家としても完全に敗北した。その事実を噛み締めながら、たっぷりと悔しさを味わいなさい。ふふふっ……♪」
優那の勝ち誇る言葉を聞きながら、総太郎は屈辱感と無力感に包まれ、意識を失うのだった――
ぼんやりと、見知った天井が見える。
そして、視界に優那の顔があるのを悟ると、総太郎の意識は一気に覚醒した。
「はっ……!」
「気がついたようね」
どうやら優那が気付けをしてくれていたようだ。
総太郎は一瞬で、先ほどのことを思い出す。
「……俺の、負けか……」
「そうね。今回は私の勝ち」
優那は立ち上がり、わざわざ総太郎の正面に立って勝ち誇った笑みを見せてくる。
じわりと、総太郎の胸に悔しさが染みてくる。あとほんの少し、ダメージを負った足を崩さずに踏ん張らせることができていれば、勝つことはできていたはずなのだ。
総太郎は畳に両手を付いて、激しい悔しさに震える。
「う、くっ、くそっ……! 俺は、なんであのギリギリのところで根性を出すことができなかったんだ。おまけに、絞め落とされながら射精までしちまって……」
ライバルと認め合う相手との勝負であること。そして、ギリギリのところで詰めの甘さで負けてしまったことが、総太郎の悔しさを増幅する。惨敗したときなどとはまた違った悔しさがあった。
「悔しそうね。ふふ、勝つことができて感無量だわ、最後には破られたとはいえ沙織に教わった技も機能はしていたし、さすがに総太郎といえど、さらに鉄壁になった今の私を破るのは難しかったようね」
「ぐううっ……!」
ウィンクしながら勝利の満足感に浸る優那を、総太郎はただ悔しさにまみれながら見上げることしかできない。
が、優那はそこでふいに小さく息をつくと、笑みに柔らかな色を浮かべる。
「とはいえ、総太郎もたいしたものだわ。今の私にここまで食い下がれたこと、褒めてあげる」
「え……」
意外にも、優那は総太郎を認めてくれるようだった。
「私はこの勝負、圧倒的な内容で勝てるものと思っていたのよ。それが、あと一歩で逆転負けを喫するかというところまで追い込まれた。あのとき総太郎の脚が崩れなければ、トドメをさされていたのは私の方だったわ」
たしかにそうであろう。総太郎自身、うまく動けたという手応えはあったし、この勝負を通じてひとつ山を乗り越えたような感覚があった。それがなければ一方的に負けていた可能性が高い。
だが、総太郎はそれを慰めとするつもりにはなれなかった。
「……でも、脚が崩れたのは優那先輩のローキックを食らっていたからです。この勝負の結末は、やはり必然なのだと思います」
「ふ、まあ、それはそうね」
優那は得意気に髪をかき上げてみせる。きらきらと輝く金髪からいい匂いが届き、総太郎はどきりとしながらも、この美しい少女に負けてしまったことに改めて悔しさを覚えた。
「でも、弱い男を叩き潰したところで退屈なだけだし、今日みたいな互角の勝負で勝ち取った勝利のほうが万倍の価値を感じるわ。あなたとの勝負で得る勝利の喜びは何物にも代えがたい。これ以上ないくらい、今はいい気分よ」
総太郎を見下ろす優那の顔は愉悦に満ちている。
「あなたをライバルと認めたこと、間違いではなかったわね」
「くっ……」
「この負けが悔しければ、腕を上げて私に食い下がってくることね。私もあなたをやすやすと寄せ付けるつもりはないけれど」
ひとつ息をついて、総太郎はうなずく。声に意地を込めて、優那に強い意志をぶつけた。
「わかりました。俺ももっと技を鍛え上げて、次は必ず先輩に勝ってみせます」
「そうこなくては面白くないわ。あなたが強いからこそ、私も自らを鍛え上げることに熱中できるのだもの」
総太郎は笑顔でそう言いつつうなずいてみせる。
「さて、私の勝ちで勝負は終わったのだから、約束を果たしてもらうわよ」
「え?」
「私から奪ったレオタード、返してもらうわね。さあ、はやく持ってきなさい」
こうして、総太郎は優那から奪った戦利品を奪い返されることになってしまったのだった。
薄めのピンク色をしたシンプルなデザインのレオタードを胸に抱きしめるようにして、優那は今まで見せたことのないような柔らかな笑顔を見せる。
「あぁ、やっと私の手元に戻ってきたわね。このレオタードは私と一緒に数々の大会で栄光を味わってきた、いわば戦友のような存在なの。この子を取り戻すことができて、今日は感無量だわ」
「そうだったんですか……」
そんなに大切なものであったとは思いもよらず、総太郎はスケベ心から軽々しくレオタードを奪い取ってしまったことを反省した。
「この子のためにも、今日はどうあっても勝ちたかった。必死で稽古を続けてきた甲斐があったわね」
と、半ば恍惚とした笑顔でそう言ってから、優那は総太郎にジト目を向ける。
「それで、この子にどのくらい精液を染み込ませたのかしら、あなたは?」
「あっ……い、いや、その」
射すくめられるような視線を向けられて、総太郎は冷や汗をかく。
ともあれ、答えないわけにもいかないと思い、気まずい思いをしながらも素直に口を開く。
「その、十回程度でしょうか……あ、いや、もちろん使うたびに綺麗に洗っていましたが」
最初は洗わずに、レオタードに残った優那の汗の匂いを嗅いだり、内側を舐めたりしていたが、さすがに変態的すぎると自分でも自己嫌悪に陥ったものだった。
そして、ひとしきりそういった行為を楽しんだのちは、優那の容姿や感触を想像しながらレオタードでオナニーをした。
(誰も見てないと思ってやりたい放題しちまったけど、完全に変態だよな……)
やや自己嫌悪に陥っていると、優那はふっと呆れたようにため息をついた。
「ま、男の子の性欲ならば仕方のないことかもしれないわね。初めて負けた日は、私自身の体もずいぶん好き勝手にされてしまったもの」
「え、ええ、まあ……」
「となると、今日は私がやられた分に加えて、この相棒が陵辱された分のお返しもしてあげないといけないわね」
「……レオタードの敵討ちってことですか?」
「そういうこと。容赦しないわよ」
総太郎と優那の勝負は、決着の後に容赦なく相手を嬲ることが通例となっている。今日もやはり、優那は総太郎のことを責めるつもりのようだ。
(負けた俺が悪いんだが……いったい、今日はどんなことをされるんだろうか)
総太郎が内心で戦々恐々としていると、優那は思ってもみなかったことを口にしてきた。
「まず、このレオタードのかわりに、今日着てきたレオタードをあなたにあげるわ。たいして思い入れのない物だし」
「えっ……」
今日着てきたレオタードをもらえるということなのか。総太郎は思わずどきりとしてしまう。
が、うまい話であるはずがなかった。優那は身にまとっている白と青の二色でデザインされたレオタードに自分の両手を沿えると、妖しげな笑みを浮かべて言葉を継ぐ。
「ふふ……そのかわり、このレオタードを今ここで着てみなさい」
「なっ……! お、俺がそれを!?」
総太郎は混乱する。
「身長は同じくらいなんだから、着られるでしょう?」
「いや骨格が違うし俺のほうが胴長だからキツいのでは……じゃなくて、なんで俺がレオタードを着なくちゃいけないんですか」
「負けたくせに口答えするつもり? いいから言うことを聞きなさい。早く立って、まずは今着ている服を脱ぐのよ。私も脱ぐから」
「……わ、わかりました」
☆
負けた以上、相手の言いなりになるしかない。総太郎はよろよろと立ち上がると道着を脱いでゆく。
そして、目の前で優那が今日着てきたレオタードを脱ぎ始める。背中のファスナーを下ろしてから、鎖骨のあたりの肌に手を添えて、袖の部分を脱いでゆく。
細い肩、そして二の腕の素肌が露出し、その肌の陶磁器のような美しさに総太郎は固まって見入ってしまう。そのまま両腕の袖を完全に脱いで、いよいよ優那は胸に手をかけ、ゆっくりとレオタードの生地をずり下げてゆく。
すると、美しい丸みを帯びた胸がぷるんと揺れながら露出し、その肉感的な揺れ方に総太郎はごくりと唾を飲んだ。
(や、やっぱり、優那先輩の胸の形は見事だ……綾子さんや涼子より大きさは劣るが、すげえ柔らかそうな丸みをしてるし、乳首も綺麗だ。見ててすげえ興奮しちまう……)
そして、そのまま前傾して腰のあたりから股までレオタードをずり下げてゆく。さらには両脚を通し、脚を交互に上げながら完全に脱いでしまった。股間も露出し、淡いピンク色の女性器が姿を現す。
引き締まってすらりとした見事なスタイルの裸体を惜しげもなく晒し、優那は右手を腰に当てるポーズをして、脱いだレオタードを左手に持つ。
「私がレオタードを脱ぐ姿に見とれてしまうのは仕方ないかもしれないけれど、いつまでぼうっとしているつもり? 早くそっちも脱いでくれないと困るわ」
「あ……は、はいっ!」
見事に目を奪われてしまっていた。総太郎は赤面しつつ道着を慌てて脱いでゆく。
「う、うわっ、引っ掛けた」
あまりにも慌てていたため、総太郎は後ろ手に道着を引っ掛けてしまった。そんな彼の姿を見て、優那は右手を口元に添えて愉快そうにくすくすと笑う。
「そんなに焦らなくてもいいのに。まあ、あなたの見苦しい姿を眺めるのは悪くない気分だけどね」
「う、くっ」
総太郎は顔を真っ赤にしながら、ともかくも服を脱いでしまう。
先ほど射精したせいで濡れているトランクスを不快感を味わいながら脱ぐと、現れたペニスは再び勃起してしまっていた。優那の脱衣姿を見てこうなってしまったせいであることは明白で、総太郎は恥ずかしさでまともに優那の目を見ることもできない。
「さあ、さっさと着てしまいなさい」
優那はレオタードを総太郎の顔に投げつけてくる。
「わぷっ」
顔面でレオタードを受け止め、総太郎は優那の体臭を感じて心臓が強く脈打ってしまう。
(優那先輩の、脱いだばかりのレオタード……!)
レオタードを手に取ると、総太郎は今日一番のドキドキを感じながら、とにかくもレオタードを着てしまおうとする。
まずは脚を通し、やや窮屈な思いをしながら布地を引っ張り上げてゆく。
「よいしょ……っ」
そして、腰のあたりまで引き上げると、クロッチのあたりがペニスに接する。
(うっ、優那先輩の股間を包んでいた部分が、俺のチンコに当たってる……)
優那の体温をペニスに感じて、総太郎のドキドキはさらに加速してしまう。
そして、さらに腰から上に引き上げてゆき、肩の部分を引っ掛けようとするが、かなり強く引き伸ばさないと届かない。
「ぐぐ……き、キツい……!」
総太郎のほうが胴長であることは明らかであるが、体格も違うので、どうしても布地の余裕はなくなってしまう。
「ほら、手伝ってあげるから、もっと頑張って引っ張りなさい」
「は、はい」
優那がサポートしてくれて、ようやく総太郎はレオタードを着ることができた。かなり窮屈ではあるが――
(こっ、これはっ……!)
「ふふ、ファスナー付きのを着てきてよかったわ。なんとか総太郎でも着られたわね。さてと」
優那は突然、総太郎を正面から突き飛ばした。
「うわっ!」
すぐ後ろの壁に背中を軽く打ちつけ、壁によりかかる形で尻もちをついてしまう総太郎。その衝撃のせいか、レオタードの股間の部分の隙間からペニスがはみ出てしまう。
真上を向いたペニスを見下ろして、優那は愉快そうに嘲笑した。
「あらあら、恥ずかしい姿ね。ふっ、せっかくそういう姿になったことだし、めいっぱい恥辱を味わわせてあげるわ」
「くっ……」
優那は総太郎を見下ろしながら、足の指先でペニスをくりくりといじってくる。
「うあっ……!」
勃起したペニスに刺激を与えられ、びくり、と総太郎は震えてしまう。
「みっともなく勃起しているわね。女の子用のレオタードを身にまとって勃起している姿、これ以上ないくらい変態的に見えるわよ、ふふふ……」
「うっ、くうっ……」
今の自分がどう見えているのか想像すると、総太郎は屈辱感で泣きたくなってしまう。
「さあて、それじゃ、このままオナニーをしてみてくれるかしら?」
「なっ……」
優那の命令に、総太郎は本能的に拒否反応を示す。
「そ、そんなこと……」
「できないとは言わせないわよ? そんなにおちんちんを大きくしておいて、この私の裸やレオタードに興奮していないわけはないでしょう? オナニーして射精するぐらい造作もないはずだわ」
優那は明らかにわざと髪を大きくかき上げてみせ、総太郎にも匂いを届かせる。
ごくり、と総太郎は唾を飲み込む。
「さあ、やりなさい。勝者の命令に従えないの?」
「くっ……し、仕方ない……」
総太郎はそう言いつつ、自分のペニスに手を伸ばす。
先ほど射精してしまったので、もう濡れている。そのまま、いつもの通りにペニスを手で上下にしごき始める。
しゅっ……しゅっ……
「う……」
優那の裸を見上げながら、ペニスをこする。すると、総太郎の呼吸はすぐに興奮で乱れ始めた。
「はぁ、はぁ……うっ、くっ……」
優那の胸は丸みといい大きさといい見事なもので、先端のピンク色の小さな乳首は本人の誇り高さを現しているかのようにぴんと上を向いている。
その白いおっぱい、そして見事にくびれた腰のライン、さらに先ほど総太郎が苦しめられた長く美しい脚……体のすべてのパーツが芸術品のように整っていて、総太郎は否が応でも性的興奮を煽られる。
シャープに整った美しい目鼻には勝利者の余裕をうかがわせる笑みが浮かんでおり、それを見ると総太郎は屈辱も覚えるが、同時にしっかりドキドキを覚えてしまうのだ。
(や、やばい……手が、止まらなくなってきた……)
さらに、自分が身にまとっているレオタード。
サイズがキツいが、その分、ぎゅっと自分の体に密着している。その布地に残る優那の体温と、そして汗の湿り気、さらに匂いが否応なく感じ取れてしまい、心臓のドキドキはとてつもない速さとなる。
性的興奮をこれでもかと煽られて、いつしかオナニーに対する抵抗感はなくなっていた。
しゅっ、しゅっ、くちゅっ、ぐちゅっ……
「はぁっ、はぁっ……お、俺っ、優那先輩の着てたレオタードに包まれてるっ……優那先輩の体温を感じるぅっ……」
「あはっ、私の体温や残り香に夢中になってしまって、恥ずかしくないのかしら? まあいいわ、そのままオナニーを最後まで見せなさい。変態精液をぶちまけるところ、しっかりと見ていてあげるから」
優那の美しい裸体を見上げながら、優那のレオタードを身にまとってオナニーをする。こんな屈辱的な状況もないが、同時にこの上なく興奮を煽られているのもまた事実であった。
そして、すぐに射精感が限界近くまで高まってくる。総太郎は優那の体を見上げながら、必死でペニスを手でしごき続ける。
「ゆ、優那先輩っ、優那先輩の体、すげえ綺麗だっ……!」
「ふっ、私の自慢の体、存分に崇めるといいわ。そして、この私を見上げながら負け犬の精液を存分にぶちまけなさい。さあっ!」
そして、優那は上半身を少しだけ前傾させてみせる。すると、芸術的な丸みを帯びたおっぱいが小さく揺れて、長い金髪の毛先がふわりとなびく。
「ううっ……あっ、で、出るうううぅっ!」
びゅるるるっ! びゅっ、びゅくっ、びゅるっ……
「くっ、あっ、ああっ!」
射精の快楽が全身を突き抜け、脳天にまで刺激が走ったかのようだった。射精の最中も手を動かし続け、快感を存分に味わおうとする。
ぐちゅっ、ぐちゅっ……
「はぁ、はぁっ……!」
「これが男の子のオナニーなのね。ふふ、私の体をおかずに浅ましく精液を吐き出す姿、最高に無様だったわよ」
優那はそう言いながら、射精の済んだ総太郎のペニスを右足で踏みつけた。
ぎゅうっ……
「うああぁっ!」
射精したばかりで敏感なままのペニスを踏みつけられ、総太郎は激痛に体をのけぞらせる。
「オナニーは気持ちよかったみたいね。いわゆる見抜きというものよね、私の体は男の子にとってそういうネタになるくらいには綺麗なんだって分かっていたけれど、再確認させてもらったわ」
そう言いながら、口の端を吊り上げた嗜虐的な笑みを浮かべながらペニスをぐりぐりと踏みにじる優那。
「ぐあっ、あっ、ああああっ!」
「ここからは、私が直々にあなたのペニスをいじめてあげるわ。体育館と生徒会室で味わわせてくれた二度の屈辱のお返し、たっぷりとさせてもらうわよ」
総太郎は二度に渡り、優那の体を散々に陵辱した。そのお返しをされてしまおうとしているようだ。
負けた以上は報いを受けることになるのだ。総太郎もその覚悟はしていたが、いざ自分の身に返ってくるとなると、恐れを抱かずにはいられない。
「安心なさい、ちゃんと気持ちよくさせてあげるから。ただし、屈辱的な快楽になることは間違いないでしょうけれど、ね!」
優那はそして、ペニスを踏みつける足の裏に力を込めて、ぎゅっと踏み込んでくる。
「ぐあっ、あがああああぁぁっ!」
どびゅっ、びゅるるっ……
激痛とともに、総太郎のペニスから精液が噴き出し、全身に快楽が走る。
「ぐっ、うっ、ううっ」
ひくひくと震え、エビ反りになる総太郎。優那の足の裏の感触はつるつるとしていて心地よさもあったが、蹂躙されて無理やり射精させられたことには屈辱感を覚えるしかない。
「男の象徴を女に踏みつけられているというのに、感じてしまっていていいのかしら? ふふ、性欲というのは難儀なものね」
ぐりっ、ぐりぐりっ……
「くうっ、あっ、あうっ!」
先ほどよりは柔らかな踏みつけ方になり、総太郎の悲鳴には切なさが混じる。優那の踏みつけに、確実に快感を感じさせられてしまっているのだ。
「このまま踏みつけ続けるのもいいけれど、あまり苦痛を与えて萎えてもらっても困るし……少しサービスしてあげようかしら」
優那はペニスから脚を離す。痛みと快楽から解放され、総太郎は荒く息をついた。
「くっ、はぁ、はぁ……」
「あなたは私の体の感触に弱いみたいだから、今度はこういう趣向で射精させてあげるわ」
そう言いながら、優那は総太郎に尻を向ける。形のいいお尻が目の前に迫り、総太郎はどきりとしてしまう。
(ま、まさか……)
果たして、そのまま優那は顔面に尻を押し付けてきた。
ぐにっ……
「むぐっ……!」
引き締まったお尻の感触。
柔らかみのある弾力が総太郎の興奮を煽る。勝負の最中に顔面騎乗されたときと違い、今は総太郎に闘争心がほとんど残っていないため、尻肉への興奮を抑えることはできない。
ぐにっ、ぐにぐにっ、むにっ……
優那が腰を振って、お尻を総太郎の顔に強く押し付けてくる。引き締まったお尻の形を顔面で理解することができるほどだ。
(あ、ああぁ……な、なんて心地いい感触なんだっ……! こんなことをされて屈辱なのにっ、こ、興奮しちまう……!)
屈辱感と興奮に夢中になっていると、突然ペニスに圧迫感を伴う痛みを感じて、総太郎はびくりと背筋を震わせる。
「うぐっ!」
「私のお尻を味わいながらの踏みつけなら、さっきよりは多少なりとも幸せでしょう? ふふっ」
優那はお尻をぐにぐにと押し付けつつ、足の裏でペニスを踏みにじる。
畳に押し付けられたペニスを踏まれているので、むしろ先ほどよりも痛みがあるが、それでも総太郎は尻肉の感触を押し付けながらの蹂躙に快楽を覚えていた。
むにっ、ぐにっ……
「むぐっ、うっ、ああぁっ……!」
「ペニスが膨らんできたわね。どうやら、すぐにでも出てしまいそうね? ふっ、我慢すればするほどお尻の感触を味わえる時間は長くなるんだから、頑張って耐えたほうがいいと思うわよ」
が、総太郎は我慢どころではなく、お尻の感触への興奮で心臓の鼓動はどんどん加速し、射精感はあっという間に限界を迎えてしまう!
「ううっ、あああぁぁっ!」
びゅっ、びゅくっ、びゅくっ……!
踏みつけたペニスから白濁液が吐き出されるのを見下ろして、優那はふっと息をつく。
「なかなか悪くない気分ね、あなたが私の体の誘惑に耐えられずに精液を吐き出す様を見下ろすのは」
「あう、うぅ」
総太郎は射精の快楽にひくひくと震え、興奮のあまり優那の両脚に抱きつくようにしつつ、自分から尻に顔をぐりぐりと押し付けるようにしている。
優那はそれを悟ってくすりと笑い、腰をいったん前に突き出して尻を総太郎から引き剥がしてから、勢いをつけて尻を総太郎の顔面に叩きつける!
どむっ……!
「むぐうぅっ!」
尻肉で顔を強く打たれ、壁に叩きつけられてしまう。総太郎は激しい衝撃を受けてたまらず力が抜けてしまい、優那の脚にかけていた腕はだらりと垂れる。
「さて、お尻での責めもいいけれど、裸だからちょっと臭かったんじゃないかしら? 今度は、もっといい匂いを嗅がせてあげるわね」
そう言って、優那は総太郎に背中を向けたまま、彼の下腹部のあたりに腰を下ろし、座り込んだ。
「え……」
ちょうど、総太郎が優那を後ろから抱っこするような体勢になる。
すると、優那の長くつややかな金色の髪が、目の前にふわりと迫ってきている形になるのだ。
(うっ……や、やっぱり、この金髪、とんでもなく綺麗だ……)
秋の勝負でいったん負けた際、この髪を押し付けられながら散々に精液を搾り取られたことを思い出す。
果たして、優那はあのときと同様、髪を総太郎の顔に押し付けるようにしてきた。顔は豊かな髪の中に埋まり、花のような甘い匂いに総太郎の嗅覚は包まれる。
「うぅ……はあっ、はあっ……」
「ふふ、息が荒くなっているわよ。私の髪の匂い、好きなだけ嗅ぎなさい。私はあなたの精液をもうちょっと搾り取らせてもらうから」
よく手入れされたストレートの金髪はつややかで、顔に伝わる感触はこの上なく心地がいい。その上、優那の体臭の混じったかぐわしい香りに包まれて、総太郎は恍惚としてしまっていた。
「あ、あぁ……優那先輩の匂い、最高だっ……」
両腕で彼女の腰に抱きつき、夢中になって優那の髪の匂いを嗅ぐ。
ついでに、後ろから優那のおっぱいを揉もうとするが――
「言っておくけど、胸を揉んだら金玉を握りつぶすわよ」
「うっ……」
そう言われ、総太郎はあきらめて髪や背中の感触を味わうことに専念するのだった。
そして、優那は太ももでペニスを挟んでくる。それ以上はなにもしない。
「うあっ、あああぁっ……!」
が、脚の感触に包まれているというだけで、びくびくと総太郎の体は震えた。
そして、総太郎は恍惚感に包まれながら優那の髪の匂いと感触を味わい続け、そのうちに甘い痺れに脳裏が苛まれるように、体中に性感が毒のように回ってゆく。
(な、なんて心地がいいんだ……優那先輩は俺をいいように射精させたいんだいんだろうし、俺は抵抗しなきゃならないんだろうけど……そ、そんなの、無理だ……)
総太郎は優那から与えられる性的興奮に溺れ、興奮を加速度的に高めてゆく。
そして、ついに――
「うっ、あっ、あああぁぁ……で、出るうぅ……」
びゅっ、びゅるるっ……! びゅっ、どぴゅっ……
ペニスから精液がほとばしり、優那の太ももを白濁液が汚す。
太ももを動かすこともなく、挟んでいるだけで優那は総太郎を射精させた。それほどに、総太郎は優那の匂いと感触に興奮してしまっていたのだ。
甘い性感に酔いながらの快楽に、総太郎はびくびくと震える。そして、優那がすくっと立ち上がると、総太郎はそのまま体の力を失ってずるずると畳の上に横たわった。
「あぅ……ゆ、ゆな、せんぱい……」
「うふふっ、すっかり骨抜きね。分かっていたことだけれど、私の魅力で責め立てれば、あなたの心をとろけさせることなど造作もないことだわ。まして、私に敗北して心を打ち砕かれた直後とあってはね」
勝ち誇る優那をなすすべもなく見上げ、総太郎はしかし多幸感に包まれてうめくことしかできない。
優那は満足気な様子で、髪を手で整えながら表情を改める。
「さて、そろそろいいかしら。ここからは、セックスをさせてもらうわ。もちろん私が上で、ね」
「え……」
今日はこのまま足などで射精させられるばかりかと思っていたので、セックスをすると聞いて総太郎は驚く。
「このくらい射精させた後でないと、私が主導権を握れないものね。あなたのペニスは凶悪だから、元気なままでセックスをしたら立場が逆転しかねないもの」
どうやら、ある程度射精をさせて総太郎が性的に反撃できないくらいまで消耗させる目的も、先ほどまでの責めにはあったようだ。
「足の裏で触った後だから、ちょっと消毒させてもらうわね」
そう言って、優那は自分のライダースーツからウェットティッシュを取り出してきて、ペニスを手でまんべんなく拭いた。
「うあっ……!」
ウェットティッシュ越しとはいえ、優那の柔らかく長い手指に撫で回されるようで、総太郎はびくりと体を震わせてしまう。
「はーっ、はーっ……」
やがて、生殺しのような微妙な刺激が終わると、いよいよ優那は総太郎の腰の上にまたがり、女性器をペニスの上にあてがった。
「うぅ……」
「今までセックスでは完全に遅れを取ってきたけれど、今日はあなたに主導権は与えないわ。私の思うままに気持ちよくさせてもらうから、覚悟なさい」
そして、優那の腰がゆっくりと落ち、ペニスが優那の膣に飲み込まれてゆく!
ずちゅううぅっ……
「くあああぁぁ……」
優那の膣壁とペニスがゆっくりこすれ合って、ペニス全体に絶妙な刺激が走る。
何度もの射精で敏感になったペニスには、その刺激はたまらない。総太郎自身も心身ともに性感に染まりきっていることもあって、責め返すことなどできようはずもなかった。
「くう……っ……」
優那もさすがに表情から余裕が消え、両目をつぶって挿入の感覚に耐えている。
やがて、ペニスが完全に膣に飲み込まれてしまうと、優那は小さく体を震わせた。
「や、やっぱり、あなたのペニスは凄いわね……熱くてたくましくて、こうして繋がっているだけで、おなかの中を焼かれてしまいそう」
だが、その表情には笑みが浮かぶ。
「でも、今のあなたには腰を突き上げる余裕もないようだし、この分なら私がしっかり主導権を握れそうね。それじゃ、たっぷり楽しませてもらうわよ」
そして、優那は腰をゆっくりと動かし始める。
ズチッ……ズチュッ、ズチュッ……
「あんっ、くっ……」
「ふぁ、ああっ……」
優那と総太郎は同時に喘ぎ声を上げる。
優那の膣肉はペニスを包み込むような柔らかなものだが、中はまだまだ開発が進んでおらずキツさがある。刺激が強く、総太郎は気を抜けばすぐにでも射精してしまいそうだと感じていた。
(まさか、優那先輩に犯されちまうことになるとは……も、もう、今日は反撃なんてできそうもない……)
優那に与えられた恍惚感がいまだ総太郎の脳裏に残り、彼女とのセックスの快楽にもドキドキを抑えられない。
総太郎が大人しく身を任せていると、優那は腰の動きを加速させてきた。
ズッ、ズッ、ズチュッ、ズチュッ……!
「んあっ、い、いいっ、やっぱり、あなたのペニスでおなかをかき回されるの、すごく具合がいいわ!」
優那は腰を激しく上下させる。ペニスと膣肉がこすれ合う感触がどんどん激しくなってゆき、総太郎の射精感も高まってくる。
「くっ、うう……は、激しいっ……」
優那は腰の力が強く、騎乗位の腰の動きにしても、普通の女子よりもスピードも安定感も優れている。総太郎は騎乗位で犯されたことが何度かあるが、味わわされる快楽は過去のどの騎乗位セックスよりも激しかった。
「うあっ、ちょ、ちょっ、優那先輩、そんなにしたらっ、もうっ!」
優那は金色の髪を振り乱しながら、夢中になって腰を振っている。
そして、総太郎は強烈な刺激をペニスに味わわされるまま、一気に絶頂を迎えてしまう!
「あ、あああぁぁっ!」
どぷっ、どぷんっ! びゅっ、びゅうっ……
優那の膣内に精液がぶちまけられ、快楽が総太郎の全身を駆け抜ける。
が、優那は腰の動きを緩めようとはしなかった。射精されたのにも構わず、自らの快楽を途切れさせまいとするかのように腰を振る。
「あっ、くっ、んうっ、精液が、ぬるぬるしてっ、中の感覚がさっきよりももっとよくなってるっ! 気持ちいいっ、気持ちいいわ、斤木総太郎っ!」
優那の言うとおり、愛液と精液が混じり合ってピストン運動でかき回された膣内は、それがほどよく潤滑油となって、二人の性器のこすれ合う感触は絶妙なものになっている。
そして、そのまま優那はスパートし、そのまま絶頂を迎えた。
「あっ、あはああああぁぁっ……!」
びくっ、びくんっ……
優那は体をふるふると震わせ、目尻に涙を浮かべながら快楽を味わっている。
総太郎はそれを力なく見上げながら、揺れる胸や髪を目にして心臓をドキドキさせていた。
(あぁ……負けて犯されてるのは悔しいけど、こんな綺麗な優那先輩の姿をじっくり眺めることができて、しかもセックスまでできているんだから……そんなに、悪くないかもな……)
そして、優那は再び腰を動かし始める。
ずちゅっ、ずちゅっ……
「ぐっ、うっ……!」
「ふふ……終わるとでも思った? 今日は私が満足するまで、ずっと犯し続けてあげると決めていたんだから。あなたのペニス、壊れてしまうかもしれないわね」
優那の膣内の具合は心地よく、膣壁のヒダはペニスにほどよく刺激を与えてくる。彼女の性格そのままの、しっかりとした感触のヒダだ。それに包まれているペニスは萎える気配をいっさい見せない。
このまま責めを受け続けたら、精液はすべて優那の膣に吸い上げられてしまうのかもしれない。そんなふうに総太郎は感じながら、優那のセックスをされるがままに受け続ける。
ずちっ、ずちっ、ぐちゅっ、ぐちゅうぅっ……
「くうっ、あっ、ぐっ……」
優那の膣肉は亀頭の敏感な部分を的確にこすり上げてくるため、すぐに射精感を高められてしまう。
「だ、ダメだっ……出るうううぅっ!」
びゅっ、びゅっ……
そして、総太郎が射精しても優那は構わずに腰振りを続けるため、射精の最中にも刺激を与えられ続ける。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ずちゅうっ……!
「うあっ、あっ、あああぁっ! き、気持ち、よすぎるっ……!」
総太郎はあまりの快楽に、さらにペニスをひくつかせて連続で絶頂してしまう。
「ひぐううぅっ!」
びくんっ、びくんっ……
その絶頂では精液は出なかったが、射精をともなう絶頂よりも快楽の度合いが大きく、全身に甘い痺れが走ったかのような感覚を味わいながら白目をむいて痙攣してしまう。
「あ、あひっ……あがっ……」
「あはっ、イキすぎて気でも狂ってしまったのかしら? いいのよ、この私とのセックスだもの、それも仕方のないことだわ。いっそ、そのまま快楽に狂ってしまいなさい!」
そして、優那はそのまま自らの快楽を貪るように、総太郎を犯し続ける。
(こ、このまま犯され続けたら、俺は……こ、壊れちまう……)
もはや優那に犯されるままでいるしかない総太郎。常にイキ続けさせられているような快楽地獄の中で、いつ終わるともしれないような腰振りを味わい続けるのだった。
「い、イっちゃう……っ……!」
そして、優那はそれからさらに二度の絶頂をする。総太郎はもはや何度イったか分からないような状態で、優那のなすがままになっているしかない状態だった。次第に、体力的にも限界が訪れようとしている。
が、優那は三度目の絶頂を迎えた頃、顔を赤くして息を切らせてしまっていた。それまでと明らかに様子が違っている。
「くぅっ、やはりあなたのペニスは素晴らしいものなのね……あの陵辱された日ですら絶頂させられたぐらいだから、分かってはいたけれど……ここまで私を快楽に染めてしまうなんて」
優那は潤んだ目で、総太郎の顔を覗き込んでくる。
総太郎は息も絶え絶えで、優那の言葉にまともに応えることもできない。が、初めて見せられるような少女らしい表情を目の前にして、今までとは違う種類の心臓の高鳴りを感じてしまう。
「せん……ぱい……」
「私にとって、あなたとの出会いは最高の幸福だったのかもしれないわね。理想的なライバルを得て、そして……」
そして、優那は総太郎の体の上に折り重なり、唇を重ねてくる。
ちゅうっ……
「むぐ……」
びゅくっ……ぴゅるっ、びゅっ……
少量の精液が膣内に発射される。
優那の唇の柔らかな感触を味わわされ、頭の奥がジンジンと痺れるような感覚に襲われる。射精の快楽も相まって、総太郎の意識はとろけるかのように朦朧としていた。
やがて、優那はそのままさらに総太郎に力いっぱい抱きつき、膣をぎゅっと狭めてくる。
きゅうっ……
「んうっ……」
優那の体の、すべすべとして弾力のある感触を全身に味わわされ、心地のいい体温と汗の湿り気とに包まれる。
(ああ……なんて、綺麗な人なんだ……)
総太郎は恍惚感の中、優那の感触を全身で味わいながら、ゆっくりと気を失ってゆく。
「んっ……ん……ちゅっ、ちゅうっ……」
優那が総太郎の唇をついばむように吸い、腰を小さく動かしてペニスを刺激してくると、総太郎は陶酔感の中で再び小さくイってしまう。
ぴゅっ……
もはやペニスからは少量の水が出ただけであったろう。
しかし、全身には痺れるような快感が走り、とてつもなく心地のいい快楽に包まれながら、総太郎は気を失ったのだった。
そして、翌日の明け方。
総太郎は道場で目を覚ます。
「う……だ、だるい……」
あれからどうなったのであろうか。気絶したのちも犯されていたのではないか、と総太郎は思う。それほどに体は衰弱していた。
「くっ……朝まで寝ちまったのか……と、とにかく、シャワーでも浴びないと学園に行けない……」
総太郎は立ち上がる。
すると、昨夜あれだけ激しい性行為をしていたにもかかわらず、道場の畳は綺麗に片付いていることに気づく。総太郎自身もレオタードは着ておらず、体もどうやら拭いて綺麗にされていた。足元を見ると、どうやら毛布を二枚重ねにして体にかけられていたことにも気づいた。
「これは、まさか優那先輩がやってくれたんだろうか」
「そうよ、大変だったんだから」
背後から声がして、総太郎はびくりとする。
振り返ると、裸の優那があくびをしながら上半身を起こすところだった。彼女も毛布を羽織っている。
腕を伸ばして伸びをしながら、優那はしかし眠気を感じさせないハッキリとした声を出す。
「あなたが気絶しちゃったから、後の始末は私がやったのよ。ちょっとセックスの前に消耗させすぎたのかしらね」
「す、すみません、手間をかけさせてしまって」
「まあいいわ、人の世話を焼くのは嫌いではないし。あ、私は昨晩勝手にシャワーを借りてしまったけれど、ごめんなさいね」
「いえ、それは全然構いません、ありがとうございます」
優那は毛布を体に羽織ったままで、おそらくその下は裸なのであろう。そう思うと、少しドキドキしてしまう。
「それにしても、昨日の勝負は楽しかったわ。お互い鍛えて、また勝負をしましょう」
「……ええ。昨日の屈辱、必ず晴らさせてもらいます」
「いい目ね。そうこなくては面白くないわ」
これからも、優那とは勝負を重ねていくことになるのだろう。そんな予感を総太郎は抱く。
優那との勝負は自分を成長させてくれるという実感がある。その要因としては、彼女に対しては負けたくないという気持ちがひときわ強いせいなのだろう。
腕前が互角のライバル同士であるというのもあるが、なにしろ抜群のスタイルを誇る彼女の体を好き勝手に犯すことができるというのは最高のご褒美なのだ。今回、それがかなわなかったことに対し、負けた悔しさと同等の口惜しさを覚えている。
(犯されるのも気持ちよくはあったけれど、やっぱり悔しいしな……次に勝負したときは、あの最高の体を隅々まで存分に犯してやりたい)
その思いを新たにし、総太郎は今後も優那に引き離されないように全力で鍛えていこうと思うのだった。
「さて、話は変わるけれど……確か勝負の前になにか言っていたわよね、総太郎」
「あ、はい。沙織さんに話を通してもらう件についてですね」
「そう、それ。いいわ、それは伝えておいてあげる」
「ありがとうございます」
勝敗でなく勝負すること自体が条件ではあったので、このことについては約束通りではあるのだが、それでも勝って成し遂げたかったと総太郎は思う。
「あと、私も思うところがあってね。あなたが冴華に勝つまでのあいだ、私自身も協力をしてあげようと思っているの」
「えっ?」
「あなたには、さっさと神倉冴華を倒してもらいたいの。そうならない限り、あなたの目はいつまでも冴華に向いたままなのだもの」
髪を後ろ手で編み込みながら、優那はいたずらっぽい目を総太郎に向ける。
優那の仕草が妙に色っぽく見えて、総太郎はドキドキしながら、彼女の言葉を待つ。
「あなたの最大のライバルはこの私でなければならない。だから、あなたが冴華を倒す手伝いをしてあげる。私にできることがあるなら、遠慮なく申し出なさい」
髪を編み込み終えて後頭部でリボンを結び、優那は立ち上がる。
すると、その拍子に毛布がはらりと落ちて、昨日同様の美しい裸体がさらけ出された。
「あら」
「うっ……」
高窓から差し込む朝日に照らされた優那の肢体は、ため息が出るほどに美しい。白い肌は陽の光を浴びて透き通るような艶やかさを放ち、長く美しい金髪は陽光を反射して光り輝いていた。
すると、優那は小さく笑みを浮かべる。総太郎の股間が大きくなっていることに気づいたようだ。
「ふふっ、昨日あれだけ痛い目に合わされたというのに、懲りないのね。私の体にそんなに興奮しちゃってたら、勝てるものも勝てないのではなくて?」
「だ、大丈夫です! 今後は性欲を力に変えていこうと思っていますから」
以前からそれは思っていたことだが、充分に実践できていたとは言いがたい。今度はそうした努力もより重ねていかねばならないであろう。
「またセクハラ攻撃でもするつもり? まあいいわ、あなたが手強くなるのは大歓迎だし、期待しているわよ。さて、さっそくだけど私に協力して欲しいことはあるかしら?」
「あ、はい……そうですね、ええと……」
総太郎は考える。
昨日、姫乃たちの前で、街で強者を探すという提案をした総太郎だったが、それにあたってはひとつ大きな問題があったのだ。が、優那が協力してくれるのならば、その問題は容易に払拭できる。渡りに船なのだ。
総太郎はそれを優那に対して説明する。すると、彼女は快くうなずいた。
「いいわよ。なんだか面白そうじゃない」
こうして、総太郎は優那を協力者として今後に臨むこととなったのである。
早漏童貞バトルファックのリングに立つ
作者:とむやむ
合コンで出会いを掴めなかった高瀬知己(たかせともき)は、帰り道で近所の高級マンションに住んでいる江角英利花(えすみえりか)に誘われ街へ出掛けた。しかし、知己が連れていかれたのは地下バトルファック場であった。
英利花の誘惑作戦に捕まった知己は、そこでバトルファッカーとして選手登録をさせられてしまう。
早漏童貞である知己は、リングの上で様々な女性と戦い、犯される。
果たして彼の運命は・・・
1話 ミステリアス美女からのお誘い
「それじゃ解散!」
そう言われて一同は集まった居酒屋から立ち去った。今日は友人が主催する合コンの日であり、中には手を繋いで仲良く帰る者もいた。
「はぁ~またダメだったか・・・」
解散してから少し離れたところで、高瀬知己たかせともきは1人大きく溜め息をついていた。前にも合コンには何度か誘われてはいた。しかし、それら全てで彼は空振りをしてきた。
知己はルックスは悪い訳ではない。身長は170センチでファッションも妥当なものを身に付けており、顔も普通か少し上くらいである。
そんな彼がここまで空振りをしてきたのは、コミュニケーション能力が原因だ。知己はインドア派の草食男子であり、1人で何かをしたがる人間だ。休日は家の掃除や買いものをし、録画した映画やドラマを見ていれば日が暮れている。健康のため筋トレやジョギングはしており、運動も人並みにはできるがチームスポーツが苦手である。自分から友達が作れたことはなく、友達の友達として混ぜてもらうことが多かった。
そして何より、知己は女性との接し方がわからない。今日初めて会った女性と何を話せばいいというのだろうか?
「あいつらよくあそこまでグイグイ女の子に話しかけられるよなぁ・・・」
20歳を過ぎて未だに彼女いない歴=年齢の童貞である知己も、さすがにそろそろ春が来ないかと今日は意気込んでいたが結果は惨敗であった。
そんな鬱々とした足取りで自宅マンションへの帰路を歩いていると、
「あ、知己くん!」
「え?あ、英利花さん。」
1人の女性が知己に声をかけてきた。彼女は江角英利花えすみえりか。知己 が住んでいるマンションの向かいにある高級マンションに住んでいるこの地域では有名な美人である。年齢は三十路と以前噂で聞いたことがあるが知己は知らない。大人びた気品を漂わせており、張りのある胸やお尻を見れば美熟女というのも納得だが、時折見せる笑顔からは知己より少し年上くらいにも見えてしまうミステリアスな女性である。
「どうしたの?後ろから見てても物悲しそうだったよ。何か悲しいことでもあった。」
「いや、大したことじゃないですよ面白くもないですし・・・」
「もしかして、彼女にフラれたとか?」
英利花は確かに心配してくれているようだが、どこか興味津々という感じであった。
「・・・彼女なんていませんよ・・・」
自分で言っていて情けなくなってしまった。そんな思いから早く自宅に戻ろうとしたら英利花が話を切り出した。
「フーンそっか。ねぇ今から時間ある?ちょっと一緒に行ってほしいとこがあるの!」
「えっ!?時間は・・・」
知己は少し考えた。今は土曜日の夜10時過ぎ。明日は特に予定もない。夕方に始まった合コンから早々と帰って来てしまったことで酒もそこまで回っておらず、家に戻ってもすることは今の英利花の姿を思い出して自慰に更けるくらいだろう。それならば、もっとこの美人と一緒にいたいと考えた。
「大丈夫ですよ。でも、こんな時間からどこに行くんですか?」
考えられるとしたら何処かの綺麗なバーだろう。きっとカップル限定カクテルを飲みたいから彼氏役でついてきてほしいというところだろうか。
「フフ、それは行ってからの、お・た・の・し・み」
そう言ってウインクした英利花に知己は思わずドキッとしてしまった。
「それじゃ、1時間後にあたしのマンションの1階玄関前で待ってて。車を出すから。」
「あ、はい、わかりました。」
そう約束して二人はそれぞれのマンションへ帰っていった。しかし、帰りながら知己は考えた。
(車で行く?それならお酒は飲まないよなぁ。となると深夜営業している場所ってどこだ?・・・まさか、俺とラブホ!?いや。無い無い無い。)
家につくと、知己は軽くシャワーを浴びて汗を流したが、その間 ずっと悶々とした思いに駆られていた。
人付き合いの下手な知己であるが、英利花はそんな知己とも分け隔てなく自然に話せる間柄になっている。以前話したとき、英利花はあれだけの美貌を持ち合わせていながら、何故か独身であると知った。
『あたしに言い寄ってくる男は大抵体と金目当ての男なのよね。そんな男よりも知己君の方が100倍素敵だわ。』
そんな話を思いだし、知己は妄想にふけってしまった。
(まぁ、あり得ないよな。とにかく変な下心は見せないようにしないと。)
身だしなみを改めて整え、知己は英利花のマンションへ向かった。予定より15分も早く着いてしまったため英利花の姿は無かった。
(やっぱり早すぎたな。もっとゆっくりしておけばよかったかもな。)
それからボーッと星を眺めていたらマンションの地下駐車場から一台の車が出てきて知己の前に止まった。
「お待たせ。ごめんね遅くなって。待った?」
「いえ、ゆっくり星を眺めていたので大丈夫ですよ。それに早く来すぎたのは俺ですから。」
「フフ、ありがと。それじゃ助手席に乗って。」
英利花に招かれ知己は 助手席に乗った。彼女の車は外国製の高級そうなコンパクトカーであり、光沢のある赤色は彼女の気品とマッチしているように思えた。
「ところで、これから何処に行くんですか?」
「フフ、ナ・イ・ショ」
そう言って英利花は口元に指を当てる仕草をして知己に笑顔を向けた。その仕草の色気に知己はまたもドキッとさせられ、少し顔を赤らめ彼女から目を背けた。
(うぅ・・・どうしても英利花さんのペースだよなぁ)
思えば、知己は英利花のことをよく知らない。朝にゴミ捨てで顔を会わせたりして色々話しはするが、肝心なことはいつも今のように誤魔化されている気がする。
「ねぇ知己君。」
そんな事を1人考えていると、不意に英利花が聞いてきた。
「 知己君はあたしのことをどう思う?」
2話 地下バトルファックへの招待
「知己君はあたしのことをどう思う?」
「え!?」
英利花からの突然の問いかけに知己は間抜けな声を出してしまった。そして、隣で運転中の彼女を強く意識してしまう。ウェーブのかかった華やか茶髪。大きな瞳とプルっと厚みのある唇は化粧により色艶が引き立てられている。服装は黒のタートルニットにスカート、そして首元のネックレスとシンプルなものだが、どれも彼女の大人びた色気を最大限に発揮している。
「え、あの・・・凄く美人で大人びていて、それでいて、えっと、人当たりがよくて俺みたいな人見知りにも自然に接してくれて、それから~え~っと・・・」
知己は慌てながらも自分の素直な気持ちを伝えようと必死に脳みそを回転させ言葉を絞り出した。その様子を見て、
「うふふふ、ありがと。そんなに慌てちゃって、ホントに可愛いわね。」
「な・・・か、からかわないでくださいよ!もうっ!」
「あはは、だったらそんなに緊張しないでどっしりと構えたら?今の知己君は隙だらけでちょっと苛めたくなっちゃうのよ。」
「・・・まぁ、以後気を付けます。」
知己は再び顔を真っ赤にして英利花から目を背けた。
(全く、英利花さんは自分がどれだけ魅惑的なのかわかってるのかなぁ・・・)
実際、英利花とこうして二人で仲良くいられるのは知己には喜ばしいことだ。たとえ恋愛関係になれなくても、こんな美人と話ができるというだけで羨ましがられるだろう。チラッと横を見ると、英利花はまだ笑っていた。そんなに笑いのツボに入ったのだろうか?
「あはは、ゴメンゴメン。でも、お世辞でも美人って言われるのは嬉しいわね。」
「・・・お世辞じゃないですよ・・・」
「え?」
今度は英利花が驚きの声を出してしまった。
「英利花さんは自分が美人だってもっと自覚した方がいいですよ。」
「知己君・・・」
あれ?なんだか変な空気になっている気がする。知己は何か悪いことを言ってしまったと感じ、強引に話題を変えようとした。
「そ、そういえば、もう20分くらい運転してますが、これから行くお楽しみの場所までは後どれくらいなんですか?」
「え、あ、ああ、そろそろ車を降りて少し歩いたところよ。」
英利花は珍しく少し慌てた様子でそう言うと、近くの駐車場に車を停め、知己も英利花に付いていくように歩き始めた。
付いていった先は、表通りから離れた夜でも灯りが少ない通りであった。マンガの世界ならチンピラがいそうな雰囲気である。格闘技の経験など一切無い知己は、変な人に会わないようにと願いながら英利花の後を追った。しかし、そんな心配は不要だったようだ。
「着いたわ。」
駐車場から徒歩5分弱のところで英利花の言う目的地に到着した。そこには看板も無くただ扉があるだけであまり人が集まるような娯楽施設には到底見えない。
「この扉の先に何があるんですか?なんか危ない気がするんですけど・・・黒服の怖い怖いお兄さんとか出てこないですよね?」
不安げな知己に対して英利花はクスッと笑い答えた。
「そんなに怖がらなくても大丈夫よ。知己君なら絶対に喜んでくれるはずだから。さ、行きましょ。」
そう言うと英利花は知己の手を取り、扉を開けて奥へと進んでいく。
(英利花さんの手・・・白くてスベスベで、柔らかい・・)
どうやら車での慌てた様子は既に無く、いつもの男を惑わせる明るく妖艶な英利花が戻ってきたようだと感じ、知己は照れながらも安心した。
扉の奥は地下へ向かう階段になっていた。やはり、ここは危険な人達が集まる場所ではないかと考えていると、階段が終わり英利花が出口の扉を開けた。そこにはきらびやかな受付のような空間があり、強面の男が1人いた。男はすぐにこちらを振り向き、知己は男と目があって恐怖で固まってしまった。そんな知己を他所に、男は口を開いた。
「お、姉さんじゃないっすか。随分久しぶりっすねぇ。」
「川ちゃん、久しぶりね。前に来たのは2ヶ月くらい前かしら?」
「そんなに経つっすか・・・この2ヶ月大変だったんすよ。俺はともかく、アニキやお嬢にはきっちりと挨拶した方がいいっすよ。姉さんがいなくて1番苦労したのはあの二人っすから。」
「う~んまたあの子の長いお説教を聞くことになっちゃうかぁ・・・ねぇ、あの子のご機嫌をとれる方法なんか無い?」
「諦めてくだせぇ。今回ばかりはお嬢も我慢ならねぇみてぇっす。前みてぇにモンブランじゃぁ怒りは収まらねえと思いまっせぇ。」
「困ったわねぇ・・・あそこのモンブランでもダメなら他に何があるって言うのよ・・・」
二人の会話を知己は混乱したまま黙って聞くことしかできなかった。強面の男は英利花と親しいらしく、二人はこの施設で働いているようだ。この二人が働く職場といわれても知己には全く見当もつかなかった。
「ところで姉さん。そこでポカンとしている兄ちゃんは誰なんすか?」
強面の男の疑問に英利花は少しうつむき、間をおいてから話した。
「・・・前に話してた子よ。」
「!?本当にいいんすか?だって姉さん・・・」
どうやら知己のことを話しているようだが、そこから二人は声を潜め始め、知己は内容を聞くことはできなかった。そもそも、他人の仕事に首を突っ込むのも悪いと思い、聞き耳をたてるのをやめ改めて周囲を見渡した。すると、廊下を進んだ先から何やら人影が見えた。そして、会話を終えた英利花が、
「お待たせ。それじゃ行こっか。」
そう言われて知己は英利花と廊下を進んだ。
後ろでは強面の男が二人を見送りながら1人呟いた。
「姉さんを頼むぜ・・・」
廊下を進んだドアの前で英利花は立ち止まった。
「さぁお待ちかね。ここから先が知己君に見せたかった場所よ。」
「はぁ、ようやくですか・・・散々焦らされたんですからさっさと行きましょうよ。」
知己は答えを焦らされ続けることにそろそろ嫌気がしていた。誘ったのが英利花でなければ既に痺れを切らして帰っていたかもしれない。
「フフ、知己君は焦らしプレイは嫌い?」
「!?っその言い方は、ズルいです・・・」
知己は英利花とエッチをすることを想像してしまい、恥ずかしくて反論できなくなってしまった。
「あはは、でも、これからいっぱい経験することになると思うよ、ここに来ればね。」
その言葉の意味を、知己はこの時点では理解できなかった。英利花がドアを開けると、そこは知己の予想外な空間であった。入った先は観客席であり、その中心には格闘技のリングがある。観客席には空席も目立つが、男女バランスよく半分以上は埋まっているようである。
「格闘場ですか?英利花さんにこんな趣味が有ったんですね。生け花とかやってるイメージでした。」
知己は英利花を気品のある女性と思っていたので、お嬢様らしい作法を学んでいると勝手に思い込んでいた。
「ウフフ、格闘技とは違うわよ。リングの二人をよく見て。」
「え?あ・・・」
そう言われて知己はリングに目を向けると、すぐに異常なことに気付いた。リングの上で戦っているのは筋肉質な男と、しなやかな体つきの女であったのだ。
「ミックスファイト・・・」
知己は男対女の格闘技が今、催されていると認識した。
「う~んオシイ。格闘とはちょっと違うわね。まぁ、もうちょっと見てて。」
それからすぐに、リングでは知己にとって衝撃的なことが起きた。なんと、男が女の胸を揉みしだき、女は男の股間を手でまさぐり始めたのだ。
知己は慌ててめをそらしたが、観客たちは寧ろこれを待っていたかのように歓声を挙げた。英利花の方に目をやると、彼女もリングでの行為は見慣れているようで、どちらかというと慌てる知己を見て面白がっているようだ。
リングでは男が主導権を握ったようで、女のレオタードを脱がせ裸にし、四つん這いにさせ女性器を舐め始めた。
「知己君、そろそろここがどんな施設か分かったんじゃない?」
英利花は尋ねるが知己は答えをすぐには口にはしなかった。喘ぎ声を出す女性に、男は自らパンツを脱ぎ、そそりたつぺニスを女性器に挿入した。知己は見てはいけないと内心思いながらも目が離せず、二人のセックスを見続け自分のぺニスを硬くさせていた。
「バトルファック・・・」
知己は呟いた。男女の性技を競い合い、互いを犯し合う。都市伝説かと思っていたが、実際に目の当たりにするのと画面の前で見るのとでは大きくちがっていた。知己の呟きを聞いた英利花はニコッと笑顔になった。
「正解よ。どう?ここは気に入ってくれた?」
「えっと、気に入ったら色々と不味いですよね・・・」
ここが合法かどうかは一先ず置いておこう。だが、男が女を犯す様を見て楽しむというのは人間として問題があると知己は考える。そんな彼に英利花は告げた。
「フフ、確かに、今のは知己君には酷いレイプにしか見えないかもね。・・・じゃあ、男が女にレイプされるのはどう?」
「え?」
戸惑う知己の背後から英利花は抱きついてきた。
「ちょっ・・・英利花さん!?」
「あら?おちんちんすっかり固くなってるね。」
「んっ!?」
抱きついた英利花は細い手を伸ばし、知己の股間を撫で始めた。
「あっ・・・やめて・・・ 」
知己は嫌がるそぶりを見せるが、英利花は止めようとはしない。
男の弱点を支配した英利花は知己の耳元で囁いた。
「ねぇ、あのリングに立ってみない?」
目次
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3話 誘惑交渉
「ねぇ、あのリングに立ってみない?」
「うぅ…え?……」
股間を弄られながら知己はその言葉に反応した。
「・・・どういうことですか?ぅぅ…」
背中には柔らかな胸の感触、絶えず股間に与えられる優しい刺激を堪えながら、なんとか声を出して英利花に聞いた。
「言葉通りよ。知己君にあのリングに立って女の子とバトルファックしてほしいの。」
「あっ・・・どうして俺が・・・あぅ……」
まだズボンの上からしか触られていないにもかかわらず、知己のぺニスは完全に勃起してしまっていた。こんなことであっさり興奮させられるのに、バトルファックなど到底できるはずがない。
「はぁ・・・俺、女の人を、はぁ、犯すなんて・・・」
「あら?別に犯さなくてもいいのよ。」
そう言って英利花は快楽責めから知己を解放した。
「場所を変えましょ。丁度試合も終わったようね。このままじゃみんなに見られちゃうわ。」
息を切らせて知己はリングを見た。そこには全身に男の白濁をぶっかけられた女が仰向けで倒れていた。悲惨な光景に知己は彼女を見ていられず目を伏せ、その場から逃げるように英利花と会場を出た。
英利花に連れられ、知己は会場から離れた一室へと入った。
「さぁ、ここなら回りの目は気にしなくていいわ。それじゃ、さっきの話だけど・・・」
「見つけたわよ英利花!」
「あ、麗衣ちゃん。」
英利花が話の続きをしようとした時、白いミニドレス姿の女性が突然入ってきた。レイと呼ばれた女性は走ってきたのか息を切らしており、黒いロングヘアーを乱していた。身長は160センチ弱と女性の平均並みだが、知己と同じくらいの英利花と並ぶと小さく見えてしまう。
「今まで仕事をほったらかしにして、今日と言う今日は許さないわよ!今までの3倍は働いてもらうんだから。」
「ゴメンゴメン。でも、ちゃんと彼を連れてきたわよ。」
「そんなことで許されると・・・!?」
そこでレイと呼ばれた女性は口を停め、ようやく知己の存在を認識したようだった。女性に見つめられてドキドキした知己に対して、彼女は一瞬だが悲しそうな表情をした。
「英利花、本気なの?」
「うん。これから交渉するとこ。だから邪魔しないで。」
知己には英利花がいつもの余裕な笑顔に見えるが、麗衣の曇った表情からはただならぬものを感じた。
「いいわ。今回だけは英利花の好きにしなさい。勿論、責任もとりなさいよ。」
「ありがと。やっぱり麗衣ちゃんは優しいね。」
溜め息をついて彼女はソファーに腰かけた。
「えーっと、英利花さん、こちらのかたは?」
麗衣の容姿から偉い人ではないかと想像した知己は恐る恐る尋ねた。
「あー、この娘は園城寺麗衣おんじょうじれいちゃん。あたしの親友よ。みんなからは『お嬢』って呼ばれてるの。」
そういえば強面の男がお嬢と呼んでいた気がする。
ソファーの彼女の方へ目をやると、麗衣は疲れた顔をしている。しかし、知己の視線に気づくと笑顔を向けてくれた。これにはドキッともしたが、それ以上に大人の対応だと感心した。
「さて、ようやく話を進められるわね。知己君、もう一度言うわ。君にバトルファッカーとしてリングに立ってほしいの。」
「それなんですけど、どういうことですか。分からないことが多すぎます。英利花さんって何者ですか?どうして俺を誘うんですか?そもそも、ここでやってることは強姦という犯罪じゃないですか。」
今の知己には情報が少なすぎる。矢継ぎ早に質問すると、英利花は少々めんどくさそうに溜め息を吐き、少し考え込んでから話始めた。
「そうね、一つずつ話しましょうか。じゃあまず、あたしのことだけど、あたしは麗衣ちゃん達が主催しているこのバトルファック場で人事会計の仕事をしているの。」
「園城寺さんが主催する!?」
ただ者ではないと思っていたが、まさかそこまですごい人物とは思っていなかった。おしとやかな見た目と英利花の親友というからそれなりのお金持ちということは考えていたが、これだけの規模の運営をするとなると相当なものだ。
「ま、あたしは兄さんのサポートくらいしかしてないけどね。」
ソファーに座る麗衣は謙虚にそう言うが、真面目そうな彼女なら実際は相当な仕事をしているんじゃないかと知己は思った。
「次に、ここの合法性だけど、安心して。麗衣ちゃんの家と警察の上層部が繋がっているの。だからここでの行為は黙認されているわ。」
「また園城寺家・・・」
警察のコネまであるとは、どこまで大きな家柄だろうか。知己は今すぐ聞こうとしたが、話が進まなくなりそうなので帰ったら調べておこうとは思った。
「じゃあ、三つ目、どうして俺を誘うんですか?バトルファックの上手いイケメンなら探せばもっといますよ?」
これが知己には1番わからなかった。知己の数少ない友人でさえ知己よりも美男子で女性経験も豊富である。それなのにわざわざ童貞である自分を誘う理由が何処にあるというのか。しかし、英利花はそんな心を見透かしたかのように答えた。
「フフ、それはね・・・あなたが女の子に奥手な童貞だからよ。」
「・・・はい?」
知己はまた混乱してしまっていた。そして、憧れの英利花に『童貞』と言われて、軽いショックと興奮を受けた。
「実はね、強い男はもう十分いるのよ。でも、逆に男を犯す女の子が最近少ないのよ。」
「それなら、強い女の人を勧誘すればいいじゃないですか?」
「したわよ。それも飛びっ切り可愛くてエッチでテクニシャンな女の子を何人もよ。でも、その娘たちも最近負けが続いているのよ。そして、負けることで自信を無くして力を出せずまた負ける悪循環。さっきリングで見た女の子も、少し前は男を一方的に犯せるほどの実力だったのよ。」
あの光景を知己は目を逸らしたため深く観察はしていなかったが、あの女性が相当な美人ということは覚えている。自分が相手なら間違いなく犯されているだろう。あのレベルの美女を集めて
勝てないなら・・・
「男が強すぎるんでしょうか?」
「現状ここの男達が強いのはあるでしょうね。でも、1年前は男女の勝率が5:5だったのに今では8:2になったのよ。それも、男女の顔ぶれは1年前とほとんど変わってないのによ!」
英利花は力説する。こんな裏家業が1年以上続いていることに呆れながら、知己は男性有利の現状の原因を考えた。あり得る理由は2つだろうか。男が急成長したか、女が弱くなったか。そうこう考えていると、英利花は知己の方を向き、強く言った。
「そこで君の出番よ!」
「ん?」
どうしてここで自分の出番なのか分からなかったが、その答えを英利花はすぐに口にした。
「知己君にはあのリングに立って、女の子に犯されてほしいの!」
「・・・・・・ええええええええっ!?」
英利花の衝撃的発言に知己は驚きのあまり叫んでしまった。
「えっ!?ますます意味がわかりませんよ。そんなことをして何になるんですか!」
仮に知己が試合に出たところで、女側の勝ち星が1つ増えるだけである。そんな考えを読み取ってのことなのか、英利花はニヤリと笑って言葉を返してくる。
「意味は大有りよ。今女の子が負けてる原因は技術的なものじゃなくて精神的なものだとあたしは思うの。だから、君を犯すことで女の娘は男を犯すあの快感を取り戻すきっかけになるはずたわ。」
「その快感を取り戻すだけなら、そこら辺のM男でも捕まえればいいだけじゃないですか?」
「それじゃ駄目よ。大事なのはバトルファックで男を犯す快感、という点なの。」
「それなら相手は俺なんかじゃなくて強い男じゃなきゃ駄目ですよね?」
「うん。確かに強い男に勝てればいいわね。でも、今いる男の中でこの計画に協力してくれる人は1人もいないわ。それに、君を犯して自信さえ取り戻せばあの娘達はまたきっと男に勝てるようになるわ。」
英利花との質疑応答が続いているが、どうにも考えに納得できない。こういう時に相手を論破する能力が自分にあればと知己は思ったが、所詮は無い物ねだりだ。なんとかこの論争を終わらせようと、知己は1番気になっていたことを聞いた。
「それなら、もし仮に英利花さんの理論が正しいとして、どうして俺なんですか?」
奥手な童貞という条件なら自分より適任は探せば他にもいるだろう。しかし、英利花はそこで笑いだした。
「あはは、まさか…知己君ほど適任はそうそういないわよ。」
「いや、だからその理由が聞きたいんです。」
そこから一息ついて、英利花は口を開いた。
「だって・・・知己君を見てるとついつい苛めたくなっちゃうんだもん!だから、他の娘達も君が相手なら喜んで犯してくれるに決まってるわ!」
「・・・・・・」
もはや知己には意味が分からなかった。自分がそんな苛めて光線でも出していると言っているのだろうか。知己は呆れ気味な顔で
英利花を見た。
「あら?その目は何?あたしは真面目に言ってるよ?」
「いや、さすがに意味わかんないですよ・・・」
「ホントだよ。それじゃぁ試してみよっか。」
「試す?」
「うん。麗衣ちゃんは知己君を、知己君はあたしのことを見て。」
一体これからどんな実験をしようというのか。麗衣が自分を見ていることを確認して、知己も英利花の方に目を向けた。
「えいっ!」
ばさっ・・・
「っえ!?」
突然英利花は、知己の目の前で自分の上着を捲り上げ、その巨乳とブラジャーを露出させた。
「な・・・何やってるんですか!?早く隠してください!」
知己はすぐに後ろを向き、彼女の胸を見ないようにした。予想外の光景に知己は顔を真っ赤にし、呼吸も乱していた。
「ウフフ。相変わらずいい反応ね。ほら、もうこっちを向いてもいいわよ。」
「はぁはぁ・・・」
知己はゆっくり振り替える。英利花はしっかりと上着を着直していた。が、
「えいっ!」
ふわっ・・・
「っだ!?」
今度はスカートを捲り上げ、ショーツと肉付きのいい太ももを見せつけた。
「だ・・・だから、からかわないでくださいよ!」
知己はまた後ろを向き深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとした。その様を見て麗衣はクスクスと笑っていた。
「ごめんね。で、麗衣ちゃん、今のを見てどう思った?」
急に質問を振られた麗衣は、慌てて表情を戻して答えた。
「そ、そうね。まぁ、英利花の言うこともちょっとは分かったわ。ほ、ホントにちょっとよ!ちょっと可愛いって思っただけよ!」
麗衣は相当取り乱している様だったが知己は気にする余裕など無く、二人の美女から可愛いと言われることも相まって恥ずかしい思いでいっぱいだ。
「さぁ、ここで問題です。あたしのブラとショーツの色はなんだったでしょうか?」
英利花は楽しそうに聞いてきた。
「もし正解したら・・・ご褒美、あげちゃうよ。」
「!?」
ご褒美という言葉に知己は思わず反応してしまった。英利花の下着の色は、一瞬とはいえ網膜にしっかりと焼き付けていた。しかし、それを答えるということは彼女の下着を見たと白状するようなものだ。
「どうしたの?ご褒美、欲しくないの?」
散々悩んだあげく、知己は・・・
「・・・黒です。」
正直に答えた。しかし、英利花は意地悪く
「え?聞こえなかったよ。」
「…黒です!」
「何が?」
「うぅ…パンツとショーツが、です。」
「誰の?」
「英利花さんのです。」
「全部まとめると?」
「英利花さんの・・・ブラとショーツは黒です!」
物凄く恥ずかしいことを言わされ、知己は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「だいせいかーい!隠してって言ってたのに、しっかりとあたしの下着見てたんだね。エッチ!変態!むっつりスケベ!」
どれだけ言われても今の知己には反論できず、黙ってうつむいたままだ。
「でも…そこまでしてくれたご褒美、あげなくちゃね。こっちよ。」
そう言うと、英利花はうつむく知己の手を引き部屋の隅にあったベッドに二人で腰かけた。
「エッチな知己君には、ご褒美として・・・」
英利花は知己の両頬に手をあて彼女の方に向けさせた。
「チュウしてあげる…」
4話 誘惑に負けて
「チュウしてあげる!」
英利花は知己の目の前まで顔を近づけてきて首の後ろに手をまわし、唇に吸い付いた。
「んんんんんんんん!?」
知己の唇は英利花に強引に奪われた。厚い唇で激しく音をたてる濃厚な口づけに、童貞の知己はなすがままであった。英利花は舌を絡ませ知己の口内を味わい尽くす。
(…英利花さんに…キスされてる・・・英利花さんの唇…凄く柔らかい・・・)
憧れの女性からの淫乱なキス責めに知己はあっさり蕩けてしまった。間近で感じる英利花の香水混じりの匂い、押し付けられる胸や太股の感触は、知己を快楽の渦に飲み込むには十分過ぎるものだった。
「むぅ…ぅぅぅ…ぅぅぅ…」
(・・・息が、できない・・・)
口呼吸を封じられたことで息苦しさを感じた知己は、英利花から逃げようとするが、頭をがっちりホールドされて逃げられない。
「んフフ…」
対する英利花は余裕の笑みを浮かべており、楽しそうに知己の口内に舌を這わせる。舌の動きは激しさを増しヌルヌルとイヤらしい音をたてながら知己の口内を蹂躙し続ける。
「んふー、んふー、んーんー…ん…」
なんとか鼻で呼吸をするが、鼻息はかなり荒くなり、興奮でズボンの中のぺニスは完全に勃起していた。
ぶちゅっ・・・
そんな知己の限界を察したのか、英利花は知己の唇を解放した。
「フフ、ご馳走さま。すごく美味しかったわよ。」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
知己は息を切らせて脱力し、ベッドに倒れこんだ。僅か1分程度のキスで英利花は知己をあっさりと支配してしまった。
「随分と見せつけてくれるわね。英利花ってそんなにキス好きだったかしら?」
今までの行為をずっと見ていた麗衣が口を開き尋ねると、英利花は満足した様子で、
「うん。ホントは軽いので済ませようと思ってたけど、知己君を見てると何だか無性に可愛くて…やり過ぎちゃったかしら?」
「まぁ、童貞相手には刺激が強すぎるでしょうね。」
二人の会話など全く耳に入らず、知己は放心状態であった。
(英利花さんのキス…すごかった…)
知己にとって始めてのキスが極上の美女に奪われる一方的なものになってしまったが、それは屈辱ではなく圧倒的な幸福であった。まだ口に残る英利花の舌の感触と唾液の味を思いだし、知己はすっかり夢心地であった。
「ウフフ、知己君すっかり蕩けちゃって…ねぇ、麗衣ちゃんも知己君としてみない?」
「あ、あたしはいいわよ、そんなの!」
「ホントにぃ?楽しいよ?麗衣ちゃんも絶対ハマっちゃうよ?」
「だからいいって!…まぁ、確かに彼の蕩けた顔はちょっと可愛いとは思うけど…」
そんな話をしていると、知己はようやく回復したようで体を起こし二人を向いた。
「あの、はぁ…英利花さん。どうしてこんなことを…」
勿論嫌なはずがない。しかし、今まで単なるご近所さんだった相手に急にここまでのことをしたことが疑問だった。
「フフ、知己君…もしバトルファックに参加してくれたら…もっとイイコト…してあ・げ・る…」
その笑顔に知己は心を奪われた。さっきのキス責めにより知己は既に英利花にメロメロである。その上でもっと気持ちいいこと…男なら誰しもその誘惑には抗えない。
(でも…バトルファックなんて…絶対危ないよなぁ…)
いくら英利花の誘いだとしても、それは裏社会に足を突っ込むことで人道的ではない。その理性が知己を抑え返事を躊躇させた。知己が沈黙を続けていると英利花は溜め息をついた。
「返事をもらえないようね…それなら、強行手段を取らせて貰うわ。」
そう言うと、英利花は再び知己に近づき、彼をベッドに押し倒した。突然のことに驚き呆然としている知己の上に英利花はのし掛かり、彼の両手首をつかみ、そして、
カチャ、カチャ・・・
知己の手首に、冷たく硬い何かがはめられた。それを確認しようと、手を顔の前に出そうとしたら…
ガキィ、ガチャガチャン・・・
「あ…あれ?…」
手を前に出そうとしたら、手首のそれが引っ掛かり腕の動きが封じられた。慌てて手首の方に目をやると、知己の手首は手錠でベッドに拘束されていた。
「な…英利花さん、何ですかこれは!?」
自分の腹の上に腰かける彼女に対し、知己は驚愕と恐怖の目を向けた。
「知己君がいけないのよ…君が返事をくれないから、あたしもこんなことをしなきゃいけないんだよ?」
知己は意味も分からず混乱していると、英利花は立ち上がり知己の靴とズボンを脱がし始めた。
「ちょっ!英利花さん、やめてください。」
そんな言葉は聞かず、英利花は知己のトランクスをずり下ろし、ついに下半身を露出させた。
「あら?おちんちん…もうこんなにおっきくして。ホントは期待してたんでしょ?」
ぺニスはまだパンツから出しただけなのに、上を向きビクビクと自己主張をしていた。さっきまでのキス責め、会場での股間愛撫、そして女性の前で男の大事な部分を見られたことで、知己の性感は既に限界まで高められていたのだ。
「それじゃぁこっちも…」
ガチャ、ガチャ…
そう言うと英利花は足にも拘束を施し、知己はベッドの上で下半身を露出させたままΧ字に拘束された。
「英利花さん、一体何を…あっ…」
知己が聞こうとする前に、英利花の右手がぺニスを優しく包み込んだ。しなやかで柔らかい手のひらはペニスの表面をなぞるように這い回る。
「今から、知己君のおちんちん…じっくりと苛めてあげる。知己君がバトルファックに参加するって言うまで…いつまでも…いつまでも…」
英利花の5本の指がペニスに絡み付き、ゆっくりと上下に扱きあげる。時には裏筋を、カリ首を、根本を撫でさすり、全体に刺激を与えてくる。
「うぁ…ああぁ…んん…だめぇ」
「あらあら、まさか、もうイッちゃいそうなの?ホントに早漏なのね。可愛い…」
英利花にシゴかれてすぐだというのに知己のぺニスは限界に近づいていた。英利花はまだまだ余裕を見せているのに対して知己は最高潮に興奮していた。
「あぁぁぁ…もうイキます!あああああ…」
ピタッ…
英利花は手を止め、握りも弱くした。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
知己は息を切らせて限界間近の射精感に悶えた。しかし、
シュコ、シュコ、シュル、シュル…
再び手コキが再開され、また我慢の限界に達したところで、
ピタッ…
英利花はまたしても手コキを中断した。
「どうかしら?スッゴく気持ちいいでしょ。このままずぅーっと気持ちいい思いをさせてあげる。」
「あぅ…え…英利花さん…もう…あぁぁぁ…」
またも繰り返される刺激に、知己は翻弄され会話もままならない。射精ができると思
